ダブログ宣言!

ひとりでするのがブログなら、
ふたりでするのがダブログ。

☆江藤淳「作家は行動する」感想

2006年06月04日 15時01分59秒 | 文学
作家は行動するなんでここまで江藤淳を追いかけるのかと自分でも不思議になりながら、「作家は行動する」を読み終わった。
大きく三つの章、
「作家は行動する(Ⅰ)」
「作家は行動する(Ⅱ)」
「散文家たち」
に分かれている。
ことばという記号を通してしか現実と触れ合うことができないが、頑張りましょう、それが作家です。現実に到ろうとするには「時間」を文章に含ませたらいいよ。というようなことが(たぶん)「作家は行動する(Ⅰ)」で語られ、そのあと大江健三郎、石原慎太郎、三島由紀夫の新しい(!)作家の文体、埴谷雄高、大岡昇平、武田泰淳などの第一次戦後派の文体を「作家は行動する(Ⅱ)」で検証する。三島由紀夫は現実を目指してなくて美を目指してる。人工的で内容空疎、というところは納得した。
大岡昇平の「野火」が読みたくなった。
最後の「散文家たち」で、坂口安吾と石川淳のエッセイを見た後に福沢諭吉はやっぱりすばらしい、ということになる。江藤淳は福沢諭吉が好きだなあ。
最後の最後で夏目漱石の「私の個人主義」が引用されていてこれは読んでみようと思った。それと「夢十夜」の「第七夜」が引用されていて、海へ飛び込んだ男が、
「自分は何処へ行くんだか判らない船でも、矢つ張り乗つて居る方がよかつたと始めて悟りながら、」
落ちていく部分を読んでこれはおもしろいと思い、全文を読もうと思っていま調べたら、江藤淳の引用で全文だった。確かに引用長えよって思いながら読んだけれど、まさか全文とは思いませんでした。
江藤淳は、小説といえどもそこに作家の責任や倫理を求める。他者とつながろうとしない姿勢を嫌う。一貫していて気持ちがいい。
コメント