ダブログ宣言!

ひとりでするのがブログなら、
ふたりでするのがダブログ。

アラン『幸福論』

2013年01月29日 00時15分42秒 | 文学
アラン『幸福論』(岩波文庫)を読んだ。
通して読むのは三回目か、四回目だと思う。読むたびに「そうだそうだ」と思う。
今回は、子供ができてから初めて読むせいだろうと思うが、子供の話をしているのが多いことに気づいた。何かといえば、子供を見ればわかる、というようなことをアランは言っている。
確かに、子供は泣いたと思っても、高い高いをすればすぐ笑う。悲しみのきっかけはちょっとしたことで、悲しみを引きずるのは自分の中で繰り返すからだということはよくわかる。
意志力ではどうにもならないから、体操するなりして行動しろ、ということもアランはよく言う。最近テニスをするので、このあたりの運動の効用についてはよくわかる。気分が落ち込んでいても、しかたなくテニススクールに行ってテニスをすると、気分が晴れるというのはほんとうにその通りだ。

一年ほど前に白水社版で読んだが、やはり岩波版が良いと思う。
コメント

荻上直子監督『トイレット』

2013年01月27日 17時55分36秒 | 映画
荻上直子監督『トイレット』を見た。
もたいまさこがアメリカにやって来た日本語しかわからない祖母役で、最後までほとんど話さず、不思議な役だった。
誰の映画に似ているかというと、ウディ・アレンの映画に似ていて、たんたんと話が進み、あまり力を入れずに見られるのがよい。
外国人が日本にやってきて、日本語を解さず周りが右往左往するというのはあるような気がするけれど、日本人の監督で逆のパターンをやっているところがおもしろいところだと思った。
コメント

スポーツの道具について。マクゴニガル『スタンフォードの自分を変える教室』。

2013年01月27日 11時09分54秒 | 文学
テニスのラケットのガットを、スクールに通い始めてからずっと(1年半)変えていなかったのだけれど、張り替えた。
スポーツの道具については、「プロゴルファー猿」が理想で、木を削っただけのドライバー一本でなんでもできるようにならなければいけないと思っている。道具にこだわるのはよくない、金をかけるのもよくないと思っている。こういうのは子供のころのマンガの影響は馬鹿にできない。
しかしガットを張り替えてみると、ものすごく使いやすくなって、考えを改めないといけないなと感じた。

ケリー・マクゴニガル『スタンフォードの自分を変える教室』(大和書房)を読んだ。
ベストセラーランキングに入っていて、”受講者の97%に影響を与えた”と宣伝されているので期待していたのだけれど、僕の人生には影響を与えそうにない。
ティナ・シーリグの本のほうがおもしろかった。
意志力を向上させるためにこの本に書いてある各章を一週間ずつ実践していけば、ほんとうに自分を変えることができるのかもしれないが、屁理屈を言わせてもらうと、この本に書いてあることを実践しようとする意志力が私にはない。
こういうのは、なんとなくなんだけれど、このひとに付いていこうという気分にさせてもらえなかった。
ダイエットの話と禁煙の話とドラッグの話が多くて、アメリカ人の生活観が日本人と(というか私と)ちょっと違うなという気がした。いつも、チョコレートを食べてはいけないと思いすぎているんじゃないかと思った。
2つのチョコレートをいまもらうか、しばらく待って6つもらうか、の選択の実験結果として、いま2つもらうひとのほうが多かったという話があり、それを人間の意志力の弱さの根拠のように言っていたのだけれど、4つのチョコレートをもらうのにしばらく待つくらいなら、ひとつもチョコレートをもらわずにいますぐ教室を出たいと思う人のほうが人間的なんじゃないんだろうか。
そんなにチョコレートがほしいかなあ。
こういう少しずつの細かいところで違和感を感じ、信用できなかった。
しかし、私も含めて自分を変えたいと思っている人は多いのだろうなと思う。
この本を読み終わった後は、すっかり自分が変わって、または変わろうという気分になって、明日から早起きしてマラソンを始めると思っていたのだけれど、そうはならなかった。
コメント

