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吉村昭『私の文学漂流』感想

2011年09月28日 21時57分14秒 | 文学
吉村昭『私の文学漂流』(ちくま文庫)を読んだ。
最近はあまりこういうことはないのだけれど、熱中して読んだ。おもしろかった。
吉村昭が会社勤めをしながら同人誌に小説を書いて苦労する姿がきちんと書かれてあった。同じく作家である奥さんが芥川賞を受賞したときに、記者たちに「離婚するんじゃないですか」などと失礼なことを言われる姿が、恨みに思っている風でもなく書かれてあった。
自身の作品が芥川賞候補になったときに兄弟がやってきて、落選してみんなが家に帰る姿もたんたんと書いてあった。
脚光を浴びていない作家の生活がよくわかる。
太宰治賞をとったときのことや『戦艦武蔵』を執筆しているときの話も詳しく書かれていた。
いまから『戦艦武蔵』を読む。
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城山三郎『落日燃ゆ』感想

2011年09月26日 22時58分58秒 | 文学
城山三郎『落日燃ゆ』(新潮文庫)読了。
広田弘毅は母も息子も、そして妻も自殺してたいへんだったなと思った。
東京裁判の時になにも自己弁護しようとしない姿にいらいらさせられた。このような日本人がいたのだなと思った。
城山三郎はライバルを書くのが好きなのだろうか、ほかの作品を読んでいないから分からないが、もしかしたらそうなのかもしれない。
統帥権についてよく出てきたので、統帥権について詳しく書かれているらしい司馬遼太郎の『この国のかたち』を読んでみようかなと思った。
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城山三郎と吉村昭

2011年09月25日 23時29分47秒 | 文学
城山三郎の『落日燃ゆ』を読んでいる。太平洋戦争が始まるまでの話が長く、このままいくと残りのページ数からして戦後の話はほとんどないんじゃないかと思っていたら、戦争中の話があっという間に終わってしまった。ほんとうに、こんなに戦争中の話が短いのって知らない。
読みやすくて太平洋戦争のことがよく分かるよい本だという感想は変わらない。
しかし、今日書店で『吉村昭が伝えたかったこと』という雑誌に掲載されている吉村昭へのインタビューを読んでいたら、「戦争中の話で一部の人間が悪かったという認識は違う。隣の人が怖かったのだ。」というふうなことを答えていて、確かにそうなんだろうなと思った。
城山三郎の『落日燃ゆ』について不満があるとすれば、天皇に対して敬語を用いていることと、何かと言えば陸軍が悪いというふうに書かれていることだ。確かに陸軍が悪いのだろうけれど、それは司馬遼太郎もよく言っていることで、どうせなら他の切り口でも話を聞いてみたい。
戦争中の隣の人の怖さを書こうとしたという吉村昭の『戦艦武蔵』を次は読もうと思う。
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内田樹『他者と死者 ラカンによるレヴィナス』

2011年09月23日 14時10分12秒 | 文学
内田樹の『他者と死者 ラカンによるレヴィナス』(文春文庫)を読んだ。
内田樹の本の何に惹かれているのかというと、他の本ではあまり読んだことのないような論理の流れに、だと思う。
未来の自分を想定して現在を振り返るだとか、いったん出したものを引っ込める(前言撤回)だとか、他の本では読んだことのないような話に、まんまと惹かれてしまう。
今回は本の最後あたりの以下のところが納得だった。
《神の裁きが完全であれば、皮肉なことに、人間たちの倫理性は衰微する。(中略)それは、福祉が充実し、どのような貧者も政府の手厚い保護を保障されている社会では貧しい人のために自分の家の扉を開く動機づけが弱まるのと同じ心理である。》(272頁)
最近は倫理とか有責性の話に興味がある。
しかしやはりレヴィナスを読もうという気にはならならかった。『全体性と無限』の本は買ってあるのだけれど、難しそうで手が出ない。

城山三郎の『落日燃ゆ』を読み始めた。
とてもよみやすい。良い本だ。
広田弘毅のことがよくわかりそう。
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戦争本

