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ウイリアム・アイリッシュ『幻の女〔新訳版〕』

2017年07月29日 00時07分57秒 | 文学
ウイリアム・アイリッシュ『幻の女〔新訳版〕』(ハヤカワ・ミステリ文庫)を図書館で借りて読む。
有名なものなので以前から気になっていたが新訳が出たので(そして新訳が出てからもしばらく時間が経ったのだが)、読んでみた。
家に帰ったら妻が死んでいて、自分のアリバイを証明するのは、オレンジ色のカボチャ型の帽子をかぶった女なのだがその女も見つからず、いっしょにいたところを見ていた人たちもそんな女は知らないと言う。どういうことなのか興味を持って読んだが、最後の謎解きの部分が少し長すぎると感じた。あそこの部分はどのミステリもどうしても長いと感じるので、「このひとが犯人です」と言った後は2ページくらいで終わらせて欲しい。長々説明しても言い訳にしか聞こえないし、どうしたって無理が生じるものなので、「作者の私が犯人だと決めたから理屈はどうでもいい。こいつが犯人なのです。終わり。」くらいの感じで終わっても僕はぜんぜんかまわない。
有名だから読んだが、そんなにおもしろいかな、と思った。
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ジョーン・G・ロビンソン『思い出のマーニー』

2017年07月26日 19時48分21秒 | 文学
ジョーン・G・ロビンソン『思い出のマーニー』(角川文庫)を読んだ。米林宏昌監督のアニメ映画『思い出のマーニー』よりもよく理解できた。
もう出会うことのない肉親と友だちになれるくらいの年齢で出会うというのはとても魅力的な出来事だと思った。
映画よりも、マーニーがアンナの幻想であって実際にはいなかったときちんと解釈できる余地を残していたと思う。
物語の最後あたりに登場するリンジー一家も良い一家で、この一家に出会えたからアンナは大人になることが出来たと納得できるようになっている。
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それからはサラダのことばかり考えて暮らした

2017年07月25日 21時00分48秒 | テレビ
テレビ番組「情熱大陸」の出演はカリスマトレーナーのAYAというひとで、見ていると僕も昼ご飯は野菜サラダだけを食べることにしようと思った。
だいたい昼ご飯はお腹も空いていないのにコンビニでパンふたつとか買って食べてしまう。もう少しお腹をすかせるようにして、ハイエナのような印象の男になることにする。

NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」は宮沢りえで、宮沢りえほど自分で考えて言葉を話す人間はいないとこのところ思っている。
こんなに女優らしい女優も今いない。こんなに女優らしい女優に宮沢りえがなるとは想像しなかった。
注目している。
ここ何日かテレビでは類似品の斉藤由貴に押され気味だったのだが(個人の意見です)、宮沢りえを久しぶりに見て宮沢りえもやはり良いと思った。
舞台は見なくても、宮沢りえの誠実な姿が見られるいい舞台なのだろうと思った。
狂うにしても地に足が着いていないと狂えない、というような発言をしていて、なんかわからんがさすが、と思った。
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横山秀夫『動機』

2017年07月23日 14時30分51秒 | 文学
横山秀夫『動機』(文春文庫)読了。

「動機」
とってもおもしろかった。
二渡は主人公にリンゴを送ってくれたと主人公の奥さんが語るだけの登場。だんだんちょっとしか登場しないが、それでも登場するので、このシリーズでは二渡を登場させるのを作者が決めているのだとわかる。
三十冊の警察手帳がなくなって、それを探す。
あ、意外だけどそれってありそう、と思った。

「逆転の夏」
これはD県警も出て来ないし、二渡も登場しない。
殺人をして刑期を終えて出所した人の話。
自分にもこんなことがあったらいやだな(でもひょっとしたらあるかもしれないな)、と思いながら読んだ。いつもリアリティがある。
及川の側から描くところで、やっぱりミステリーだなと思う。ここまで楽しんで来たけれど、ここからはミステリーだからオチをつけないといけないのだな、ちょっと残念だな、と思った。

「ネタ元」
新聞記者の他社への引き抜きの話。
二渡出ず。
女性が働くのはたいへんだな、と思う。

「密室の人」
裁判長の話。
二渡出ず。
不思議な終わり方をする。
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横山秀夫『陰の季節』

2017年07月20日 23時09分05秒 | 文学
横山秀夫『陰の季節』(文春文庫)読了。

「陰の季節」
そんなことありえんだろう、とは思うがとってもおもしろかった。そういう切り口のミステリーってないなと思った。
天下り先で捜査を続けているのだろうと思っていたら、そんなふうに捜査をしていたのかと驚く。
もう一度言うと、とってもおもしろかった。
横山秀夫ってすごいんではないかと思う。

「地の声」
これもちょっとありえないと思える話だった。
「陰の季節」ほどはおもしろく思えなかったが、それでもおもしろかった。「陰の季節」の主人公の二渡が登場する。

「黒い線」
これはちょっとあり得るなと思った。
とても上手な似顔絵を描いて、それによって犯人逮捕に結びついた婦警が行方不明になる。
この婦警は『顔 FACE』にも登場するようだ。
この話にも二渡が登場する。もしかするとずっと登場するのかもしれない。
そういえば思い出したが、『64』のNHKのドラマを見たときに吉田栄作が思わせぶりに登場し、特に活躍もなく終わったが、彼が二渡だった。D県警シリーズにはずっと登場するのだろう。

