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三島由紀夫『作家論 - 新装版』

2019年07月30日 22時17分25秒 | 文学
雑誌の「クロワッサン」を図書館で借りてよく読むのだが、「快適な暮らしは、シンプルな住まいから。」という特集のものを読む。
その中で、断捨離を続けているやましたひでこさんが夫が沖縄で暮らしたいというので、いまは東京でひとり暮らしをしているという記事があった。断捨離を続けていくのに最も邪魔なのは間違いなく夫だよね、と思った。そもそも断捨離の最終目標は夫を断捨離する事に違いなかろうと思った。
やましたひでこさんは上手くやっていると羨ましがる女性は多いだろう。
夫の暮らしている沖縄の家も快適でシンプルな住まいなのだろうか、そこが気になった。

三島由紀夫『作家論 - 新装版』(中公文庫)。
森鴎外と谷崎潤一郎と円地文子に興味を持った。ある文学全集の解説として書かれたものであるので森鴎外評論でよくある『渋江抽斎』以後の史伝を褒めるというようなことをしていない。
林房雄についての長い評論は読めなかった。林房雄の本を今後読む事があるとは思えない。
ここに永井荷風についての評論があれば良いのにな、と思った。
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松浦莞二・宮本明子編著『小津安二郎大全』

2019年07月29日 20時41分50秒 | 文学
松浦莞二・宮本明子編著『小津安二郎大全』(朝日新聞出版)を図書館で借りて読んだ。
四方田犬彦が語る半分くらいまで読んで、「もういいかな」と思って読むのをやめる。
「大全」というほどすごい内容でもない気がした。本の造りは「大全」といった感じだ。
私のようなものには小津安二郎を語るこのような本で、蓮實重彦が登場しないのが不思議なのだが、何か事情があるのだろう。

小津安二郎のエッセイ集とか日記とかそういう本人の言葉を読みたいと思っているのだが、そのような本はなかなか出ない。
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三島由紀夫『小説読本』

2019年07月25日 21時59分24秒 | 文学
三島由紀夫『小説読本』(中公文庫)。
解説が平野啓一郎で、三島由紀夫についての詳しい解説、おすすめの小説などを期待したがそのような話はなかった。
思っていたより読みやすかった。軍服の匂いも日本刀の匂いもしない。
いまから思えば最期の三島由紀夫が強烈なのでその印象で読んでしまうのだけれど、「最期の三島由紀夫」というのは死ぬまでの五年とかなのだろうな。『暁の寺』のあたり以降。
それまではわりと普通の作家の印象だったのだろう。偏見を持たずに読んでいきたい。

三島由紀夫の創作方法と言えば、書き始める前に大きな模造紙に登場人物や小説のなかで起きる出来事を年代順に書いてすべてが決まった後におもむろに書き出すというイメージなのだが(確かドナルド・キーンが言っていた)、「わが創作方法」を読むと必ずしもそうではなかったことがわかる。
三島由紀夫というのはいまで言うところの「ビッグマウス」のひとなのだろうから、知人にうれしがって語る事をまともに信じてはならないのかもしれない。
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是枝裕和監督『万引き家族』

2019年07月24日 01時06分51秒 | 映画
テレビ放送を録画していた是枝裕和監督の『万引き家族』を観る。
これまで観た是枝監督作品のなかではあまり好みの映画ではないけれど、『三度目の殺人』よりは楽しめた。
最後のほうで登場人物のモノローグというか、相手の問いかけに答えるような、ウディ・アレンとかフランス映画とかがやりそうな感じの場面があり、『三度目の殺人』でもあったように思うが、最近はこういう演劇的な映し方が好きなのかなと感じた。
まあちょっと現代的な社会問題をいろいろと詰め込みすぎている感があって、観ていて疲れてしまうところもやっぱりあるのだけれど(もう一回観る気にはちょっとなれない)、やはり考えさせられるところもあった。
司馬遼太郎の講演を読んでいるとよく、自分は小説家なので結論を出さないようにしているというような事を言っていたように思うが、この映画を観ていて、安易な善悪に寄っかかって物事を判断してはいけないなと思った。
リリー・フランキーと安藤サクラを責める事も、可哀想な子どもたちを作り出している社会を責める事も、リリー・フランキーと安藤サクラを責めている高良健吾や池脇千鶴を責める事も、この映画を観ていると出来なくなった。そのように、誰か責める事の手前に留まる事が大事なのだろうなと思った。

新作『真実』の宣伝を見たがとてもおもしろそうだった。
大女優の母親とその娘の話で、母親の自伝を通して過去が描かれるというような話のようで大変期待できる。
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「あさイチ」の久米宏など

