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『きみに贈る本』

2023年04月30日 20時23分36秒 | 文学
『きみに贈る本』(中央公論新社)を図書館で借りて読んだ。
新聞に連載されたもののよう。
中村文則、佐川光晴、山崎ナオコーラ、窪美澄、朝井リョウ、円城塔が順番に若い人に薦める本を語る。
短い記事なのに書く人によって随分印象が変わって、読む気になれない人のものは読めなかった。
佐川光晴のものがいちばん読めたが、薦めている本がオーソドックスなものか、または入手しにくいもので、読もうと思うものはなかった。夏目漱石の『吾輩は猫である』くらいか。
窪美澄は知らない人だが、良い本を薦める。しかし書いていることにあまり興味を惹かれない。
朝井リョウは、朝井リョウ自体に興味を持った。しばらく彼の小説を読んでみてもいいなと思った。『武道館』などから。
薦めた本では佐藤多佳子の『一瞬の風になれ』が気になった。青春を感じたくなって自分が読むか、娘に青春を感じさせたくなったら娘に読ませるかするかもしれない。
それと堀江敏幸の『雪沼とその周辺』を薦めていたが、僕もこの小説がすごいと思ってしばらく堀江敏幸を読んだので親近感を持った。海外文学が苦手と書いていたが、堀江敏幸が好きならフランスの現代文学あたりを読んでみたらどうだろうか、と思った。今後の活躍を期待します。
円城塔には誠実さが感じられない。よく知らないがたぶんインテリだろう。誠実さが感じられない人のものは読む気がしない。
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山田太一『異人たちとの夏』

2023年04月29日 13時46分05秒 | 文学
山田太一『異人たちとの夏』(新潮文庫)を読んだ。
両親とすき焼きを食べて別れるくらいまで、とてもおもしろく読んだ。そのあとが、その設定は必要かとも思ったがもうひとヤマ欲しかったということかな。
おもしろい小説ではあった。
脚本家の主人公の話し方や考え方が好きだった。こういう主人公のものならもっと読んでみたいと思わせた。とくにお化けは必要ない。
沢木耕太郎や片岡義男の語り方に似ていると思った。

《ポール・セローというアメリカの作家に、ロンドンの作家たちが、派手な交際をしているかに見えて、いかに滑稽なほどそれぞれが一人ぼっちかという短篇があったけれど、ぼくは孤独を嘲笑う気はない。》(151頁)
というこのポール・セローの短篇が何か知りたい。
ポール・セローはいつか何かを読んだときにも気になって調べたことがあるが、何を読んだときだったか忘れてしまった。
また気になることがあるかもしれないので、ここにメモしておく。
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村上春樹『一人称単数』

2023年04月27日 00時47分56秒 | 文学
村上春樹『一人称単数』(文春文庫)。
久しぶりの村上春樹。ゆっくり読みたい。

「石のまくらに」
噛みしめたタオルの歯型、凧糸で綴じた歌集など思い浮かぶイメージは強い。
ただここに、はっとするような短歌が一つでもあれば良かったかなと思う。おそらく村上春樹自身の作だろうが、そういう短歌はなかった。

「クリーム」
行ってみたら誰もいない話。
キリスト教の宣教車。
想像できない円の定義。
ちょっと、というかぜんぜんよくわからない話だが、イメージだけは相変わらず強烈。

「チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ」
チャーリー・パーカーなどぜんぜん知らないが、ボサノヴァが流行る前に死んだということで、ボサノヴァを演奏するはずもないのに、そういうレコードが存在したかのような評を書いた語り手。
チャーリー・パーカーなどに詳しい人だったらもっと愉しめるのかな。

「ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles」
初めてのガールフレンドの家に行くと彼女はいなくて、お兄さんがいて、芥川龍之介の『歯車』を朗読することになる話。
ガールフレンドと芥川龍之介は睡眠薬自殺つながりか。
奇妙な話で印象に残る。

