10月26日(火)
(日本)
朝6時に目が覚める。旅行に行くことで多少興奮しているようだ。
新幹線に乗り大阪へ行く。
飛行機の出発までに時間があるので司馬遼太郎記念館に行く。
入った瞬間に天井までの書棚に圧倒される。ボルヘスの小説に出てきそうな、と言われそうな、そういう空間。
でもそれでおしまい。それ以外にはとくにこれといった展示物もない。
こんな書斎がうちにもほしいと思った。
隣に(正確には記念館の敷地内に)司馬遼太郎が実際に住んでいたという家がある。いつか何かの本で写真を見たことのある書斎が窓からのぞける。
大きな庭のある邸宅だった。
文学記念館というのはどこへ行っても「ふうん」で終わりだ。
出発前に空港でうどんを食べる。
手続きを済ませ、免税店の並ぶあたりをうろうろしていると、青年が、免税店の上の、出国手続きを行う前に私たちがいたロビーのガラスの後ろに立った女性と別れを惜しんでいる姿に出くわす。青年は見上げながら胸を拳でこんこんと叩く。たぶんコリアンだろうなあ。
こういうのは切なくて好き。
これから飛行機で眠るのでトイレで歯を磨く。すっきりして気持ちがいい。
21時頃、飛行機に乗る。
少し眠る。
機内食が出る。後ろの方の席なのでなかなか来ない。やっと来て、食べる。デザートまで食べる。そして眠る。何度か目が覚めながらもわりとよく寝る。
飛行機がかなり揺れる。なんどか死を覚悟する。
(ハワイ)
時差があるので火曜日がまだ続く。
ハワイ時間で10時頃ハワイに到着。眠くはない。
入国カードを手に持ちながら渡し忘れていたら女性職員に「オーイ!」と目を見て怒られる。迫力があって恐ろしい。もう帰りたい気持ちになる。なんで「オーイ!」なんて日本語を知っているのだろうか。
バスでホテルに到着。
レイをかけられる。生まれて初めての経験。チェックインまで時間があるので待合室のようなところでジュースを飲む。トイレの場所を訊ねるために初めて英語を話す。簡単な英語だがちゃんと伝わり答えも分かった。
さらにチェックインまで時間があるので昼御飯を食べに街に出掛ける。
ごはんのうえに海老の乗ったプレートランチを食べる。量がむちゃくちゃ多い。半分ほど残す。少し雨が降る。
チェックインのあと買い物に出掛ける。日本語で買い物ができる。店員も日本人にしか見えない。たぶん日本人なのだろう。
夜はホテルのレストランで食べる。ステーキを食べたが量が多く、半分ほど残す。食べながら胃が膨れるのがわかる。これ以上食べたらやられる!というところまでは頑張って食べた。
お酒も飲み、早く眠る。たぶん22時頃には寝ていた。寝ながら誰かが洗濯機を回しているなと思ったら波の音だった。波の音を聞きながら眠る。
10月27日(水)
朝食はホテルでビュッフェを食べる。
ごはんと味噌汁、漬物まで置いてある。しかしせっかくなので洋食を食べる。パイナップルが美味しい。
そのあと海で泳ぐ。楽しい。
昼食はハンバーガーを店で食べる。上のバンと下のバンが分かれて、片方にサラダとトマトとベーコン、もう片方にハンバーグが乗ってかごの上に盛ってやってくる。ナイフとフォークも机のうえにあるので、どうやって食べるのか迷う。ナイフとフォークで食べるのだろうか。試みるが難しいので自分ではさんで食べるのだろうと思い、やってみる。こちらのほうが食べやすい。
しかしでかい。
店にいたアメリカ人らしきおじいさんも同じようにはさんで食べているのでおそらく食べ方はあっていたのだろう。
店内にも鳩が歩いている。ハワイにはこの白い鳩が多い。あちこちにいる。
ホテルに帰り再び泳ぐ。
朝泳いだ時よりも引き潮で、砂浜がある程度の高さでえんえんと続いているので水の量が少なく泳ぎにくい。泳ぐなら午前中が良いと知る。
