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頭木弘樹・編『絶望書店』

2021年02月24日 22時43分59秒 | 文学
このところ図書館に行っていなかったのだが、娘(小学二年生)がたくさん本を読むので、図書館に連れて行った。ついでに自分にも一冊借りた。
頭木弘樹・編『絶望書店』(河出書房新社)を読んだ。
夢を諦めるな、ということを言う人は多いが、夢をどのように諦めるかという話を集めた本というのは珍しい。とてもおもしろかった。
特にサッカー選手と鬱病について考えた「肉屋の消えない憂鬱」(豊福晋)というノンフィクションがおもしろかった。サッカー選手というのは潰されそうなプレッシャーのなかで生きて、潰されてしまう人も多いのだなと思った。野球選手についてはテレビ番組で戦力外通告を受けた選手とその家族を撮影したものを見たことがあるので、「たいへんだ。野球選手じゃなくて良かった」と思ったことがあるがサッカー選手も大変なのだろう。
小説ではクォン・ヨソンの「アジの味」がおもしろかった。なんだか村上春樹を読みたくなる。
それから連城三紀彦の「紅き唇」も古くさい感じはするのだがおもしろかった。連城三紀彦に少し興味を持った。
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三島由紀夫『手長姫 英霊の声 1938 -1966』

2021年02月21日 21時40分43秒 | 文学
三島由紀夫『手長姫 英霊の声 1938 -1966』(新潮文庫)を読んだ。

「酸模」
”すかんぽう”というのは植物の名前。
ディケンズの『大いなる遺産』を思い出させる。

「家族合せ」
谷崎潤一郎にこんな話がありそう。
あまり興味を惹かれない。

「日食」
とても短い話。

「手長姫」
万引きを無意識にしてしまう女の話。
最後の胡椒でくしゃみをしてしまうところが、『潮騒』の悪役が蜂に刺される場面を思い出させた。そのうち落ちているバナナの皮で転ぶ人が登場するだろう。

「携帯用」
会社の金を横領。女を殺す。
フランスのヌーヴェルヴァーグにありそうなあらすじ。

「S・O・S」
S・O・Sの手紙は戯れ言で、夫婦はそれぞれ不倫しているという話。

「魔法瓶」
途中までおもしろいが、オチの魔法瓶を割ったというところがよくわからない。

「切符」
幽霊だと思っていたほうじゃなく、幽霊じゃないと思っていたほうが幽霊だった。

「英霊の声」
昔読んだときよりも昭和史について少し詳しくなっているので理解できる。
語り手が降霊の現場にいて、最初に二・二六事件の青年将校の霊が語るのを聞き、次に太平洋戦争の特攻隊の霊が語るのを聞く。
最後は霊媒の川崎君が「何者かのあいまいな顔」をして死ぬ。
これが何者か。この文庫の解説では保阪正康が三島自身の顔であると言っているように読める。三島自身の顔か、加藤典洋が言うように昭和天皇の顔か、私には判断できなかった。
この短篇は評価がものすごく高いが、私にはちょっと難しいし、あまり付いてもいけず、共感できない。
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大河ドラマと村上龍

2021年02月13日 21時43分58秒 | 文学
いま吉川英治の『新・平家物語』を読んでいるので来年のNHKの大河ドラマ『鎌倉殿の13人』は見ようと思っているのだが、今年の『青天を衝け』にはあまり興味を持っていなかった。しかし幕末の話も久しぶりに見てもいいかと思い番組宣伝の番組をいくつか見てみる。ものすごく興味を惹かれるわけでもないが最初は少し見てみようと思う。
『青天を衝け』は渋沢栄一が主人公で、岩波文庫が幸田露伴の『渋沢栄一伝』を出していて少し読んだが、知らない人間の話を読むには堅苦しい文体で僕には最後まで読む自信がなかった。読むなら城山三郎の『雄気堂々』(新潮文庫)にしたい。

なぜだか村上龍が読みたくなる。たまにある。
しかしいつの頃からか村上龍の本が手に入りにくくなっている。
『ラッフルズホテル』とかが読みたいのだが、品切れ。この状況はいつか変わるのだろうか。
『KYOKO』は手に入りそうなのでこちらでも読んでみようかと思っている。
どちらも入っている『村上龍自選小説集2』が新装版で出るか文庫になるかしないだろうか。『村上龍自選小説集』は僕が二十歳くらいのときに出たのだが、いい時代だったなあ。
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アリストテレス『ニコマコス倫理学(上)』