「『ヤクルト・スワローズ詩集』」
書いてあることはほぼ全て事実なのだろう。フィクションがあるとすれば母親が阪神タイガースの選手のテレフォン・カードを大量に購入していたところだろう。あそこは出来すぎている。
阪神タイガースは阪神タイガー「」じゃないんだなと思ったのと、テレフォン・カードって『ノルウェイの森』だったか何かの小説では「電話カード」って呼んでなかったかな。丸くなったなと思った。
エッセイだかなんだかわからない、”黒ビールみたいな”話だった。
この短篇集のここまで読んだなかでいちばんおもしろいかもしれない。

「謝肉祭(Carnaval)」
ここまで読んだなかで最もおもしろい。まさに村上春樹の短篇小説といった感じ。
醜い女性の話。関節をぽきぽき鳴らすところで声を出して笑ってしまった。
シューマンの「謝肉祭」を聴いてみる必要がある。

「品川猿の告白」
しゃべる猿の話は昔もたしかあった。
しかしそこまで「しゃべる猿」というものに興味も関心もない方なので隣の部屋にあるその本を探して読んでみる気にはならない。
猿のしゃべりはどことなく谷崎潤一郎の作品を思い出させた。『盲目物語』とかかもしれない。
敢えて言えば、この話のテーマは何なのだろう?

「一人称単数」
普段はスーツを着ない語り手がスーツを着て出掛けるというところから話は始まるが、これは谷崎潤一郎の「秘密」を意識しているように読める。谷崎潤一郎の「秘密」では女装してお高祖頭巾(おこそずきん)をかぶって出掛けるが、村上春樹はポール・スミスのスーツを着て出掛ける。
後半は太宰治の「親友交歓」のような話になる。
「威張るな!」が「恥を知りなさい」に変わる。
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平松洋子『野蛮な読書』

2023年04月26日 01時14分09秒 | 文学
平松洋子『野蛮な読書』(集英社)を図書館で借りて読んだ。
取り上げられている作家では、開高健と正岡子規と太宰治と宇能鴻一郎と山田太一に興味を持った。
開高健は何かに出てくるたびに「おもしろいかな、そうでもないかな」という感情をいつも行ったり来たりする。確かに昔「裸の王様」にすごく感動した記憶はあるのだがそれは自分がまだ子供で、そこに出てくる子供に自分を重ねてそう思っただけのような気もしている。絵画教室の子供の話だったはずだが、いま私が読んでもおもしろいものだろうか。ベトナム戦争の話も角田光代が言うほどおもしろくはないのではないかと思っている。
正岡子規は読む準備中。
太宰治はたぶん最近足りてないのだと思う。太宰治と言われるたびに読みたくなる。『津軽』とか読みたい。
宇能鴻一郎はこの本(『野蛮な読書』)でいちばんいいところ。これまで宇能鴻一郎を論じたものを読んだことがない。おそらくこの本のせいで宇能鴻一郎の本が手に入りやすくなったのだろう。機会があれば読んでみたい。
山田太一『異人たちとの夏』はおもしろいのなら読んでみよう。私くらいの年齢の主人公が離婚して妻子と別れるというところに妙に惹かれる。

きちんと取り上げられている本ではないが、シンガポールのホテルで藤沢周平の『用心棒日月抄』や『孤剣』『刺客』『凶刃』を読む記述があり、ものすごく羨ましかった。そういうことをいつかやってみたいと思っている。
なんでもいいのだが、何も考えずに続けざまに娯楽作品を読むのに憧れる。
村上春樹のなにかの短篇で、週末にエド・マクベインの『87分署シリーズ』を一作ずつ読んでいる会社員の話があったが、どんな話かは忘れたのにそこだけずっと憶えている。
鶴見俊輔に倣って赤川次郎の『三毛猫ホームズシリーズ』を読み続ける生活をしてみたいが、すぐに飽きてしまうのだろうか。
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フィギュアスケートの音楽