アラモアナショッピングセンターに行き、買い物をする。トイレの位置がなかなかわからない。日本の施設はどこからでもトイレの位置が分かるようになっているので、親切なのだなあと思う。
夜も店に食べに行くが、目当ての店が見つからず、別の店に入る。
ゲイっぽい(いや、あからさまにゲイ)のウェイターにサービスされる。若いころの武田真治みたいな雰囲気の顔で、背筋がぴんとして、歩き方が坂東玉三郎みたいな、青年。
マンゴージュースを頼んだつもりが、緑茶風味の意味不明の飲み物を出される。メニューをきちんと見なかったこちらが悪い。たぶん「マンゴー風味の緑茶」と書いてあったのだろう。疲れていたのでメニューをあまり見ずに「これ」と頼んだ。
僕は魚のハンバーガー、妻はロコモコを頼む。どちらも大量。食べきれない。
ホテルに帰って眠る。
10月28日(木)
朝は近所の、自分たちが泊っているホテルとは別のホテルに朝食を食べに行く。ピンクの建物のホテル。
パンケーキがとても美味しい。
新聞で台風のことが書いてあるのを見つける。
天気図の台風の印の横に「CHABA」と書いてある。
台風には「14号」とかではなくそれぞれ名前がついているのだなと知る。同じ台風でもずいぶんと印象が違う。
泳いだあと、バスに乗ってホノルル美術館に向かう。いままではJALパック専用のバスに乗っていたので、現地のひとたちも乗るバスに乗るのは初めて。緊張する。
下車する時にひもを引っ張って運転手に知らせるのに驚いた。
ホノルル美術館はとても広い美術館だった。日本の仏像や源氏物語についての絵があって、英語で説明が書かれてあるのが新鮮だった。
昼御飯を美術館のカフェで食べる。スパゲティーを頼む。美術館だし上品な量だろうと油断していたら、スパゲティーのうえに鶏の丸焼きみたいなものが乗ってくる。どこまでも量が多い国だ。
しかしこれは完食できた。
夜はホテルのプールサイドのバーで酒を飲む。
これまで話には聞いていていつか食べたいと思っていたフィッシュ&チップスを頼む。まあそんなに期待していたほどでもなく予想通りの品。
10月29日(金)
(ハワイ)
朝はビュッフェ。パンケーキも食べる。食べすぎ。
妻は食べすぎて気分が悪くなり出発まで横になるというので、僕はベランダで読書。江藤淳の『アメリカと私』を読む。江藤淳は自分勝手な夫だなと思う。「家内」にアメリカで運転免許書を取らせる。そのほうが効率的だから、という理由で。ものすごく「家内」に威張っているのが端々からわかる。とてもおもしろい。江藤淳はいい文章を書くなと感心する。引き込まれる。
ホテルを出発。さようなら、ハワイ。アローハ! マハロ!
税関で前の白人一家がサンダルまで脱がされていて、驚いていたら、お前も靴を脱げと言われる。アメリカの税関は厳しい。
空港の店でキーホルダーを買う。硬貨の区別は最後までつかなかった。25セントと10セントと5セントの区別と、一瞬での合計の計算ができない。これは僕の頭が悪いせいではなく慣れの問題だ。そう信じたい。
飛行機に乗り映画を見たりゲームをしたりして過ごす。
『ナイト&デイ』は見る価値がない。『ちょんまげぷりん』は終わりの30分ほどを見たが、あまりおもしろそうではない。やっつけるために不良を無理やり悪く描きすぎている。子供がいなくなるのは『となりのトトロ』の影響か。
ゲームの種類も多い。
将棋と麻雀を何度もやった。
ゲームをやっているときに飛行機が揺れ、乗り物酔いになる。残り一時間ほど祈りながら過ごす。
10月30日(土)
(日本)
日本に着くと土曜日の夕方。
空港でお好み焼きを食べる。量も適量で安心して食べられる。美味しい。
家に帰って風呂に入って眠る。
10月31日(日)
(日本)
江藤淳の『アメリカと私』を帰りの飛行機に忘れたことに気付く。乗り物酔いのせいだ。
まだ読み終わってないしおもしろそうなのでまた買うことにする。