2019年07月22日 01時06分38秒 | テレビ
この週末はよくテレビを見ていたように思う。
NHKの「あさイチ」のゲストが久米宏で、録画して見たのだがとってもおもしろかった。
このような人がテレビにあまり出なくなって、お行儀の良い人ばかり出て、いろいろなところに迷惑をかけないように気をつけて発言するようになってテレビがおもしろくなくなっているんだなと改めて感じる。「報道ステーション」、見る気がしないもんな。
NHKが政権に忖度しているというような発言をNHKで言われるのを初めて聞いたように思う。
そしてそれに対してNHKの局員が何かを言おうとする姿を初めて見た。
久米宏が出た事も、それにアナウンサーが反応した事も良い傾向だと思う。
しばらく久米宏のラジオをインターネットで聴いていこうと思った。

あとは、吉本興業の闇営業問題で解雇された宮迫(雨上がり決死隊)と、まだ解雇されたのか未定の田村亮(ロンドンブーツ1号2号)の記者会見を見る(「新・情報7daysニュースキャスター」)。ビートたけし(ツービート)がまともな心あることを言っていた。最近大河ドラマ「いだてん」を見ているせいもありビートたけしの好感度が僕のなかで上がっているのを感じる。
そして「ワイドナショー」も録画して見る。松本人志(ダウンタウン)もなかなか好感度が上がる。
「サンデー・ ジャポン」も録画したがまだ見ていないので太田光(爆笑問題)の意見は聞いていないが、もうこの問題はお腹いっぱいかな。

そして午前中に選挙に行って投票。
そしてテレビで開票速報を見る。
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徳岡孝夫『五衰の人 三島由紀夫私記』

2019年07月20日 23時08分26秒 | 文学
三島由紀夫と言えばふんどしに日本刀、または茶色の軍服姿で演説、というようなものがイメージされどうしても拒否反応を抱いてしまう。特に小説は、何を読んでもその三島由紀夫が思い浮かんで三島中毒みたいなものになって読んでいるとふらふらになる。
そうであるならば読まなければよいのだが、少し気になるし、実は戦後を振り返るには欠かせない人物なのではないかと思って読もうとしている。
三島由紀夫が「三島さん」にはならないまでも「三島由紀夫氏」くらいにはなって欲しいと思い(つまりそのくらいの親しみがもてるように)、徳岡孝夫の『五衰の人 三島由紀夫私記』(文春学藝ライブラリー)を読んだ。
とても三島由紀夫に親しみをもって書かれていて、三島由紀夫に嫌悪感は持たない。
三島由紀夫の文学について、あまり文学面に詳しくない人のようで語られずそこも良い。たまに語られると『鏡子の家』は『明暗』と同様に失敗作である、というような事が書かれていて、その納得しかねる意見にちょっとびっくりしてしまう。夏目漱石の『明暗』が失敗作だという意見はこれまでに一度も聞いたことがない。
三島が自決するところも非常に詳しく書かれていて、少し気持ちが悪くなったくらいだった。
それにしても三島由紀夫はなぜそんなに自衛隊に肩入れしたのだろうか。ちょっと不思議だ。そこのところがよくわからない。吉本隆明が「どこまで本気なのかね」と言っていたのもよくわかる。
こんなにものすごく知的な人が、どのようにしたら自衛隊に決起を促して憲法改正をさせようと本気で考える事ができ、それに命をかけられるのだろうか。ほんとうにわからない。
印象に残ったのは三島由紀夫と盾の会の五人が拘束した益田総監で、こんなふうな気骨のあるひとが昔はいたんだな(いまはサラリーマンばっかりだな)と思った。
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先崎彰容『バッシング論』

2019年07月18日 00時04分53秒 | 文学
先崎彰容『バッシング論』(新潮新書)を図書館で借りて読んだ。
最近話題になった出来事を取り上げ、最後に古典(といっても小林秀雄や江藤淳や三島由紀夫や丸山真男や福田恆存など)の言葉を引いてきてまとめるスタイルで、とても落ち着いた良い仕事だと思うのだが、途中くらいまで「いったい何が言いたいのかはっきりさせて欲しい」という気持ちで読んでいた。
対立するどちらの言い分も批判し、それでいて自分の意見をはっきり言わない、というような文章に読めた。
いま私たちは誰かの意見を聞くときに「右か左か」ということだけはとにかく早く言って欲しいと思っていやしないだろうか。それで相手が「右」だと分かっても「左」だと分かっても安心して、その後の話を聞いていられる(いや、そのあとは聞いていやしない)。
そのような態度をこそこの人は批判しているのだろうな、と思った。
「六 「言論空間」が荒廃していく ――保守主義論」は雑誌「新潮45」休刊にまつわる話だが、これまでこのことに関して読んだどの文章よりも良いものだった。福田恆存を読みたくなった。
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中島敦『教科書で読む名作 山月記・名人伝ほか』