2021年02月13日 20時50分15秒 | 文学
アリストテレス『ニコマコス倫理学(上)』(光文社古典新訳文庫)を読んだ。
言っていることはそこまで難しいことを語っているわけではないように感じる。
超過と不足は悪いもので、中間が良いというようなことが様々な例で語られる。
意に反して行われた行為であれば不正ではなく、自発的に行われた行為であれば不正であるというようなことは、何が犯罪として認められるかというようなことを考えさせて興味深かった。
が、なんの議論に付き合わされているのかよく分からず、このままどこに行くのだろうかという気持ちで読んでいる。
フレデリック・ルノワールの影響で読んでいるが、この本のどこがすばらしいのかまだわからない。
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吉川英治『新・平家物語(十三)』

2021年02月11日 16時07分51秒 | 文学
吉川英治『新・平家物語(十三)』(新潮文庫)を読んだ。
清盛が死んでからの平家はずっとダメな感じで、惹かれるものがない。
白洲正子の『能の物語』には平家のひとを主人公にしたものも多いが、昔は能などの演目の教養がみんなにあったので清盛の子どもたちに対する知識もあったんだろうなと思う。
いま読むと初めて知るひとの話なのでそんなに惹かれることがないのだろう。「ああ、あのひとか」という知り合いの話を読んでいる感覚が僕にはまったくない。
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武者小路実篤『真理先生』

2021年02月09日 22時01分24秒 | 文学
武者小路実篤『真理先生』(新潮文庫)を読んだ。
このところ私は、自分の好みが白樺派に近づいているのではないかとふと思い、武者小路実篤でも読んでみるかと思った。そんなことはなかった。まったく共感できませんでした。
いま読むと、女の人の扱いがひどいように思う。そんなことは昔の文学を読んでみればいくらでもあると言われそうだが、それを正しげに書いてあるところが癇に障るのだと思う。
この前谷崎潤一郎の『文章読本』を読んで、読んでみたくなった志賀直哉を読んでみる。
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白洲正子『能の物語』

2021年02月07日 22時10分49秒 | 文学
白洲正子『能の物語』(講談社文芸文庫)を読んだ。
「はじめに」で、現代語訳ではないと断っているが、わかりやすく言えばやはり現代語訳。
能の雰囲気が良く出ている。(といって私は能を観たことがあるわけではない。)

「井筒」
『伊勢物語』の「筒井筒」の紀有常の娘の幽霊かと思っていたら在原業平となり、どちらだか判明としなくなる。
それを見る僧の話。
この間途中まで『風の谷のナウシカ』の歌舞伎を観ていたのだが、子どもの王蟲(オーム)とナウシカの心が通じ合う場面を、子どもの王蟲の精霊を表す人間の子どもが登場し、ナウシカと舞を踊っていた。このように表現するのだなと思った。
感動の山場を和歌で表現する古典文学よりも、舞で表現する能や歌舞伎のほうがまだ近づきやすいと思った。

「鵺」

「頼政」

「実盛」
髪を黒く染めて最期の戦いに臨む実盛の話は『新・平家物語』で読んで印象に残っている。
読んだときにヴィスコンティの『ベニスに死す』を思い出した。
実盛の幽霊が昔の話を物語る。

「二人静」
静御前が二人になるところが実際にはどのように演じられるのか観てみたいと思った。

「葵上」

「藤戸」
自分が殺した人間の幽霊に出会うというのは怖いと思った。

「熊野」

「俊寛」
俊寛だけが島に残されるところは『新・平家物語』でも覚えている。

「巴」
巴御前は木曾義仲の妻。

「敦盛」

「清経」

「忠度」

「大原御幸」
まだ『新・平家物語』では読んでいないが、平清盛の娘の建礼門院が息子の安徳天皇らと海に落ちて死のうとするが彼女だけ生き残り、そこに後白河法皇が訪ねてくる話。

「舟弁慶」

「安宅」
「勧進帳」の話。

「竹生島」

「阿漕」

「桜川」
狂った母親が息子に再会するというこの話が私の心の琴線に触れるのはなぜだろう。
私の母親は(まだ)狂っていない。

「隅田川」
これもまた狂った母親の話。

「道成寺」
鐘のなかから大蛇が出るところは舞台で見れば驚くだろうなと思う。
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