適菜収『ニーチェの警鐘』感想

2013年01月16日 22時46分20秒 | 文学
適菜収『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』(講談社プラスアルファ新書)を読んだ。
もうずいぶん前、5年ほど前にこの人の『キリスト教は邪教です!』を読んで、その後読んでいない。コメント欄で本人に薦められた『いたこニーチェ』も読んでいない。
今回なんだか気になって、この本を古本屋で買って読んだ。
ニーチェというのはなかなか扱いの難しい思想家だなと思う。
ニーチェの影響をもろに受けてしまうと、こんな感じになってしまうのだなと思う。
この間、マツコ・デラックスがテレビで「みんな死んじゃえ、と思っていた時期がある」と言っていて、そういう時期は確かにあるよなと思った。
青年期にはみんなが通り過ぎて、通り過ぎてしまった後は恥ずかしくなってしまうような考えがあって、適菜収の『ニーチェの警鐘』はそういうような考えの本だった。
吉本隆明も竹田青嗣も間違っていて、さまざまな政治家が駄目で、一般大衆はB層だからバカ、となるといったいこのひとは何を肯定するのだろうという気持ちになった。ニーチェだけ?
こういう気持ちはさっきも書いたように経験があるので、言いたい気持ちがわからないでもないけれど、そういうことを言い続けても幸せにはなれない。本を読むときに、書いた人のようになりたいか、憧れるか、書いた人は幸せか、というのは結構重要なことだと思うのだが、私には縁のない書き手かもしれないなあ。ニーチェの言うように、愛せない場合は通り過ぎようと思う。
『キリスト教は邪教です!』のような、わかりやすい翻訳をもっとしてほしい。
コメント

モーパッサン『女の一生』感想

2013年01月15日 22時17分53秒 | 文学
モーパッサン『女の一生』(光文社古典新訳文庫)を読んだ。
小説というのはいろいろな出来事が次から次へと起きていくものなのだなと改めて思った。いろいろな出来事が起きて、それを追っているうちに本を読み終えるという読書だった。なかなかおもしろかった。何か深い考えを得るというようなものではない。
海外の名作というものは純文学なのだろうと思ってしまっているのだが、『女の一生』が純文学かというとなんか違う。昼メロのような話だった。読んだことはないので適当に言うのだけれど、たぶん菊池寛の『真珠夫人』なんかと同じような雰囲気だろうと思う。
修道院で暮らしてきた女が格好いい男と結婚したら、暴力的で金にセコい男で、しかも女癖が悪い。女中が妊娠して出産する。それは夫の子で、自分も妊娠して息子を産む。夫は他の女にも手を出すが、手を出した女ともどもその夫に殺される。息子も女癖が悪いので主人公の女は苦労する。
簡単に言えばそんな話だった。
後半の、夫が死んだあとの話はなくてもよいかなと思った。
新婚初夜の場面と、夫が殺されるという展開が印象に残った。頭のおかしい神父がいて、犬を殺す場面があるのだが、これも印象に残る。
印象に残る場面がいくつもあり、確かに名作なのだろうが、厭世的な話なので、明るく元気な気持ちにはならない。
短めの『アンナ・カレーニナ』といった感じ。
コメント

久々のテニス、スコラ

2013年01月12日 22時11分23秒 | 文学
年始に休んだので三週間ぶりにテニスをする。
下手になっている。
少しでもやらないと下手になってしまうのだな、と感じた。
継続は力なりなのだと思う。

NHKで「スコラ 坂本龍一 音楽の学校」の新シーズンが始まったので見た。
岩井俊二が出演することを知っていたのでたのしみにしていた。
しかし、見ると岸野雄一という”ヒゲの未亡人”の扮装をしたひとが気になって仕方がなくて、内容が頭に入ってこなかった。
今後も見る予定。
コメント

