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内田樹『常識的で何か問題でも? 反文学的時代のマインドセット』

2018年11月28日 21時58分02秒 | 文学
内田樹『常識的で何か問題でも? 反文学的時代のマインドセット』(朝日新書)を図書館で借りて読んだ。
「おや?」と思ったのは「まえがき」で、
《僕は断固として「最悪の場合に備える」派です。》(7頁)
と言っているあたり。
内田樹は昔よく、悪い予想をするひとは、どうしてもそれが当たるように行動してしまうものである、というようなことを言っていなかっただろうか、と思った。
かつて、僕がものすごく内田樹にはまっていたころは、この本に出てくるように政治的は話はあまりしなかったように思う。それが安倍政権が長く続くにつれて、現代日本の政治の話が多くなった。ツイッターでもその話題が多い。

この前テレビの「ニッポンのジレンマ」という番組で、五木寛之が古市憲寿と話していたが、五木寛之くらいの世の中との距離感はいいなと感じた。ちょっといい感じだった。
古市憲寿はなんだか癖のある嫌みな感じの人だし、安倍昭恵夫人のお友だちという評判のある人で、対談など断りたくなるような印象なのだが、五木寛之は親しそうに話しているし、古市憲寿もいつもよりも素直な印象だった。
五木寛之は無敵なのではないかと思った。
こんな感じの、無敵の印象なのはほかに糸井重里くらいしか思い浮かばない。
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高橋源一郎『今夜はひとりぼっちかい? 日本文学盛衰史 戦後文学篇』

2018年11月27日 12時11分38秒 | 文学
高橋源一郎『今夜はひとりぼっちかい? 日本文学盛衰史 戦後文学篇』(講談社)を図書館で借りて読んだ。
小林秀雄と大岡昇平がツイッターでやり取りするところを本屋で立ち読みし、「おもしろそう」と思い買おうかと思ったが「ちょっと待て」と思い図書館で借りた。「ちょっと待て」と思ったのは高橋源一郎の小説には失望することが多いからだ。
今回の小説はすらすら読めて、たいへんおもしろかった。
でもこれがいわゆる小説かというと疑問で、「いわゆる小説かというと疑問」なものも小説だと言えばそうなのだが、その時々で高橋源一郎が興味のあることをつらつら書いているように見える。一貫したお話のようなものはない。
小林秀雄と大岡昇平のツイッターのやりとりもちょっと出てくるだけで、そのあと何か出てくるというわけではない。
この小説に出てきたことをまとめると、

『全身小説家』という井上光晴のドキュメンタリー映画(原一男監督)を学生と見て、学生が戦後文学者の名前を知らないということ。
 ↓
その学生のラップでの独白。タイトルは「ラップで歌え、サルトル!」。(『裏声で歌へ君が代』から?)
 ↓
内田裕也のこと。
 ↓
武田泰淳という人のこと。
 ↓
ツイッターでのつぶやき。小林秀雄や大岡昇平らのほかに平野啓一郎や島田雅彦などが登場。石坂洋次郎についてのツイートもあり。
 ↓
小熊英二のこと。再び武田泰淳のこと。
 ↓
本が売れないこと。
 ↓
中森昭夫の『アナーキー・イン・ザ・JP』のこと。
 ↓
映画『SR サイタマノラッパー』のこと。
 ↓
石坂洋次郎の『光る海』と『青い山脈』を読んだこと。
 ↓
宮崎駿に会ったこと。
 ↓
東日本大震災に遭ったこと。(もっとも感動的。とくに卒業する学生への挨拶。)
 ↓
エピローグは昔の高橋源一郎の小説的なものをやりたかったのか。ちょっと『1Q84』のようにも読める。いちばん意味が分からない。

という感じだった。
お好きな方はどうぞ、という感じで、いわゆる普通の小説を期待している人には向かない。しかしそんなひとは高橋源一郎の小説は読まないのかもしれない。
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頭木弘樹編訳『絶望名人カフカの人生論』