2011年09月21日 23時12分15秒 | 文学
内田樹の『他者と死者 ラカンによるレヴィナス』(文春文庫)を読んでいる。この本を読むのは二度目。単行本を図書館で借りて読んだ時も思ったはずだが、難しい。レヴィナスを読もうという気には到底ならない。
難しいのだが読んでいると、レヴィナスが「ホロコーストの生き残り」であることを自分の思想の根幹にしていることはわかった。
で、ふと思ったのは、戦争ものをちょっとまとめて読んでみようということ。
最近いくつか、あれを読もうか、これを読もうか、と考える本になんとなく戦争関係のものが多いように思うので、ここでまとめて読んでみるのも悪くないかもしれない。
以下は読もうと思うリスト。
ヴィクトール・E・フランクル『夜と霧』
城山三郎『落日燃ゆ』
吉村昭『戦艦武蔵』
武田泰淳『政治家の文章』
大岡昇平『俘虜記』
『政治家の文章』は高橋源一郎が内田樹との対談で読んだと言っているのを見て気になっている。そのあと加藤陽子もこの本について発言していた。
『俘虜記』は最近本屋で見て文庫の字が大きくなっているのを知ったことによる。
このくらいを読めば再び僕に二度目の第二次世界大戦ブームがやってくるに違いない。
戦争の話は、昔はこのようなことがあって二度とこのようなことを繰り返してはいけないと読んでは、いけないと思う。一歩引いたところからではなく、自分が太平洋戦争の生き残りであるというくらいの気持ちで読まないとおもしろくないんじゃないかと思う。かつてあったことを、あれは良かった悪かった、あいつは善いやつだった悪人だったと言うのって、まあくだらない。
まずはこのへんを肝に銘じて読んでみましょう。
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藤沢周平『秘太刀馬の骨』

2011年09月19日 14時39分48秒 | 文学
藤沢周平の『秘太刀馬の骨』(文春文庫)を読んだ。
たぶん、雑誌の連載だったのだろうが、連作短編の形式で、
「お前が馬の骨を伝授されたのか?」
「いや違う」
「じゃあ試合をして試させてもらう」
「いやだ」
「お前の秘密をばらされてもいいのか」
「では勝負だ」
という会話が毎回かわされる。
なんで木刀で闘うことで馬の骨を伝授された人間かどうか判断できると思うのかがわからない。
よく考えたらバカバカしい話なのだけれどとても愉しめた。
しかし、推理小説が苦手でいつもそうなのだが、最後の最後で謎が解かれ始めるととたんに興味がなくなって、どうでもよくなってしまった。
「馬の骨」がどういう動きをする、どういう技なのか、結局よくはわからない。それはまあどうでもよいことなのだろう。

同じような話なのに飽きさせないのは、省略する部分と描く部分が毎回変わるからだろう。藤沢周平の描写の省略の仕方は特徴があると思った。似たような書き方を読んだことがない。
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本の整理、広田弘毅の話、馬の骨

2011年09月18日 23時20分51秒 | 文学
本の整理をしようと思い、たくさんの本を古本屋に売る。基本方針は以下の三つで大量に売ることにした。
1.二度と読まないだろう本は売る。
2.古くなりすぎて触るのも嫌な本は売る。
3.新訳が出ているものは売る。
そういえば、いつかも古本屋に売ったなと思って調べてみると、一年前くらいに売っていた(この記事)。
今回もすっきりした。
一年に一度くらいは本を大量に売ることにしていきたい。

いま図書館から借りてきている半藤一利と加藤陽子の『昭和史裁判』(文藝春秋)を読んでいるが、よく知らない話なのでなかなか読み進まない。いまは一人目の広田弘毅の話なのだが、全く知らないので時間がかかる。しかも、広田弘毅になかなか興味が持てない。やはりこのあたりの昭和史についてよく知っているひとが読むべき本なのだろう。
城山三郎の『落日燃ゆ』は広田弘毅が主人公で、ベストセラーになった本のようで、まずはこの本を読むべきかもしれない。
城山三郎といえば、僕にとっては同じような印象の吉村昭の本を最近書店で見かけることが多く、少し興味を持っている。
城山三郎と吉村昭のどちらかを読んでみたい。

