![昭和三十年代 演習](http://ecx.images-amazon.com/images/I/41wIpFWqhYL.jpg)
ちょっと三島由紀夫を読もうと思っていて、この本で関川夏央が三島由紀夫を論じているのを知り、読んでみる気になった。
三島由紀夫が松本清張の小説をある文学全集に入れるのに反対したという話は、猪瀬直樹か橋本治のどちらかの本で読んだ話だった(三島由紀夫の小説よりも三島由紀夫伝説みたいなものに僕は興味があるのかもしれない)。
吉永小百合の話は興味深かった。吉永小百合が両親と不仲であったという話は初めて聞いた。吉永小百合に対して厳しい書き方だった。
サガンにも江藤淳にも厳しかった。
ちょっと、関川夏央が嫌いになったかもしれない。
いま描かれている昭和三十年代には誤りがあるといっていて、それは確かにその通りなのだろうが、関川夏央の言うことにも間違いがあった。
《「きのうママンが死んだ。おとといかもしれない」というくだりで有名な『異邦人』は(後略)》(109頁)
きのうとおとといじゃなくて、きょうと昨日。
《そういえば寅さんの妹、さくらの息子はマスオといいます。》(128頁)
マスオじゃなくて満男。
なぜこう明らかな間違いが残っているのか不思議だった。誰も気付かないのだろうか。