2018年11月24日 10時08分57秒 | 文学
頭木弘樹編訳『絶望名人カフカの人生論』(新潮文庫)を読んだ。
カフカと父親との関係に興味を持った。
あまりに厳しい親に育てられると、神経質な子どもはカフカのようになる。またはあまりに親が厳しいと子どもは神経質になる。
と思った。
こうやってカフカの日記や手紙の断片を読んでみるとカフカはあまりに可哀想で、彼の書いたものにも興味が出てくる。
あまりカフカの小説が好きだと思ったことはこれまでないのだが、短編小説くらいから始めてみようかな。
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武田百合子 『新版 犬が星見た -ロシア旅行』

2018年11月23日 22時19分52秒 | 文学
武田百合子 『新版 犬が星見た -ロシア旅行』(中公文庫)を読む。
以前『富士日記』を読んだときに好きで、『日日雑記』も読んだのだが、『犬が星見た』は字が小さくて読んでいなかった。今回新版が出たので読んだ。
武田泰淳と竹内好と武田百合子がロシアと北欧を旅行するのだが、読んでいると自分も一緒に旅行しているような気分になって楽しい。
アルマ・アタに旅程の都合で行けなくなってしまったときに武田泰淳が「どうしてアルマ・アタに行けないのかなあ」とずっと言い続けるのが印象に残っている。
竹内好に、今日行くところはどうせ博物館だろうと彼女が言って彼が同行しなかったときに、ヤルタ会談の城に行って、実は竹内が行きたかったところだったと知ったときの百合子のショックも印象に残る。
一緒にツアーに参加している銭高老人の「わしゃ、よう知っとった」も記憶に残る。
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佐々木典士『ぼくたちは習慣で、できている。』

2018年11月22日 21時54分38秒 | 文学
佐々木典士『ぼくたちは習慣で、できている。』(ワニブックス)を図書館で借りて読んだ。
きちんと習慣づけて生きていかなければいけないな、とずっと思っているのだがなかなかできなくて、またこの本を読んでも思い、なんとかしたいと思っている。
この人が読んだ様々な本が出てくるのだが、読んだことのある本も結構あった。
村上春樹はもはやマラソン界のカリスマだと思う。マラソンを始めたひとのかなりの人は村上春樹の影響を受けていると思う。
『天才たちの日課』は読んでみたいと思う。

読んでいるうちは自分も頑張ろうと思うのだが、読み終わってしまうとまた相変らずの日常を生きてしまう。
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頭木弘樹『絶望読書 苦悩の時期、私を救った本』

2018年11月18日 23時06分16秒 | 文学
文庫になっているのが気になって、買おうかとも思ったのだが初めて読む著者の本だし、そんなにたいした内容でもないかもしれないので、頭木弘樹の『絶望読書 苦悩の時期、私を救った本』(飛鳥新社)を図書館で借りて読んだ。
とてもおもしろかった。この人の他の本は買って読もうと思う。
絶望したときに、すぐに回復しようとするのではなくてしばらく絶望のままでいることも大切であるという意見はなるほどと思う。
しかしほんとうに絶望したときには本も読めなくなるかもしれないので、そこまでにならないうちに本を読んでおくことも大切というのにもなるほどと思った。
ほんとうに絶望を経験した人の考えは違う。
絶望したときはそれまで自分の描いていた人生についての脚本がそのままに行われなくなる時なので、別の物語を作る必要があり、物語を必要とするというのもそうかもなと思った。小説を読むというのが実はどういうことなのかよくわからなかったのだが、一番納得できる答えだった気がする。

出てきたもので読むまたは見たいまたは聞きたいと思ったのは、
『桂米朝 上方落語大全集』
『ばしゃ馬さんとビッグマウス』
と、それとカフカの日記や手紙。
カフカの日記や手紙はぜひ手に入りやすい文庫にすべきだと思う。
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『刑事コロンボ』死の方程式

