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梯久美子『狂うひと 「死の棘」の妻・島尾ミホ』

2019年10月30日 00時55分22秒 | 文学
梯久美子『狂うひと 「死の棘」の妻・島尾ミホ』(新潮文庫)を読んだ。
これはとんでもない本だった。ものすごくおもしろい。傑作。
島尾敏雄の『死の棘』を読んだ事はないのだが、読みたくなくなる。つらいだろうなと思う。
島尾敏雄も可哀想、息子も娘も「あいつ」も可哀想。島尾ミホも可哀想。
梯久美子は吉本隆明の本の聞き書きを担当していた事があったそうで、島尾ミホに話を聞きにいくのも吉本隆明がきっかけだったらしい。
島尾ミホが島尾敏雄の日記で読んだ(読まされた)「十七文字」というのが何度も出てきて、どういう言葉なのだろうと思っていたのだが、最後まで不明のままで残念だった。
『「死の棘」日記』は島尾ミホの追記や削除が入っているようで、あまり読む気にならない。ぜひ、完全版を出すべきだと思う。
島尾敏雄の愛人「あいつ」が「川瀬千佳子」という仮名になっているが、ここがどうも弱く感じてしまう。仕方のない事情があるのだろうが。
「あいつ」が電報などを送っているはずがないだろうと思ってしまった。ミホの自作自演だろう。
子どもがとにかく可哀想。そう思うと、『死の棘』が読めない。
でも買ってあるのでいつかは読むかもしれない。
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吉永小百合と是枝裕和

2019年10月28日 16時29分15秒 | テレビ
昨日から急に腰が痛くなり、あまり動けず会社を休む。
する事がないのでテレビを見る。

録画していた「プロフェッショナル 仕事の流儀」の吉永小百合スペシャルを見る。
吉永小百合主演の新作映画(「最高の人生の見つけ方」)にはあまり、というかまったく惹かれなかった。吉永小百合もあまり興味深く撮れていない番組だったと思う。
作っているひとが若くて、あまり吉永小百合に興味がないのかもしれないなと思った。
せっかくならもっと突っ込んで訊くべき事があるんじゃなかろうかと思った。吉永小百合が何を語ったかまるで思い出せない。

それから「BS1スペシャル 是枝裕和×運命の女優たち~フランスで挑んだ1年の記録~」という是枝裕和のインタビューを中心とした番組を見た。
ちょうど新作『真実』を観に行ったばかりなのでおもしろかった。
カトリーヌ・ドヌーブがすごいというような番組になっていたが、昼からしかやって来ないし、少し撮ったら煙草を吸って休むし、監督は大変だったんだろうなと思った。でも大女優感はやはりすごい。
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是枝裕和監督『真実』

2019年10月22日 20時51分50秒 | 映画
是枝裕和監督の『真実』を映画館で観た。
ひさしぶりの映画館で、途中でトイレに行ってしまった。家で映画を見る事に慣れすぎてしまって、劇場で観られなくなっている。
一緒に観たのは僕を含めて十人くらいであまり人気がないのかもしれないなと思った。
吹き替え版で観たのだが、やはりまあ映画館で吹き替えで観るというのも珍しい事なので違和感があった。
宮本信子のカトリーヌ・ドヌーブは、違和感はやはりあるのだが聞きやすくて良かった。
樹木希林のあとの是枝作品は、宮本信子でいいのではなかろうかと思った。

毒舌の映画女優で、娘は文筆業をしていてその夫は俳優で、しかも娘の父親はいるんだかいないんだかよく分かんない存在で、となると樹木希林と同じなのだが、カトリーヌ・ドヌーブはそういう役だった。樹木希林がモデルなのだろうな。
できれば樹木希林主演でこういう映画をやったら楽しかっただろうなと思う。実名で杉村春子や加藤治子の話や森光子の悪口なんかを台詞で言ったら盛り上がっただろうなと思う。少なくとも僕は楽しんだだろう。

映画の中でカトリーヌ・ドヌーブが撮影しているSF映画が思わせぶりで良い話だった。
病を進行させないために宇宙に住んで年をとらないようにした女性が、七年ごとに地球に帰還して娘に逢うのだが、その度に娘が年をとってしまうという話だった。この話が、カトリーヌ・ドヌーブとその娘のジュリエット・ビノシュの話にどう繋がるのか、いまいち繋がらないのだが、話としては考えさせる話になっていた。
カトリーヌ・ドヌーブの(たぶん)妹の死んだ映画女優の話も、思わせぶりで良かった。
やはり日本語で日本映画は観たいものだと思い、次回作に期待する。

途中でトイレに立ってしまったのでDVDになったら再度家で観ようと思う。
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是枝裕和『希林さんといっしょに。』

2019年10月21日 10時42分41秒 | 文学
是枝裕和『希林さんといっしょに。』(スイッチパブリッシング)を図書館で借りて読んだ。
是枝裕和の、樹木希林出演の映画を見返してみたくなった。
向田邦子の話や、森繁久彌の話を読んでいると、昔の芸能界の話は楽しいなと思った。森光子批判もすごい。
とても良い本だ。

