谷崎潤一郎『陰翳礼讃・文章読本』(新潮文庫)を読んだ。
「陰翳礼讃」
ずっと昔に読んだことがあるが、まるで覚えていなかった。
NHKでこの「陰翳礼讃」を8Kの”美しい映像”で再現したものを録画してあるのでそのために読み、番組も半分くらい見た。
もともとは8Kの”美しい映像”なのだが、それを普通の4Kでも8Kでもない放送で流したもの。4Kとか8Kとかしばらく前から言っているが興味を持っているひとがいるのだろうか、と不思議に思う。私は地デジで充分です。
それで、「陰翳礼讃」なのだが、谷崎は厠(トイレ)の話をものすごく熱心にしていて、トイレのにおいの話をわりとしている。水洗便所ではなく、便器の闇に消える大便に思いを馳せている。便器についても語っている。
ここまでトイレについて語られた文章を知らない。
NHKの8Kの番組は、厠の建物を外から映した映像でごまかしているようだが、ほんとうに谷崎の意図を酌むのであれば、便器の闇を8Kの”美しい映像”で撮影すべきだろう。
トイレが汚いという固定観念から逃れられていない。
「厠のいろいろ」
またトイレの話。
「文房具漫談」
文房具の話。谷崎は毛筆で書く。間違ったら毛筆で黒く塗りつぶす。
「岡本にて」
関西移住について。
「文章読本」
言葉遣いが変わってしまっているので、いまでは理解できないし使えないと思うようなこともあったが、基本的には谷崎潤一郎の言っていることは正しいと思えることが多かった。
「陰翳礼讃」
ずっと昔に読んだことがあるが、まるで覚えていなかった。
NHKでこの「陰翳礼讃」を8Kの”美しい映像”で再現したものを録画してあるのでそのために読み、番組も半分くらい見た。
もともとは8Kの”美しい映像”なのだが、それを普通の4Kでも8Kでもない放送で流したもの。4Kとか8Kとかしばらく前から言っているが興味を持っているひとがいるのだろうか、と不思議に思う。私は地デジで充分です。
それで、「陰翳礼讃」なのだが、谷崎は厠(トイレ)の話をものすごく熱心にしていて、トイレのにおいの話をわりとしている。水洗便所ではなく、便器の闇に消える大便に思いを馳せている。便器についても語っている。
ここまでトイレについて語られた文章を知らない。
NHKの8Kの番組は、厠の建物を外から映した映像でごまかしているようだが、ほんとうに谷崎の意図を酌むのであれば、便器の闇を8Kの”美しい映像”で撮影すべきだろう。
トイレが汚いという固定観念から逃れられていない。
「厠のいろいろ」
またトイレの話。
「文房具漫談」
文房具の話。谷崎は毛筆で書く。間違ったら毛筆で黒く塗りつぶす。
「岡本にて」
関西移住について。
「文章読本」
言葉遣いが変わってしまっているので、いまでは理解できないし使えないと思うようなこともあったが、基本的には谷崎潤一郎の言っていることは正しいと思えることが多かった。
吉行淳之介選『文章読本』(中公文庫)を読んだ。
書店で宇野千代の「文章を書くコツ」を読んで興味を惹かれて読んでみることにした。
谷崎潤一郎の『文章読本』はなんどもこの本に出てくるので全部を読んでみなければならないなと思った。
萩原朔太郎と安岡章太郎と澁澤龍彦のものが良いと思った。中村真一郎のもののなかで引用される大岡昇平が良いと思った。大岡昇平が良いというより、他の引用されるひととの比較でものすごく良く見えた。
その、他の引用されるひとのひとりである野間宏は、彼自身の文章論も載っているが読めない。
もう野間宏のような文章は私は読めないし、消えていくのではないかと思った。それくらい読む気がしない。最後の金井美恵子のものも私には読む気がしなかった。
もう平易なものしか読めない。
書店で宇野千代の「文章を書くコツ」を読んで興味を惹かれて読んでみることにした。
谷崎潤一郎の『文章読本』はなんどもこの本に出てくるので全部を読んでみなければならないなと思った。
萩原朔太郎と安岡章太郎と澁澤龍彦のものが良いと思った。中村真一郎のもののなかで引用される大岡昇平が良いと思った。大岡昇平が良いというより、他の引用されるひととの比較でものすごく良く見えた。
その、他の引用されるひとのひとりである野間宏は、彼自身の文章論も載っているが読めない。
もう野間宏のような文章は私は読めないし、消えていくのではないかと思った。それくらい読む気がしない。最後の金井美恵子のものも私には読む気がしなかった。
もう平易なものしか読めない。
斎藤幸平『人新世の「資本論」』(集英社新書)を読んだ。
『資本論』の第一巻を書いた後の晩年のマルクスが環境問題を研究していて脱成長について考えていたとか、トマ・ピケティも最近は考えを変えているとか、全体的に私にはほんとうなのかどうか分らないことが書かれていて、ちょっとどうなのだろうと思いながら読んでしまった。知らないひとがいきなり登場してきて、私には検証できない話を聞かされても納得できない。
たぶん賢い人なのだろうから、正しいことを言えば人は納得すると思うのかもしれないが、そんなことはない。ちょっと人情が足りない気がした。
