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『もの書く人のかたわらには、いつも猫がいた』

2021年12月27日 23時46分10秒 | 文学
『NHK ネコメンタリー 猫も、杓子も。 もの書く人のかたわらには、いつも猫がいた』(河出書房新社)を図書館で借りた。
NHKの番組も何回かちらっと見かけたことはある。
吉田修一に興味があったので吉田修一のところを読んだ。猫に興味があるわけではないので、猫の写真がたくさん載っていたがあまり熱心には見ていない。
吉田修一の家の本棚に猫が座っている写真があり、『川端康成全集』も写っていた。吉田修一には川端康成の影響があるんじゃないかと思っていたので少し嬉しかった。
この本を読んでの収穫はそれだけ。

昔大学生の頃にビートルズのアルバムをずっと聴いていたことがあって、赤色と青色の、時間を経て同じ角度からメンバーを撮影した写真がジャケットの、二つのベストアルバムだったが、そのときにサークルが同じだった友達(女性)が「私はベストアルバムじゃなくてオリジナルアルバムで集めて聴いている」と言っていた。(オリジナルアルバムという言葉を当時使ったかどうか定かじゃないが、つまり集めたものじゃなくて最初に発売された形のままという意味。)
それで最近詩集に興味があり、読んでみたいと思っているのだけれど、死んだ有名な詩人であれば全作品が文庫で一冊とか二冊とか三冊とかで手に入る。
で、それを買うと、山のようなたくさんの詩が小さな字で300頁くらい載っていて、胸焼けしてたぶんもう嫌になってしまうんじゃないかなと思っている。
やっぱりオリジナルな形で、単行本の字の大きさ、文字の配置で読むべきで、そう読まないと続かないんじゃないか。
その人が一生かけて考えたことをいっぺんに読もうというのはよくない。やはり五年とか十年とかで編んだものをひとつひとつ読んでいくべきなんじゃないかと思う。
そう思って躊躇して結局読まないままでいる。
安くて場所を取らないことを優先しすぎるのはよくないというように最近思っている。
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坂本勝俊・船橋由紀子 『人生を変える「続ける」技術』

2021年12月24日 11時25分04秒 | 文学
坂本勝俊・船橋由紀子 『人生を変える「続ける」技術』(ナツメ社)を図書館で借りて読んだ。
著者のひとり、船橋由紀子の本でいま英語を勉強していて、他にはどんな本を書いているのだろうと興味を持って読んでみた。
何かが「続いた」「途中やめになった」の二元論で考えるべきではないというところは納得できた。
続かなかったときに「ダメな自分のせい」にしてしまわないというところも良いと思った。
しかしすぐに忘れてしまいそう。

会社でも自分の勉強でもそうだが、うまくいかなかった場合にどうしても「自分のせい」にしてしまう。
ほんとうに「自分のせい」にしないで考えることができる人がいるのならそばで見てみたいものだと思う。本で読んだり、講師として喋ったりするのを聞くことはあるが、ほんとうにそのひとが自分と同じような場面に遭遇して、自分とは違うように考えて、乗り越えていける姿を見ることができたなら、自分にもできると感じられるのではないかと思う。
しかしそんなふうに尊敬できる人が僕の周りにはいなかったし、今もいない。
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平野啓一郎『ある男』

2021年12月24日 00時04分08秒 | 文学
吉田修一を続けて読んでみて面白くないわけではないがどうも食い足りない感じがあり、他に誰かいないかと思い平野啓一郎の『ある男』(文春文庫)を読んでみた。
『ある男』は単行本で最初を立ち読みしたときにモームみたいだなと思って期待していたのだった。
昔、平野啓一郎の『ドーン』を読んだことがあって理知的だなという印象だったのだが、今回はほんとうにおもしろかった。夫婦のうまくいかない感じとか、子供を叱ったあとの罪悪感とか、このひとはほんとうに頑張って生きてきたんだなと(AI美空ひばりのようで偉そうだが)感じた。大江健三郎的でもあったかな。
前半楽しく読んで、真相に近づくにつれて読んでいくのが辛くなっていく感じがあった。仕方のないことなのかもしれないが、前半楽しく、後半もっと楽しくなったらいいな、と思う。
小説を読んでいると、人間の汚い部分をどうしても見せられることが多いのだが、だんだんそういうのを読むのが辛くなってきた。
吉田修一が続けて読めないのもそういう理由のように思う。
『ある男』では『羊たちの沈黙』のレクターを思わせる小見浦という人物が印象に残る。印象に残ってとっても面白いのだが、だんだんと辛くなる。

推理小説的で松本清張的な話なのだが、完全に純文学でおもしろく、今年読んだ小説の中でおそらくもっともおもしろかった。
こんなに気持ちを揺さぶられた小説はこのところなかった。
ただ、そんなに世の中ってジャズが溢れているかなというところが疑問だった。ジャズに全く興味が持てない。
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吉田修一『橋を渡る』