2018年11月14日 21時59分50秒 | テレビ
少し前にNHKで『刑事コロンボ』をこれから放送しますという番組をしていて、船越英一郎が司会をしていた。
番組の冒頭で船越英一郎がコロンボのモノマネをするのだが、「ウチのカミサンがね」とは言わなかった。船越英一郎のカミサンはどうしているかなと思った。
それで番組を見て興味を持ったので『刑事コロンボ』を録画して観た。「死の方程式」。
最初のほうはいろいろよくわからず、人間関係が分かり難いし、最後の謎解きでいろいろ細かいことを言われてもぜんぜんわかんないだろうなと思いながら見ていたが、おもしろい終わり方でそこまで細かい設定を理解しておく必要もなかった。
コロンボはおもしろいかもしれない、と思った。
吹き替えの日本語が古くさいのもなかなか良い。

今年の「NHK紅白歌合戦」はSuchmosとDA PUMPと松任谷由実が出るので楽しみだ。こんなに注目歌手が出ることはあまりない。
Suchmosは注目していたのにあまりテレビには出ないので、こんな感じでテレビには出ないままの歌手なのだろうと思っていた。そのうち「SONGS」にも出るのかもしれない。「カウントダウンティービーをご覧の皆さんこんばんは、(みんなで一緒に)サチモスです」と言う日も近い。(ひょっとしてもう言ったのかもしれないが、番組を見ていないので知りません。)
あいみょんと純烈とDAOKOは知らない。
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山田昌弘『底辺への競争』『悩める日本人』

2018年11月13日 11時50分15秒 | 文学

佐藤優の本を読んでいたら出てきたので、山田昌弘『底辺への競争 格差放置社会ニッポンの末路』(朝日新書)と、ついでに『悩める日本人 「人生案内」に見る現代社会の姿』(ディスカヴァー携書)を図書館で借りて読む。
『底辺への競争』は読んで、暗い気持ちになる。
いま四十代の私たちの世代は、ほんとうに難しい時代を生きてきて、これからも難しい時代を生きて行くのだなと思った。やれやれ。
『悩める日本人』は新聞で人生相談の回答をして、それに対する反省などを書いている。
この人の人生相談の回答はあまりおもしろくなく、常識的。日本社会は世間体を気にする、と言っていて確かにその通りだが、この人自身も新聞紙上の回答で世間体を気にしているのではないかと思った。もっと思ったことを率直に回答しろ、世間なんか気にするな、と思った。
結局は不況ということが悩みの中心になっていると感じる。
いまの時代をどのように生きていけば良いのか、もうずっと不況なのにみんなまだ分からずにいる。もちろん私も。
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宮崎駿監督『もののけ姫』

2018年11月09日 23時14分15秒 | 映画
録画していた宮崎駿監督『もののけ姫』を観た。
長いので二日に分けて見たが、迫力があって見応えのある良い映画だった。
観ていると黒澤明の時代劇映画を見ているような雰囲気があった。それを目指している部分もあったのだろう。
おっことぬしが祟り神になりかけるところはすごい。そこからアシタカがサンを救い出そうとするのだが、『天空の城ラピュタ』の「海に捨ててぇ」の場面を思い出した。いろいろなことが思い出される。
エコロジー思想のようなものに引っかかりを感じてよく見られない時期があったが、いま観るととてもおもしろい映画だと分かる。
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幸田文『台所のおと』

2018年11月09日 00時27分39秒 | 文学
幸田文『台所のおと』(講談社文庫)を読んだ。
『台所のおと』を読みたいと思ったのは確か高橋源一郎の何かの本を読んだときで、もうずいぶん昔たぶん、二十代の頃じゃないかと思う。
他の幸田文の本はいくつか読んでいるのだけれど、なかなか読まなかった。
女性の書いた台所の話ということで吉本ばななの『キッチン』みたいなものを想像していた。台所とかお料理とかそういうものをテーマにした小説、特に女性の書いたものに惹かれる。男性の書いたものも、村上春樹の小説の料理のシーンとか、是枝裕和の映画も好きなので、好きなのかもしれないが、男性の書いた台所を中心とした小説というのがあまり思い浮かばない。女性の書いたものも実は『キッチン』以外には思い浮かんでいない。ただ、料理研究家(女性)の本を読むことが多いので女性は台所のことをよく書くという印象がある。
と、いろいろ書いてみたが、幸田文の『台所のおと』は予想とは違う小説だった。
なにか切実な感じが出ていて素晴らしい短編集だとは思うが、また読み返したいというほど好きではなかった。
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