マルクスの『資本論』の話はほとんど出てこない。
そもそも晩年のマルクスがそう思っていたとしても、それが正しいということにはならないんじゃないかという気がした。
自分と同じ意見の人を見つけて、このひとも同じことを言っていると言っているだけなのだなと思った。
地球環境についてはこの人の言っていることが正しいのかもしれない。
資本主義をやめて脱成長コミュニズムにすべきなのかもしれない。
しかし明日から私に何かできることがあるのかと言えば何もない。
今度の車検で車に乗るのをやめようかなくらいは思った。
『資本論』の第一巻を書いた後の晩年のマルクスが環境問題を研究していて脱成長について考えていたとか、トマ・ピケティも最近は考えを変えているとか、全体的に私にはほんとうなのかどうか分らないことが書かれていて、ちょっとどうなのだろうと思いながら読んでしまった。知らないひとがいきなり登場してきて、私には検証できない話を聞かされても納得できない。
たぶん賢い人なのだろうから、正しいことを言えば人は納得すると思うのかもしれないが、そんなことはない。ちょっと人情が足りない気がした。
マルクスの『資本論』の話はほとんど出てこない。
そもそも晩年のマルクスがそう思っていたとしても、それが正しいということにはならないんじゃないかという気がした。
自分と同じ意見の人を見つけて、このひとも同じことを言っていると言っているだけなのだなと思った。
地球環境についてはこの人の言っていることが正しいのかもしれない。
資本主義をやめて脱成長コミュニズムにすべきなのかもしれない。
しかし明日から私に何かできることがあるのかと言えば何もない。
今度の車検で車に乗るのをやめようかなくらいは思った。
テレビドラマ「共演NG」を録画していたのでまとめて見た。
とってもおもしろかった。
中井貴一はいい仕事をしたなと思った。
不倫をした芸能人を断罪する風潮に対しての揶揄など、なかなかテレビでは言えないようなこともきちんと描けていたと思う。
とってもおもしろかった。
中井貴一はいい仕事をしたなと思った。
不倫をした芸能人を断罪する風潮に対しての揶揄など、なかなかテレビでは言えないようなこともきちんと描けていたと思う。
NHKの番組「100分de名著」のテキスト、斎藤幸平の『カール・マルクス 資本論』(NHK出版)を読んだ。
白井聡の『武器としての「資本論」』と続けて読んだのでよく理解できたように思う。
資本主義の動きを誰も止められなくなって、人々が不幸になっていく姿がよく分かった。ただ、白井聡にしても斎藤幸平にしても大学でずっと勉強している人で一般企業で働いた経験がないのであろうから、あまりにも企業に対する批判が厳しいように思った。過労死の問題などは取り沙汰されるが、すべての企業がそのようであるわけではないし、グラデーションがある。
資本主義のなかで仕事が細分化されてやる気がなくなるという話はその通りだろうなと思った。
自分が何をしているのかわからないまま単純作業をやっているとやる気がなくなる。(それが逆に楽しくなることもないことはないが。)
僕がたまに台所に立って料理をするのも、週末に掃除をして掃除機の掃除をするのも、すべての工程を「ひとりでやっている」感じがして楽しいからかもしれない。最初っから最後までたったひとりでやりたい欲求が誰にでもあるのだろう。
「100分de名著」は高樹のぶ子の『伊勢物語』の放送のときに思ったが、自著の宣伝が甚だしい時がある。
今回も『資本論』の翻訳だけ読んでも誰も読み取れないようなことを斎藤幸平が語っているのではないかと思った。『人新世の「資本論」』の宣伝になっている。
白井聡の『武器としての「資本論」』と続けて読んだのでよく理解できたように思う。
資本主義の動きを誰も止められなくなって、人々が不幸になっていく姿がよく分かった。ただ、白井聡にしても斎藤幸平にしても大学でずっと勉強している人で一般企業で働いた経験がないのであろうから、あまりにも企業に対する批判が厳しいように思った。過労死の問題などは取り沙汰されるが、すべての企業がそのようであるわけではないし、グラデーションがある。
資本主義のなかで仕事が細分化されてやる気がなくなるという話はその通りだろうなと思った。
自分が何をしているのかわからないまま単純作業をやっているとやる気がなくなる。(それが逆に楽しくなることもないことはないが。)
僕がたまに台所に立って料理をするのも、週末に掃除をして掃除機の掃除をするのも、すべての工程を「ひとりでやっている」感じがして楽しいからかもしれない。最初っから最後までたったひとりでやりたい欲求が誰にでもあるのだろう。
「100分de名著」は高樹のぶ子の『伊勢物語』の放送のときに思ったが、自著の宣伝が甚だしい時がある。
今回も『資本論』の翻訳だけ読んでも誰も読み取れないようなことを斎藤幸平が語っているのではないかと思った。『人新世の「資本論」』の宣伝になっている。