「鞄」
ここにも二渡がちょっとだけ登場する。
四つの短編の中ではいちばん惹かれない話だったがおもしろかった。
すべておもしろかった。
警察官はみんな出世したいと思っているのだろうか。これはほんとうだろうか。『踊る大捜査線』あたりから警察官と出世は切っても切れない関係になったが、ほんとうのところはどうなのだろうか。
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三浦綾子『道ありき(青春編)』

2017年07月18日 21時31分32秒 | 文学
三浦綾子の小説をいくつか読んで、彼女本人にも興味を持ってきたので自伝である『道ありき(青春編)』(新潮文庫)を読んだ。
結婚するまでの出来事が書かれてある。
敗戦がひとを退廃的な気持ちにさせたことがわかる。
坂口安吾や太宰治などを読んで、そうなのだろうなとは思うのだが、実際に敗戦を経験していないのでどんな気持ちが人々に「ずしん」と来たのかが実は良くわかっていないのではないかと思っている。たぶんこれは一生わからない。わからないとは思いながらも理解しようと努力することが本を読むことの一つの愉しみかもしれない。
三浦綾子が前川正という男性に惹かれ、キリスト教に惹かれ、前川の死後彼に思想も姿も似ている三浦光世と知り合い、そののちに結婚することが、当時の手紙なども交えて詳しく描かれる。あまりに詳しくて途中どうでもいいな、と思うところもあったが、概ね興味を持って読めた。
真摯に生きて、そのことを正直に書いていることが伝わって、読める。
続きが二冊あって、読むつもりだが、この一冊岳の判断では、三浦綾子は小説のほうがおもしろい。
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米林宏昌監督『思い出のマーニー』

2017年07月17日 23時07分20秒 | 映画
米林宏昌監督の『思い出のマーニー』を見た。
娘(五歳)といっしょに見ようと思って録画していたのだが、少しだけ見て娘が「怖い」と言い出して(主人公の女の子が古いお屋敷に近づこうとするあたり)見なかったのでそのあとひとりで見た。
話がすこしあちこち行くし、見ているとどうしても過去の宮崎駿アニメを思い出してしまう。「思い出の宮崎駿」だ。
夏休みになって親戚のうちに行っていつもとは違う生活をするというところがものすごくいい。僕もそんな生活がしたい。
そのほか、あまり集中できず感動できるところもなかったのだが、あらすじだけはよくわかった。
いいお話だと思ったので原作を読んでみようと思った。
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横山秀夫『ルパンの消息』

2017年07月14日 21時15分31秒 | 文学
横山秀夫『ルパンの消息』(光文社文庫)を読んだ。
よくできたミステリーを読み終えると、誠実に付き合ってきた人に裏切られたような気分になる。
あなたがそんなに安っぽい人だとは思わなかった、あなたがそんなにミスリードする人とは思わなかった、あなたがそんなことで人を殺す人とは思わなかった、あなたがそんなに激昂する人とは思わなかった、などいろいろ思う。
簡単にいうと「騙された」ということなのだが、読み終わってみると、これまで生き生きしていた登場人物がただこれを隠すために生きていたんだと思うと悲しくなる。
横山秀夫はNHKのドラマ「64」を見たときに興味を持って、連続ドラマが終わるまでは読みたいと思っていたのだが、ドラマが終わって結末を知ってしまうと読むほどの興味を失ってしまった。
『ルパンの消息』も三億円事件も絡めてきて、とてもおもしろい。
高校時代の出来事と現在の描写が往復してわくわくする。
が、最後まで読み終えると「そんなことか」という気分になってしまう。
これはまあミステリーというのはそういうものと諦めるしかないのだろうな。

横山秀夫はおもしろいのでほかのものも読んでもいいと思った。
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宮沢賢治『ポラーノの広場』

2017年07月10日 23時42分55秒 | 文学
宮沢賢治『ポラーノの広場』(新潮文庫)はおもしろくなかった。
「風野又三郎」は「風の又三郎」のほうがおもしろかった。又三郎が謎の転校生ではなくて、妖精のようなものなのでなんでもできることになってしまう。空想の度合いが大きすぎて興味がわかない。
「ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記」は、「グスコーブドリの伝記」のほうがおもしろかった。
ブルカニロ博士の登場する「銀河鉄道の夜〔初期形第三次稿〕」も、登場しない第四次稿のほうがよい。カムパネルラがザネリを助けて死んで、カムパネルラのお父さんがジョバンニに彼のお父さんが今度帰ってくると言ってくれるほうがいい。
「ポラーノの広場」には途中から全く興味を失ってしまった。

ここまでわりと興味を持って宮沢賢治を読んで来たつもりだが、この文庫では興味が持てなかった。
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小津安二郎監督『浮草』

2017年07月09日 23時35分39秒 | 映画
小津安二郎監督の『浮草』を見た。
中村鴈治郎の歩き方とか着物の着方、煙草の吸い方なんかを見ていると、このひとはどんなひとだったのだろうかとものすごく興味がわく。魅力があるのだろう。
川口浩はやはり世代的に「水曜スペシャル」の隊長のイメージが強いのだが、きちんと若手俳優だったのだなと思う。加山雄三よりもいいかもしれない。
あまり私の小津安二郎のイメージに合わない映画だった。
旅役者の一座がある町にやってきて、中村鴈治郎が昔の女の杉村春子のところへやってきて、隠し子の川口浩の成長を嬉しく見守るが、いまの内縁の妻(?)の京マチ子に仕返しされるという話だった。
浦辺粂子は『早春』でも「ごはん、ごはん、ごはんだよ」みたいな台詞を言っていなかっただろうか。ものすごく既視感があった。彼女は歳をとったからあのような話し方になったのではなく若いころから変わらずあのような話し方だったのだなと思って感心する。
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