(日本)
朝6時に目が覚める。旅行に行くことで多少興奮しているようだ。
新幹線に乗り大阪へ行く。
飛行機の出発までに時間があるので司馬遼太郎記念館に行く。
入った瞬間に天井までの書棚に圧倒される。ボルヘスの小説に出てきそうな、と言われそうな、そういう空間。
でもそれでおしまい。それ以外にはとくにこれといった展示物もない。
こんな書斎がうちにもほしいと思った。
隣に(正確には記念館の敷地内に)司馬遼太郎が実際に住んでいたという家がある。いつか何かの本で写真を見たことのある書斎が窓からのぞける。
大きな庭のある邸宅だった。
文学記念館というのはどこへ行っても「ふうん」で終わりだ。
出発前に空港でうどんを食べる。
手続きを済ませ、免税店の並ぶあたりをうろうろしていると、青年が、免税店の上の、出国手続きを行う前に私たちがいたロビーのガラスの後ろに立った女性と別れを惜しんでいる姿に出くわす。青年は見上げながら胸を拳でこんこんと叩く。たぶんコリアンだろうなあ。
こういうのは切なくて好き。
これから飛行機で眠るのでトイレで歯を磨く。すっきりして気持ちがいい。
21時頃、飛行機に乗る。
少し眠る。
機内食が出る。後ろの方の席なのでなかなか来ない。やっと来て、食べる。デザートまで食べる。そして眠る。何度か目が覚めながらもわりとよく寝る。
飛行機がかなり揺れる。なんどか死を覚悟する。
(ハワイ)
時差があるので火曜日がまだ続く。
ハワイ時間で10時頃ハワイに到着。眠くはない。
入国カードを手に持ちながら渡し忘れていたら女性職員に「オーイ!」と目を見て怒られる。迫力があって恐ろしい。もう帰りたい気持ちになる。なんで「オーイ!」なんて日本語を知っているのだろうか。
バスでホテルに到着。
レイをかけられる。生まれて初めての経験。チェックインまで時間があるので待合室のようなところでジュースを飲む。トイレの場所を訊ねるために初めて英語を話す。簡単な英語だがちゃんと伝わり答えも分かった。
さらにチェックインまで時間があるので昼御飯を食べに街に出掛ける。
ごはんのうえに海老の乗ったプレートランチを食べる。量がむちゃくちゃ多い。半分ほど残す。少し雨が降る。
チェックインのあと買い物に出掛ける。日本語で買い物ができる。店員も日本人にしか見えない。たぶん日本人なのだろう。
夜はホテルのレストランで食べる。ステーキを食べたが量が多く、半分ほど残す。食べながら胃が膨れるのがわかる。これ以上食べたらやられる!というところまでは頑張って食べた。
お酒も飲み、早く眠る。たぶん22時頃には寝ていた。寝ながら誰かが洗濯機を回しているなと思ったら波の音だった。波の音を聞きながら眠る。
10月27日(水)
朝食はホテルでビュッフェを食べる。
ごはんと味噌汁、漬物まで置いてある。しかしせっかくなので洋食を食べる。パイナップルが美味しい。
そのあと海で泳ぐ。楽しい。
昼食はハンバーガーを店で食べる。上のバンと下のバンが分かれて、片方にサラダとトマトとベーコン、もう片方にハンバーグが乗ってかごの上に盛ってやってくる。ナイフとフォークも机のうえにあるので、どうやって食べるのか迷う。ナイフとフォークで食べるのだろうか。試みるが難しいので自分ではさんで食べるのだろうと思い、やってみる。こちらのほうが食べやすい。
しかしでかい。
店にいたアメリカ人らしきおじいさんも同じようにはさんで食べているのでおそらく食べ方はあっていたのだろう。
店内にも鳩が歩いている。ハワイにはこの白い鳩が多い。あちこちにいる。
ホテルに帰り再び泳ぐ。
朝泳いだ時よりも引き潮で、砂浜がある程度の高さでえんえんと続いているので水の量が少なく泳ぎにくい。泳ぐなら午前中が良いと知る。