鶴見俊輔と関川夏央の対談『日本人は何を捨ててきたのか』を読んでいて興味を持った藤沢周平の『秘太刀馬の骨』を買ってきて読んでいる。
おもしろい。
藤沢周平っておもしろいんだなと思った。『密謀』を読んだときは退屈だなあと感じたのだけれど、この本はおもしろい。
誰が「馬の骨」を伝授されているのかという推理小説的なところと、鬱病の妻に対する夫の気持ちがよく表れているところのバランスが良い。暗くなりすぎず、かといってバカバカしすぎもせず、といったところ。
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NHKの「旅のチカラ」

2011年09月18日 01時53分49秒 | テレビ
NHKの番組モニターの仕事として「旅のチカラ」という番組で、歌手の植村花菜がアメリカを旅するのを見た。「旅のチカラ」は最近始まったNHKの番組のなかでは最も良い番組だと思っていて、わりとよく見る。
しかし当り前の話なのだが、旅する人によっておもしろかったり、おもしろくなかったりする。
きちんと、ある場面では感情を表に出したり、言い淀むところは言い淀んだり、お世話になったひとと別れるときには涙を流したり、そういうことのできる人でなければおもしろくない。
植村花菜はそういうことのできるひとだったのでとてもよい番組になっていた。
「トイレの神様」をきちんと聴いたことがないうちに長い曲ということのみの情報で知ってしまい、長い曲なら聴かなくていいや、といまだにきちんと聴いたことがないのだが、植村花菜はきちんと歌の歌える上手な歌手だと思った。
すこし注目しようと思わせる番組だった。
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みるみる料理が作りたくなるような本

2011年09月13日 23時36分04秒 | 文学
この前テレビを見ていたら、鈴木おさむと森三中の大島の夫妻が『体脂肪計タニタの社員食堂』のレシピで痩せたという話をしていて興味を持ち本を買った。
しかしまだ料理を作っていない。
テレビでは異常なまでに簡単であることを強調していたが、料理というのは簡単だから作るというものでもないんだよなと思う。料理に簡単を求めるのであれば、家で料理を作る以上に簡単な方法はいくつもあるわけなので(買ってくるとか、食べに行くとか、電話するとか)。
テニスについてもそうなのだが、具体的なテクニックを教えている本よりもやる気を起こさせる本がないかどうかをついつい探してしまう。ビジネス書の読み過ぎだと思う。
テニスでラケットの持ち方とかサーブの入れ方とかそういう具体的で細かい話が書いてある本よりも、テニスっていいぞう……みたいな本のほうに興味がある。
料理についても、レシピとか包丁の使い方とか布巾の洗い方とかの書いてある本よりも、料理をしたらこんないいことがあるとか、まあそんなに直接的に勧めるように書いていなくても読んでいるうちにみるみる料理が作りたくなるような本が読みたい。
そんな本ないかなあ。
料理の本ってレシピしか書いていないからつまらない。
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鶴見俊輔・関川夏央『日本人は何を捨ててきたのか』

2011年09月13日 22時59分12秒 | 文学
鶴見俊輔と関川夏央の対談『日本人は何を捨ててきたのか 思想家・鶴見俊輔の肉声』(筑摩書房)を図書館で借りて読んだ。
鶴見俊輔も関川夏央も僕には同じような印象で、たぶんすごい人なのだろうし、気になる存在なのだけれど、いまだに「このひとのここがすごい」という核心に触れることができないままでいる二人だ。この本の前半のもとになったNHKの番組もずっと前にテレビで見た。
以下の本が話題になり、おもしろそうだったので読みたいと思った。
・藤沢周平『秘太刀馬の骨』
・吉野源三郎『君たちはどう生きるか』

期待したほどはおもしろくない本だった。
いまだにこの二人の核心に触れることができない。
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