筒井康隆『大いなる助走』

2013年01月06日 19時30分35秒 | 文学
筒井康隆の『大いなる助走』(文春文庫)を読んだ。
『文学部唯野教授』の文学講義をなくしたような雰囲気の小説だった。
筒井康隆の、いつもの、頭の狂ったような登場人物がたくさん登場し、すこし疲れる。その前に、懐かしの吉本ばななの『キッチン』を読んだので、その人物設定の振り幅の大きさに酔ったのかもしれない。一方はキチガイの罵倒、もう一方は心のやさしい人たち。
同人誌の合評会に参加したことはないので、ここで描かれる雰囲気に実際に接したことはないのだが、大学の卒業論文発表会みたいな雰囲気に近いんだろうなと思った。つまんないやつがどうでもいい理屈で威張るところが一緒。
コメント

小林秀雄『近代絵画』、今年読む本

2013年01月05日 01時02分17秒 | 文学
小林秀雄『近代絵画』(『小林秀雄全作品 22』所収)を読んだ。
小林秀雄がピカソについてどのように考えているかを知りたくて読んだのだが、あまりよくわからなかった。大岡昇平との対談でピカソはあまり好きではないと語っていたが、それ以上のことは知れなかった。『近代絵画』には「ピカソは嫌いです」と書いているわけではないから、大岡との対談のほうがかえってよくわかったと言える。
次は『ゴッホの手紙』を読もうと思う。

そのほか、今年読もうと思っている本としては、
モーパッサン『女の一生』
筒井康隆『大いなる助走』
司馬遼太郎『この国のかたち』
大岡昇平の本
幸田文の本
などがある。
『女の一生』はフランス文学の名作なのに読んでいない。久しぶりにフランス文学の名作を読んでみたくなった。小林秀雄と大岡昇平の対談でもモーパッサンは初期のものが良いと小林秀雄が言っていて、じゃ読んでみようと思った。
猪瀬直樹のものをずっと読んでいたのだが、だんだんと読みたいものがなくなってきた。猪瀬直樹は文学を崇め奉らずに政治とか経済のなかで語るということができる人で、とてもおもしろい。ほかの作家で、ということになるとあまり思い浮かばず、筒井康隆の『大いなる助走』がそんな感じなのではないかと思い、興味を持っている。ほかでそういう傾向のある人というと、司馬遼太郎くらいだろう。司馬遼太郎の『この国のかたち』などを読むのもよいかもしれないと思う。
大岡昇平と幸田文は引き続き少しずつ読むつもり。

NHKで「亀田音楽専門学校」という番組を2回放送していて見たが、おもしろかった。
音楽の理論というものは音符も読めないのであまりよくわからないのだが興味がある。
出演していた音楽プロデューサーの亀田誠治というひとに興味を持ったが、本は書いていないようだ。
平井堅も出演していて昔の歌謡曲を歌っていた。僕はずっと昔から、平井堅の歌謡曲集のカバーアルバムが出たら手に入れたいと思っているのだけれど、なかなか出ない。本人が作るよりも過去の名作を歌ったほうがいいと思うんだけど。
コメント

猪瀬直樹『こころの王国』

2013年01月02日 00時54分54秒 | 文学
猪瀬直樹『こころの王国 菊池寛と文藝春秋の誕生』(文春文庫)を読んだ。
『ペルソナ』も『マガジン青春譜』も『ピカレスク』もおもしろかったが、この小説は失敗していると思う。おもしろくない。
夏目漱石の『こころ』に対抗して菊池寛が自身の短編集のタイトルを『心の王国』にしたという話があまり納得できないし、活きてこない。だからどうしたという感じ。
猪瀬直樹の本は続々と新事実が出てくるのが魅力なのだが、それも少ない。新潮文庫の菊池寛の『忠直卿行状記』の解説が吉川英治となっているが、実はそれは菊池寛自身が書いたものであるということくらい。
菊池寛というのは作家でありながら文芸春秋の経営をしていて、純文学の、世間のことなんか知らないよという態度に批判的な人たちには好まれる。
コメント