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猪瀬直樹『昭和16年夏の敗戦』

2019年08月31日 22時15分18秒 | 文学
猪瀬直樹『昭和16年夏の敗戦』(中公文庫)を読んだ。
猪瀬直樹の本はおもしろくて結構読んだ時期があったのだけれど、この本は読んでいなかった。日本の戦争を振り返るついでに読んでみた。
昭和十六年に太平洋戦争が始まる前に、三十代くらいのエリートを集めて日米の総力戦について研究し、日本は負けるだろうと予測が立てられていたにもかかわらず、そしてそれを東條英機も聞いていたにもかかわらず日本は戦争を始めた、という話だった。
では誰がいつどこの段階で戦争を始めずにいられたかといえば、そこも難しく、総理大臣の東條英機も嫌々ながら戦争を始めたというようなことのようで、知れば知るほど難しいものだなと思う。

興亜観音像という南京事件で血に染まった土で作られた、日中戦争の犠牲者を弔うための観音像があるということを初めて知った。
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『小林秀雄 江藤淳 全対話』

2019年08月31日 07時50分50秒 | 文学
はじめあまり興味がなかったのだが、三島由紀夫について語っているものであるという事と、小林秀雄全集には五回の対談のうち一回しか載っていないという言葉を解説に読み、それならばと思い『小林秀雄 江藤淳 全対話』(中公文庫)を読む。
三島由紀夫について、江藤淳はなにか必死で否定しようとしているように読めた。
江藤淳の「伝統回復あせる」はいま読んでもとても思い当たる事がある。三島由紀夫が死んだ頃から日本人はあまり変わっていないのかもしれない。

基本的に対談は〈先輩〉小林秀雄がしゃべり、〈後輩〉江藤淳がそれに頷くというような印象だった。
まあちょっとそこが「いやだなあ」と思った。
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「いだてん」で昭和史を振り返る

2019年08月28日 00時01分35秒 | テレビ
大河ドラマ「いだてん」はオリンピックの話なのかと思っていたが、だんだんと昭和史を振り返る話になっているように思う。
ちょうど、私もいま昭和史に興味を持っているので毎週わりと楽しみに見ている。
これから日中戦争があり、太平洋戦争があり、敗戦があり、三島由紀夫があるのだろうなと期待している。勝手に、三島由紀夫は杉本哲太がやるのだろうなと思っている。

家のパソコンのホームページを「Yahoo!」にしているとくだらない「Yahoo!ニュース」を見てしまうので「Google」にずいぶん前に変えてしまったのだが、会社の昼休みにはやはりたまに「Yahoo!ニュース」を見て、「くだらない。だれがこれを書いたり集めたりしているんだろう。これがニュースであろうか。知性が感じられない。しかもコメント欄がひどい」と思ってしまう。コメント欄も基本的に非表示にしているのだが、気になるニュースのものはたまに見て、やはり失望してしまう。
しかしながら、もしもいま日本の世論を作っているものがあるとすれば「Yahoo!ニュース」なのではないかとも思う。
知性がないものを知性がないと思いながら毎日見る事でなにかしら引きずられるというのは、考えてみれば恐ろしい事だと思う。
もしも、毎日のニュースを、きちんとした知性を感じられる文章で、手軽に無料で読めるものがあれば毎日読むのだが、とずっと思っているのだがそういうものを知らない。探すまではしていないのでもしかするとあるのかもしれないが、ほんとうにいいものであれば探さなくてもそのうち行き当たるだろうとも思っている。
ほんとうは英語を勉強するしかないのだろうなと思う。
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加藤陽子『戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗』

2019年08月26日 23時16分00秒 | 文学
加藤陽子『戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗』(朝日出版社)を図書館で借りて読む。

3章の日独伊三国軍事同盟の話を読んでいたら、この時代の外国の歴史についても知らなければならないなと思った。
最近話題になった以下のものを見たり読んだりしてみたい。
・クリストファー・ノーラン監督『ダンケルク』
・ジョー・ライト監督『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』
・能條純一『昭和天皇物語』

4章の日米交渉についても大変詳しく書いてあり、一度読んだだけでは理解できない。すぐに忘れる。
そのうち文庫になったら買って自宅に置いておこうと思う。

加藤陽子の本を三冊読んで、なんとなく日清戦争から太平洋戦争までの流れが理解できた気がする。
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「拝謁記」

2019年08月24日 21時21分01秒 | テレビ
NHKの「昭和天皇は何を語ったのか ~初公開・秘録「拝謁記」~」という番組を録画していたので見た。
初代宮内庁長官が昭和天皇とのやり取りを残していたものが見つかって、昭和天皇の戦争への反省が語られていたというものだった。
ちょうどいま日清戦争から太平洋戦争までの本をよく読んでいるので、そのころの映像も流れ、番組を興味深く見た。
このように昭和天皇が誰かに向かって自分の思いを語るというような戯曲なり小説なりを(小説であれば井上靖の『孔子』のような語りのイメージ)、誰かが書いたらおもしろいだろうなと思う。
そのような本を書きそうなのは高橋源一郎と大川隆法なのだが、残念ながらどちらが買いても読まないだろう。
高橋源一郎は最後まで真面目な顔して書く事が出来ずにどこかでふざけ始めるだろう。