2021年12月21日 10時30分32秒 | 文学
吉田修一『橋を渡る』(文藝春秋)を図書館で借りて読んだ。
「週刊文春」に連載されていて、連載中に起きている出来事を小説の中に入れているのだろうが、おもしろい試みだと思った。「週刊文春」を読むことはないが、連載中に読んでいたらわくわくするだろうなと思う。
小説に起きる出来事は、少し変だがそこまで奇妙ということもなく現実と地続きの出来事のような感じで、こんなふうに落ち着いたものも書くのだなと思って、こういうものであれば読んでもいいかなと思っていた。少し川端康成の『山の音』とかこんな感じじゃなかったかなと思いながら読んでいた。
前半良かったが、後半に入るとやっぱり殺人か、と思ってしまった。
最後がSFというのは知っていたので、それよりも殺人のほうが衝撃だった。ここに殺人っているかなあ。
最初の二つの、春と夏の話の水準のままで最後まで書くことはできなかったのかな、と思う。無い物ねだりではあるが、残念。
近未来SFの部分にはリアリティが無いように思えた。それまで「週刊文春」の記事と繋がる感じで書かれていただろうに、ここに来て連載中に読んでいた人は「えっ!?」って思ったんじゃないだろうか。吉田修一的な登場人物であれば「いいよ、そういうのは」と言ったんじゃなかろうか。
カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』とジョージ・オーウェルの『一九八四年』のような話だった。ここの近未来SFの部分には「週刊文春」の記事からのネタが当たり前だが出てこない。全体的に嘘くさい感じになっていた。

殺人などなくて落ち着いたものがいいように思ったので今度吉田修一を読むとするならば『横道世之介』だろう。
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綿野恵太『みんな政治でバカになる』

2021年12月18日 21時51分02秒 | 文学
綿野恵太『みんな政治でバカになる』(晶文社)を読んだ。
新聞の書評欄を読んで興味を持って、わりと熱い期待を持って読んだ。政治のことってほんとうに知りたいと思っているが、なかなか読みやすそうで、わかりやすそうな本がない。なにかどこかの派閥に属していて自分の陣営の正しさを主張するようなものでない本を探している。
この本は右派にも左派にも属していないような書き方の本で(どっちかといえば左派)、読みやすい本ではあったのだが、途中から「この本は最初から一歩も前に進んでいない」と思い始めてから退屈になってしまった。
人間には「直感システム」と「推論システム」の二つがある、という話が最初にあって、そこからなにか話が進んだかと言えば最後までその話をしていたように思う。呉智英の話は興味が持てなかったな。
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吉田修一『怒り』

2021年12月16日 22時16分36秒 | 文学

吉田修一『怒り』(中公文庫)を読んだ。
吉田修一を読むのは初めてだと思うが、ちょっと気になったので読んでみた。
純文学系なのかエンターテイメント系なのか、よくわからなかったが『怒り』を読む限り紛れもなくエンターテイメント系だった。いろいろな人が出てきておもしろく、すぐに読めた。ちゃんと悪い犯人がいた。
悪い犯人が出てくると、ちょっと嘘くさく感じてしまい、なんというか裏切られた感じというか、いろいろあったけど全部作り物だよな、と思ってしまう。
純文学系だったけどエンターテイメントも書くということで、村上龍的なのかなと思っていたが、そんなことはなく、ほんとうにエンターテイメントだった。
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渋沢栄一『渋沢栄一自伝 雨夜譚・青淵回顧録(抄)』

2021年12月11日 12時03分52秒 | 文学
渋沢栄一『渋沢栄一自伝 雨夜譚・青淵回顧録(抄)』(角川ソフィア文庫)を読んだ。
「雨夜譚(あまよがたり)」はたいへんおもしろかった。NHK大河ドラマの『青天を衝け』を見ているのだが、そこに登場した話が出てくるのでここはあの俳優だったな、というふうに思い出した。『青天を衝け』はとてもおもしろく毎週見ているが、とくに印象に残っているのは徳川慶喜の弟の民部公子で、演じた板垣李光人が良かったのだと思うが登場するたびに注目してしまう。
後半の「青淵回顧録(抄)」は株式会社の話が多く、興味がなくなり最後まで読めなかった。
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マルクス・アウレーリウス『自省録』

2021年12月02日 23時00分42秒 | 文学
マルクス・アウレーリウス『自省録』(岩波文庫)を読んだ。
もっとも印象に残ったのは、第五巻の最初に書かれていた、

明けがたに起きにくいときには、つぎの思いを念頭に用意しておくがよい。「人間のつとめを果たすために私は起きるのだ。」自分がそのために生まれ、そのためにこの世にきた役目をしに行くのを、まだぶつぶついっているのか。それとも自分という人間は夜具の中にもぐりこんで身を温めているために創られたのか。

の言葉。
もうごめんなさいという感じです。
立派な本を読むと立派に生きていかなくてはいけないなとしばしば思う。
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