2023年04月23日 23時50分04秒 | 音楽
娘(小5)がフィギュアスケートが好きになり、よくテレビを見ている。
私は全く興味がなく、スポーツ全般にも基本的に興味はないのだが、美しさを競う競技というものが特にそもそも理解できない。観戦の仕方がわからない。「あ、あそこ失敗した」、「あそこうまく跳べるかな」と思いながら観戦すべきなのだろうか。いつも失敗を気にして競技を見させられている気がする。その愉しさが理解できない。
他に娘は動物番組をよく見るのだが、これも私には全く興味が持てず、NHK朝ドラ『あまちゃん』の小泉今日子のように「あんたはどうして私の嫌いなものばかりに興味を持つのっ!」と言いたくなる。
それはいいのだが、見てはいないがテレビがついていると音楽が聴こえて、何度か聴いているうちにいい曲だなと思うものがあった。
メッシングという選手が使用している曲で、とても私にはなんだか懐かしい歌声で、調べてみるとフィリップ・フィリップス(phillip phillips)の「Home」という曲だった。
懐かしく感じるのはワン・ダイレクションを思わせるからかもしれない。

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コンスタン『アドルフ』

2023年04月20日 23時44分43秒 | 文学
コンスタン『アドルフ』(光文社古典新訳文庫)を読んだ。
フランス文学の中ではまあまあ有名な方で、恋愛小説なのにほとんどが恋愛後の倦怠感を描いているということでいつも語られる小説だが、ぜんぜんおもしろくなかった。
ふだん小説を読むときに描写がないと思うことはないのだが、そしてバルザックの小説のはじまりの長い風景描写とか退屈に感じる方だが、今回は描写がない小説だなと思った。いったいどこで何が行われているのかよくわからない。ただただ人物の記述が続く。
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オルテガ・イ・ガセット『大衆の反逆』

2023年04月17日 22時55分20秒 | 文学
オルテガ・イ・ガセット『大衆の反逆』(岩波文庫)。
私には理解できなかった。
タイトルが良くて惹かれ、「ああ、今の時代は大衆の反逆の時代だな」と言いたいが、何が言いたいのかよくわからない本だった。
読むのは二度目だがやっぱりわからない。
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斎藤美奈子『文庫解説ワンダーランド』

2023年04月17日 00時02分08秒 | 文学
斎藤美奈子『文庫解説ワンダーランド』(岩波新書)を図書館で借りて読んだ。
中学時代に本を読み始めたころは文庫解説を読んでいたこともあったが、すぐに読まなくなったように思う。だいたい最後まで興味が持続できないし、そのせいで読後感が悪くなるし、そんなものを読むくらいなら次の本を読んだほうがいいと思って読まなくなった。
いまはほとんど読まない。知っている人が書いているときは読むかも。
赤川次郎の文庫解説に鶴見俊輔が登場したら読んでしまうだろう。赤川次郎をそんなに読まないので知らなかった。
斎藤美奈子の本を指しぶりに読むが、おもしろくてすぐに読んでしまった。
読みたくなる本があるかなと思ったが、読みたくなった本も読みたくなった文庫解説もなかった。
渡辺淳一のセクハラがすごいなと思った。渡辺淳一のところが一番おもしろかった。

ああ、『走れメロス』の最後にメロスに「マントを着ろ」と言う「佳き友」が、セリヌンティウスじゃなくて王のことだと斎藤美奈子が書いていたがこれはほんとうだろうか。確かめてみる必要があると思った。
『伊豆の踊子』の解説は集英社文庫の奥野健男&橋本治コンビがいいらしい。表紙がジョジョか。
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クセノフォン『ソクラテスの思い出』

2023年04月13日 23時38分11秒 | 文学
クセノフォン『ソクラテスの思い出』(光文社古典新訳文庫)を読んだ。
プラトンの描くソクラテスはだいたいは相手を煙に巻き、結局はなにも答えないという印象なのだけれど、ここでクセノフォンの描くソクラテスは率直に自分の意見を語り好感が持てる。
ソクラテスの印象がとても良くなった。
すごくいいことがたくさん書かれていて、また機会があれば読もうと思った。
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藤沢周平『市塵』

2023年04月11日 21時12分57秒 | 文学

藤沢周平『市塵』(新潮文庫)を図書館で借りて読んだ。
新井白石の『折りたく柴の記』を読もうと思っていて、その予習のために読んだ。
徳川綱吉、家宣、家継、吉宗の、五代将軍から八代将軍までの時代で、あまりこれまで読んだことのない時代の話だった。斬ったり斬られたりもなく、自害もない、ただただ静かな政治の話だった。
藤沢周平の小説を久しぶり(というほど数は読んでいないが、)に読み、おもしろかった。
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