アラモアナショッピングセンターに行き、買い物をする。トイレの位置がなかなかわからない。日本の施設はどこからでもトイレの位置が分かるようになっているので、親切なのだなあと思う。
夜も店に食べに行くが、目当ての店が見つからず、別の店に入る。
ゲイっぽい(いや、あからさまにゲイ)のウェイターにサービスされる。若いころの武田真治みたいな雰囲気の顔で、背筋がぴんとして、歩き方が坂東玉三郎みたいな、青年。
マンゴージュースを頼んだつもりが、緑茶風味の意味不明の飲み物を出される。メニューをきちんと見なかったこちらが悪い。たぶん「マンゴー風味の緑茶」と書いてあったのだろう。疲れていたのでメニューをあまり見ずに「これ」と頼んだ。
僕は魚のハンバーガー、妻はロコモコを頼む。どちらも大量。食べきれない。
ホテルに帰って眠る。
10月28日(木)
朝は近所の、自分たちが泊っているホテルとは別のホテルに朝食を食べに行く。ピンクの建物のホテル。
パンケーキがとても美味しい。
新聞で台風のことが書いてあるのを見つける。
天気図の台風の印の横に「CHABA」と書いてある。
台風には「14号」とかではなくそれぞれ名前がついているのだなと知る。同じ台風でもずいぶんと印象が違う。
泳いだあと、バスに乗ってホノルル美術館に向かう。いままではJALパック専用のバスに乗っていたので、現地のひとたちも乗るバスに乗るのは初めて。緊張する。
下車する時にひもを引っ張って運転手に知らせるのに驚いた。
ホノルル美術館はとても広い美術館だった。日本の仏像や源氏物語についての絵があって、英語で説明が書かれてあるのが新鮮だった。
昼御飯を美術館のカフェで食べる。スパゲティーを頼む。美術館だし上品な量だろうと油断していたら、スパゲティーのうえに鶏の丸焼きみたいなものが乗ってくる。どこまでも量が多い国だ。
しかしこれは完食できた。
夜はホテルのプールサイドのバーで酒を飲む。
これまで話には聞いていていつか食べたいと思っていたフィッシュ&チップスを頼む。まあそんなに期待していたほどでもなく予想通りの品。
10月29日(金)
(ハワイ)
朝はビュッフェ。パンケーキも食べる。食べすぎ。
妻は食べすぎて気分が悪くなり出発まで横になるというので、僕はベランダで読書。江藤淳の『アメリカと私』を読む。江藤淳は自分勝手な夫だなと思う。「家内」にアメリカで運転免許書を取らせる。そのほうが効率的だから、という理由で。ものすごく「家内」に威張っているのが端々からわかる。とてもおもしろい。江藤淳はいい文章を書くなと感心する。引き込まれる。
ホテルを出発。さようなら、ハワイ。アローハ! マハロ!
税関で前の白人一家がサンダルまで脱がされていて、驚いていたら、お前も靴を脱げと言われる。アメリカの税関は厳しい。
空港の店でキーホルダーを買う。硬貨の区別は最後までつかなかった。25セントと10セントと5セントの区別と、一瞬での合計の計算ができない。これは僕の頭が悪いせいではなく慣れの問題だ。そう信じたい。
飛行機に乗り映画を見たりゲームをしたりして過ごす。
『ナイト&デイ』は見る価値がない。『ちょんまげぷりん』は終わりの30分ほどを見たが、あまりおもしろそうではない。やっつけるために不良を無理やり悪く描きすぎている。子供がいなくなるのは『となりのトトロ』の影響か。
ゲームの種類も多い。
将棋と麻雀を何度もやった。
ゲームをやっているときに飛行機が揺れ、乗り物酔いになる。残り一時間ほど祈りながら過ごす。
10月30日(土)
(日本)
日本に着くと土曜日の夕方。
空港でお好み焼きを食べる。量も適量で安心して食べられる。美味しい。
家に帰って風呂に入って眠る。
10月31日(日)
(日本)
江藤淳の『アメリカと私』を帰りの飛行機に忘れたことに気付く。乗り物酔いのせいだ。
まだ読み終わってないしおもしろそうなのでまた買うことにする。