村上春樹が何かの間違いでそういうものを書いたら絶対に読むだろう。
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加藤陽子『とめられなかった戦争』

2019年08月23日 21時59分19秒 | 文学
加藤陽子『とめられなかった戦争』(文春文庫)を読む。
1944年、1941年、1937年、1933年と、だんだんと歴史を遡り、その時代時代のターニングポイントについて語るという格好の本だった。短い本で分かりやすい。時代を遡るのもちょっとどうかなと思うところもあるが、ある出来事があって、その原因を過去に遡るというやり方で理解がしやすいところもあった。
いまでは「日中戦争」と呼ばれる戦争を当時は「支那事変」と呼んでいたのは、戦争としてしまうとアメリカが中立法を発動していろいろなものの輸出を止めてしまうので日中両国にとって嫌だったという話は初めて知る話だった。
満州事変について、
《彼ら(=石原莞爾を中心とする一部軍人たち)は、満州事変が必要な真の理由を伏せたまま、国民に対しては「条約を守らない国」中国との論調を展開しました。》
《昭和恐慌下で生活の不安と窮乏化におののく国民が、「満蒙生命線論」に共感し、条約を守らない中国に対する怒りを募らせて、武力行使容認の国民的コンセンサスが形成された、まさにその瞬間に、関東軍は満州事変を起こしたのでした。》(158頁)
と書かれてあるところを読むと、昨今の日韓関係が重なる。
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三島由紀夫『三島由紀夫紀行文集』

2019年08月20日 22時14分33秒 | 文学
三島由紀夫『三島由紀夫紀行文集』(岩波文庫)。
三島由紀夫が海外旅行に行ったり国内旅行をしたりして書いた紀行文を集めている。
この前『潮騒』を読んだので、「「潮騒」ロケ随行記」がいちばん印象に残ったが、どれもそんなにはおもしろくなかった。「裸体と衣装」(『戦後日記』所収)のほうがおもしろい。
佐藤秀明の解説に出てきたジョン・ネイスンの『新版・三島由紀夫 ある評伝』に興味を惹かれる。
この本をちくま文庫か文春学藝ライブラリーあたりが来年の没後五十年を記念して出してくれないかなと思う。新潮文庫でももちろんいいけれど、最近あまりこういう本を新潮文庫では出していない気がするので期待できない。
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井上ひさし『この人から受け継ぐもの』

2019年08月18日 21時59分54秒 | 文学
加藤陽子の本(『戦争まで』)を読んでいたら、吉野作造の論文について、
《吉野先生の論文は、すごく読みやすくて、読み始めると最後まで読みたくなりますよ。》(76頁)
と書いてあり、「そんなことがあるだろうか(いや、ない)」と古文の反語のような感想を抱いたのだがそれでも興味があったので、同じく吉野作造について書かれているらしい井上ひさしの『この人から受け継ぐもの』(岩波書店)を図書館で借りて読む。
(ちなみに書店で吉野作造の本を確認してみたが、やはりちょっと読みやすいとは言えなさそうだった。しかしそのうちに読むかもしれない。)
井上ひさしの本は講演集で読みやすい本だった。後半のチェーホフと笑いについてのエッセイはそんなに興味を惹かれなかった。
吉野作造についての講演は、とても吉野作造に興味を惹かせる講演だった。井上ひさしに『兄おとうと』という戯曲があり、吉野作造が主人公のようだ。吉野作造がどういう論文を書いたかよりも、どういう人でどういう時代を生きたかにまずは惹かれるので戯曲を読んでも良いなと思った。
宮沢賢治についての講演は、僕とは興味があわないなと思った。というのも、
《”性欲に悩む賢治”なんてのは、あまりおもしろくないですね。》(49頁)
とあり、宮沢賢治なんていまそこにしか興味がないのだけれど申し訳ない、と思った。
丸山眞男についての講演は、丸山眞男についてというよりも戦中戦後を振り返るといった感じだった。丸山眞男の「戦争責任論の盲点」、「軍国支配者の精神形態」、「日本ファシズムの思想と運動」を読むべきかなと思った。
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加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』

2019年08月16日 02時14分06秒 | 文学
加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(新潮文庫)。
一度単行本で読んだのだけれど、もう一度読もうと思い古本屋で文庫を買う。
日清戦争から太平洋戦争までの歴史が講義形式で語られるのだが、とても複雑で、読んでいるときは理解できているように思うのだが、すぐに忘れてしまう。
満州事変は、来るべきソ連やアメリカとの戦争に備えて、その基地として満蒙を取っておくために起こしたものでもあったということは憶えておこう。
まあこういうのは何冊か同じような本を読まなければ理解できない。

橋本治の文庫解説が素晴らしい。
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片渕須直監督『この世界の片隅に』

2019年08月11日 23時40分17秒 | 映画
テレビでの放送を録画していた片渕須直監督の『この世界の片隅に』を観た。
戦争中の日本の日常生活というのがどういうものなのか具体的にどういうものなのかがよく分かる。
空襲される感じも。
広島の呉から、広島市の原爆投下のときの様子がどのように見えたのかもよく分かる。
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