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朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』

2013年08月19日 21時41分32秒 | 文学
朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』(集英社文庫)を読んだ。
タイトルに桐島という名前を出しながら桐島という人物そのものは登場せず、彼を巡るひとびとの話になってるところに工夫がある。
あとは、映画の『ジョゼと虎と魚たち』が僕は好きなのだが、この映画について何度も言及されるのでうれしかった。自分の好きなものをただ同じく好きだと言われるだけでうれしいと思ってしまう。もう少し映画の内容について詳しく語ってほしかったが、小説でそこまで望むのはおかしい。しかし、映画について詳しく語りつくしている小説を読みたいと前々から思っている。
高校生の価値観についてよく描かれているが、僕の高校時代と同じようでもあるし、違うようでもあり、そんなことはどうでもよくもある。
ある特定の場所の特定の年代では、このような価値観であるということを報告された、といった印象。私には関係ないかなと思った。
村上龍の『トパーズ』を少し思い出した。ひさしぶりに『トパーズ』を読み返したくなった。と思いアマゾンで検索したら、『トパーズ』が絶版になっている。時代は流れるなあ、昭和の名作なのに手に入らないなんて。

朝井リョウの小説はもう読まなくてよいと思いました。
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村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』

2013年08月16日 22時03分08秒 | 文学
村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を読んだ。
たぶん『スプートニクの恋人』や『海辺のカフカ』くらいから、村上春樹の長編小説はいったい何が行われているのやらさっぱりわからない。たぶん村上春樹自身にもよくわからない(と村上春樹は言うのだろう)。
『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』も何が行われているのか誰か明確にわかる人がいるのだろうか。僕にはわからない。何が行われているかもわからないし、わかるひとがいるかどうかもわからない。
タランティーノの『キル・ビル』みたいに、恨みのある人物を順番に訪ねていって復讐をしていくのかというとそうでもなくて、相変わらずの村上春樹的な人物と村上春樹的なお話だった。もう慣れているので、何が行われているかわからなくても、もうページ数がすくないのにぜんぜん話が収束しないまま主人公がよくわからない内省を始めるのにも僕はまったく驚かないのだが(むしろそうじゃないほうが驚く)、初めて読んだ村上春樹の小説がこれだったらどう思うのだろうか。どうやって楽しんだらいいのかわからないだろう。
この小説は過去の村上春樹作品と比較して、ここは『ノルウェイの森』のあれだな、とか、いつものやつだな、とか、ちょっと変化球だな、みたいなことを考えながら読むものなんだと思う。
上手な文章はあいかわらずの村上春樹で、それを楽しむべきものなのだと思う。
それ以外にどういう読み方があるのか僕にはわかりません。

しかしやっぱり『ノルウェイの森』はよかったな、といつもの感想が繰り返されるのでした。なんだろう。切実さ、みたいなものが足りない。
それはおそらく読むほうの僕にも足りない。
ということは、切実な何かを求めている人が読んだら、この小説も切実に読めるのかもしれない。
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村上春樹の『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を読み始める

2013年08月15日 00時32分15秒 | 文学
村上春樹の『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を読んでいて、たぶん三分の一ほど読んだのだが、とてもおもしろい。
やはり世間でよく言われているように、『ノルウェイの森』に近い。
名前に色が入っている人、ということでアカとアオとシロとクロが登場し、灰色まで登場した段階で「この小説には緑は登場しないのだろうな。『ノルウェイの森』に緑は登場したから。灰色が料理が好きで『ノルウェイの森』での緑の役割をしているし」と推理をしていたのだが、すぐ直後に緑が登場する。
緑は他人のオーラの色がわかる人で(オーラの、とは言わないのだが)、江原啓之か!? と思った。
『ノルウェイの森』との違いは、母親について語られていることと(いままでの村上春樹の小説に大学生の息子に干渉してくる母親が登場したものがあったかな?)、ホモセクシャルを描いていることだと思う。たぶん、母親とホモセクシャルは村上春樹にとって(というかだいたいの若い男子にとって)、心理的な抑圧が強すぎてうまく素直に描けない。それが年齢のせいでこだわりがなくなったのだろう。
過去と現在と他人の話が上手に語り分けられた小説で、こういうよく練られたものを読むと小説っていいなと思う。
これからも小説を読んでみようと思い、引き続き読んでいこうと思ったものを以下に挙げておく。

朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』
平野啓一郎『ドーン』
水村美苗『本格小説』

気になっても読んでいない日本の作家のものを読んでおこうと思う。
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夏目漱石『門』

2013年08月12日 22時23分27秒 | 文学
夏目漱石『門』(新潮文庫)を読んだ。
こういう本は、もうだいたい昔読んだときの印象の確認と検証になってしまう。
今回は、禅寺に行っている間の話が思っていた以上に短いなと感じた。もっと早い段階でお寺に行って、何日も何日もこもってああでもないこうでもないと橋本治のように(分かる人だけ分かればいいです)悩むのかと思っていた。
それと安井と、主人公宗助と妻御米との三角関係についても、もっと詳しい話があるのかと思っていたら、あまり詳しくはなく、そこは『それから』参照みたいな感じで、勝手に想像しろというような描かれ方だった。
いったい何があって、どうして宗助はそこまで安井に会うことを恐れるのか、『門』を読んだだけではよく分からない。たぶん、そこには漱石的な三角関係があったのだろうと、みんなが思うから描かれていなくても描かれていたような気になる。
吉本隆明の『夏目漱石を読む』では、子供のいない夫婦を描いた傑作で、一番好き、というような言い方をしているが、たしかに子供のいない夫婦のせつなさがよく書けていると思った。夏目漱石自身は子沢山だったと思うのだが、よくその気持ちが分かるものだと思う。
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「SWITCHインタビュー」宮崎駿×半藤一利

2013年08月05日 00時28分17秒 | テレビ
NHK教育の「SWITCHインタビュー 達人達」は宮崎駿と半藤一利が出演なので見た。来週も瀬戸内寂聴が登場するので見ると思う。
「ミュージック・ポートレイト」もそうだが、なかなか見たくなる出演者を選んで、素晴らしい。

宮崎駿の新作映画『風立ちぬ』はぜんぜん興味がなかったのだが、こうやって宣伝をされるとだんだんと見たくなってしまう。といっても、まだ娘が一緒にいけるような年齢ではないので、ブルーレイが発売されたら買って見るかもしれない。しかしこの映画は対象年齢はどのくらいを想定しているものだろうか。太平洋戦争のときに零戦を作った男が主人公で、恋人が堀辰雄の登場人物のように肺結核に冒されているような、そんな話をアニメでやって子供が喜ぶのだろうか。宮崎駿だからできる企画だなあ。
『崖の上のポニョ』よりもおもしろそうだ。
ちょうど半藤一利の『あの戦争と日本人』を読んでいるので、番組はとてもおもしろかった。
やはり毎年この時期になると戦争の本を読んでしまう。

林真理子が最近よくテレビに出ているが、なんでなんだろう。
どこかの事務所と契約したのだろうか。
ちょっと前に具志堅用高がよくテレビに出始めた時に、訝しんでいたら、どこかのプロダクションに入ったことを知り、非常に納得したことがある。
またそんなことだろうか。
いま読みたい小説がないので、林真理子の小説を読んでもいいのだが、何が代表作なのか知らないので読めない。瀬戸内寂聴もそうだが、テレビでよく見る作家は「テレビでよく見る作家」という認識で終わってしまって、「私が読む本を書く作家」とは認識されない。
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よしもとばなな『どんぐり姉妹』

2013年08月04日 01時05分30秒 | 文学
よしもとばなな『どんぐり姉妹』(新潮文庫)を読んだ。
ひさしぶりに小説を読みたくなって、でも分厚いのはやだなと思い、ちょうど文庫の新刊で出ていたので買って読んでみた。
人生相談サイトの話ということで、次から次へといろいろな相談が寄せられて、それに対してどんぐり姉妹が切って切って切りまくるようなそんな内容を期待していたのだが、違った。
どちらかといえばよしもとばななの良くない面がよく出ていた作品だった。
全部夢の話で、あまり現実感のない話だった。
またしばらくよしもとばななの本から離れると思う。
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