2019年07月17日 21時44分06秒 | 文学
中島敦『教科書で読む名作 山月記・名人伝ほか』(ちくま文庫)を読んだ。
中島敦の小説を読みたいと思って探したが、どの文庫も似たようなものでどれを選ぶべきかと思った。
ちくま文庫に「教科書で読む名作」というシリーズがあり、選ばれている短篇も有名なものばかりだし、「山月記」の元になった話が載っているというのでこれにした。

「山月記」
たしかに高校の教科書で読んだ事があるのだが、「虎になった話」というくらしか印象に残っていなかった。
妻子との生活と、自分の才能に賭けたいという思いの狭間で狂って虎になっていまうというのはとても胸に迫るものがあるなと思う。若いころはそんなふうなことはあるものなんじゃないだろうか。でも高校生じゃ若過ぎてわからないように思う。
解説の「「山月記」から始めてみよう」を書いている蓼沼正美というひとは知らないが、どういうひとなのだろうか。興味を持った。
主人公の語っている事と客観的な事実というものは違っていて、語りながら主人公はそれが真実だと思うのだが、そうでもないのではないかというような論だった。

「名人伝」
オイゲン・ヘリゲルの『弓と禅』を読んで読みたくなったのはこの話なのだが、こういう話であるという事を忘れていた。
もっと弓の奥義のようなものが語れるのかと思っていたが、「そんなことあるわけないじゃん」という話だった。

「狐憑」
ここで言う憑きものとは、物語るということ。

「幸福」
夢の中での逆転。

「牛人」
窓口をひとつだけにしておくべきではない。

「悟浄歎異」
沙悟浄の語り。

「弟子」
孔子の弟子の子路の話。長くて退屈した。あまりおもしろくなかった。

「李陵」
祖国に帰れなくなった李陵と、祖国からひどい仕打ちを受けた司馬遷の話。

「山月記」が最もおもしろかった。
解説を読んで、森鴎外を読みたいなと思った。

この「教科書で読む名作」シリーズの中では『教科書で読む名作 夏の花ほか 戦争文学』に興味を惹かれた。
原民喜の『夏の花』は確かに教科書で読んだように思うが、トイレで被爆したという事以外に何も思い出せない。
大学時代に毎年夏に戦争文学を読もうとしていた事があったのだけれど、『夏の花』は読まなかった。そろそろ夏で時期もいいので読んでみるかもしれない。
ただ『教科書で読む名作 夏の花ほか 戦争文学』のなかでもう一つ興味のあった山川方夫の『夏の葬列』は書店での立ち読みで読み終えてしまったので、この文庫は買わないと思う。
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T.E.カーハート『パリ左岸のピアノ工房』

2019年07月15日 02時40分41秒 | 文学
小津安二郎の『秋日和』を観たあとなんとなく眠れなくなり、T.E.カーハート『パリ左岸のピアノ工房』(新潮社)を読み終える。
この本は、ピアノに関する本を読みたくなって何冊か読んではみたのだが、そのなかではもっともおもしろいものだった。
エッセイのような小説のような、僕の好きな形式のお話で、いろいろなピアノについての話があり、一応小説のようにして話が終わる。ピアノコンクールの話でも、調律師の話でもなく、ただのピアノ好きのパリに住むアメリカ人のおじさんの話で、ピアノを販売している店との人の付き合いから、自分の子供のころのピアノを習った頃の思い出話などがいろいろ語られる。
僕の娘がピアノを習っていて、練習を聴いているととても幸せな気持ちになるし、さらにこの本を読んでいると自分もピアノを練習して弾けるようになったらいいだろうなと強く思った。
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小津安二郎監督『秋日和』

2019年07月15日 01時34分42秒 | 映画
小津安二郎監督『秋日和』を観る。
沢村貞子を見るために観たのだけれど、結局佐分利信と原節子を見る事になってしまった。
沢村貞子はこんなひとだったなと思った。以前この映画を観たときのことも思い出したように思うけれど、子どもの頃にテレビに出ていた沢村貞子を思い出したようにも思う。あんまり好きではなかった。意地悪な感じで。
『秋日和』はとってもおもしろい映画で、こんなにおもしろい映画はないなと感じる。いつまでも観ていられる。
佐分利信が出ているとそれだけで安心してしまう。
結構下ネタもひどい。
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