この間「徹子の部屋」に「時効警察はじめました」の宣伝のために出演したオダギリジョーが、映画『東京タワー オカンとボクと時々オトン』の撮影のときにその映画の監督と樹木希林の仲が上手くいかなくて、そのせいで半分くらい白髪になってしまったという話をしていた。
『東京タワー オカンとボクと時々オトン』が観たくなった。
樹木希林の映画を見返すべきときなのだろう。
『モリのいる場所』も観るべきだろうな。

是枝裕和の映画は、よく考えてみるまでもなく樹木希林を見る映画だったのだが、今後どうするのか気になる。
カトリーヌ・ドヌーブがずっと出演するわけではないだろうから(樹木希林の代わりにカトリーヌ・ドヌーブがものすごい違和感で収まっている日本映画を一度観てみたい気もするが)、ほかの役者を見つけるのだろう。
それとももうお婆さんは出なくなるのか。それもいいかもしれない。
出すのならぜんぜん違う吉永小百合とか出してみるのもいいかもな、などと勝手にキャスティングを考えている。
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近藤誠・林和彦『がんは治療か、放置か 究極対決』

2019年10月19日 14時16分14秒 | 文学
近藤誠・林和彦『がんは治療か、放置か 究極対決』(毎日新聞出版)を図書館で借りて読んだ。
究極対決というほどの対決でもなくて、近藤誠の圧勝に見えた。
林和彦はよく出てきたなと思う。すばらしい。
近藤誠が最初のほうで語っていたが、いろいろな人に対論を呼びかけても誰も来ないらしい。この本が出て、さらに誰も対論を受けなくなるだろうなと思う。
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岸見一郎『叱らない子育て』

2019年10月16日 21時30分39秒 | 文学
『嫌われる勇気』を読んでアドラーに興味を持ち、岸見一郎の『叱らない子育て』(学研パブリッシング)を図書館で借りて読んだ。
子どもを叱らないでいたいとはいつも(叱っているとき以外は)思っているのだけれど、どうしてもやることが遅かったりすると叱ってしまう。
褒めもせず、叱りもせず、勇気づけて、信用せずに信頼しようというのは、できないだろうなと思った。
《大人も子どもにお願いします。なぜなら子どもと大人とは対等なのですから、命令することはできないからです。》(68頁)
というふうに書いてあり、基本的にはこの考え方が繰り返されるのだが、まあ難しいなと思う。
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近藤誠・萬田緑平『世界一ラクな「がん治療」』

2019年10月13日 10時25分38秒 | 文学
近藤誠・萬田緑平『世界一ラクな「がん治療」』(小学館)を図書館で借りて読んだ。
世代の違いか、萬田緑平は患者本人の意思次第、近藤誠は医者に騙されて欲しくない、という気持ちが強いように思った。
なかなか、医者の言うことを信用してしまうという気持ちが患者と家族から抜けないのだろうなと思う。
年をとって死ぬのは別に悪いことではない。
一分一秒でもどんな状態でも長く生かさなければならないというのは間違っていると思う。
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北尾利夫『知っていそうで知らないノーベル賞の話』

2019年10月12日 22時41分51秒 | 文学
北尾利夫『知っていそうで知らないノーベル賞の話』(平凡社新書)を図書館で借りて読んだ。まったく知らなかったのだが、少し知ることが出来た。
ノーベル賞は、物理学と化学と生理学・医学と文学と平和の五つの賞があり、ノーベルの遺言により、1901年から始まった。
経済学賞は1969年から、スウェーデン銀行の創立300年を記念して始まったらしく、ノーベル賞界隈の人には認めていない人もいるらしい。賞金の出どころも他の五つの賞とは違う。
などなど。
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井上ひさし『組曲虐殺』

2019年10月08日 22時34分54秒 | 文学
井上ひさし『組曲虐殺』(新潮社『井上ひさし全芝居 その七』所収)を読んだ。
この巻に収められている『少年口伝隊一九四五』と以前読んだことのある『ムサシ』は読まなかった。
『組曲虐殺』は小林多喜二が主人公であるので、おもしろ可笑しい話ではないのだが、チャップリンの変装の場面などはおもしろい場面だった。この巻ではおもしろい戯曲だった。

『その六』に比べ、『その七』は全体的におもしろくなかった。
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三島由紀夫『金閣寺』

2019年10月07日 21時03分03秒 | 文学
三島由紀夫『金閣寺』(新潮文庫)を読んだ。
ほんとうに久しぶりに、三十年ぶりくらいに読んだが、やはりおもしろくなかった。この小説の良いところがわからない。
三島由紀夫は日記を読んでも思ったのだが、理屈をこねだすと何を言っているのかよく分からない。僕には彼の理屈がとても分かりにくい。
何を言いたいのかわからないので、理屈を言い出すと適当に読んでしまう。
学生の頃は、それでも有名作家が書いてあるのだから分からないのは自分が悪いのだと思っていたものだが、もう三島由紀夫の死んだ年齢にも近づいてくると、そんなふうにも思えなくなってしまう。

読み始める前はプルースト的な、美しいと思っていて憧れて、実際に見てみると失望するというようなことを書いたのかと思って読んでみたのだが、そんなふうなことはなかった。
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