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ダブログ宣言!

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『ちくま評伝シリーズ〈ポルトレ〉 黒澤明 日本映画の巨人』

2017年05月29日 22時31分42秒 | 文学
『ちくま評伝シリーズ〈ポルトレ〉 黒澤明 日本映画の巨人』を図書館で借りて読む。
このシリーズはおそらく高校生か中学生向けなのだろうが、読みやすくて良い。しかしあとは岡本太郎くらいしか他に読みたい人物がいないのが残念。
黒澤明が自殺未遂をしていたことを聞いたことがあるような気がするが忘れていた。黒澤明の自殺未遂は、なぜかヘミングウェイの自殺を思い出す。そしてなぜか東條英機の自殺未遂も思い出す。
読んでいると黒澤明の映画を見たくなった。
見たくなった順でいけば、『隠し砦の三悪人』『デルス・ウザーラ』『生きる』『わが青春に悔なし』。

以前サーシャ・ガヴァシ監督の『ヒッチコック』という映画を見たが、黒澤明の伝記映画も作られないだろうか。
読んでいて”シャシン”になりそうな人生だと思いました。
誰でもいいが特殊メイクで黒澤明のそっくりさん(役所広司あたり)と三船敏郎のそっくりさん(妻夫木聡あたり)を用意して、二人の出会いと別れを中心に、CGを使って当時を再現したような映画を作ってくれたら(山崎貴監督あたり)、僕は見ます。
後期黒澤の没落も描く、黒澤明礼賛映画ではないもの。
来年は黒澤明の没後20年のようなので、ちょうどいいのではないでしょうか。駄目ならNHKのドラマでもいいけど。
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『ちくま評伝シリーズ〈ポルトレ〉 武満徹 現代音楽で世界をリードした作曲家』

2017年05月28日 23時26分12秒 | 文学
『ちくま評伝シリーズ〈ポルトレ〉 武満徹 現代音楽で世界をリードした作曲家』を図書館で借りて読む。
音楽について、わかりやすい本がないかと探しているときに、こんな本もあったのでおもしろいかと思い読んでみた。
武満徹は大江健三郎のお友だちであったということくらいしか知らず、その音楽も聴いたことはないけれど、まあ僕が熱心に聴くようにはならないだろうな。難しそう。
自作の紙で作ったピアノで練習していたらしく、小泉今日子といっしょだなと思った(ドラマ『少女に何が起ったか』)。
映画も好きだったようで、映画音楽も多く作曲しているらしいが、見てみようと思う映画がなかった。『どですかでん』って黒澤明の中でもっとも見る気のしない映画だ。

しかし武満徹はタイトルをつけるのが上手い。『ノヴェンバー・ステップス』も『二つのレント』も『秋庭歌』も『エア』も『森のなかで』も独創的でキャッチーで、(実際に聴きはしないが)どんな曲なのか聴いてみたくなる。想像ではものすごく素晴らしい曲。
坂本龍一が武満徹を批判するビラを配っていた話がおもしろかった。
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木下惠介監督『二十四の瞳』

2017年05月28日 00時23分30秒 | 映画
録画していた木下惠介監督の『二十四の瞳』を見た。
新任教師が小豆島でちょっと失敗したりもして生徒と仲良くなってそれでおしまい、みたいな映画かと勘違いしていた。
とても長い映画で戦前・戦中・戦後を振り返ることが出来る。
映画が作られたのも昭和29年で、まだみんな太平洋戦争の記憶があるころで、同じ原作でいま作ってもちょっとこうはいかないだろうなと思う。
貧乏がきちんと描かれていて、そしてそういった不幸はどうにかなるものではなく、ほかにも不幸な人はいるから、前を向いて、でもなく、少しうつむいてでも生きていくしかないというような思想が描かれていた。
不幸の原因を個人の努力の不足のようなところにもっていくと、いつまでたってもそこから逃れられないのだが、あなたの不幸はあなたのせいではないが、あなたにもわたしにもどうすることも出来ない、と言われたほうが案外救いがあるのかもしれない。

敗戦のときに大石先生(高峰秀子)の息子が「どうして戦争に負けたのにお母さんは泣かないんだ」と母親を責める場面があり、このへんもいまではあまり想像できない感じである。しかしこういうことが本当にあっただろうなと思った。
高峰秀子の夫役の役者が、見たことのないひとで、でも太宰治とかそこらへんのひとを思わせる感じで、気になった。
と思って調べてみたら、あれって天本英世だったの? 驚いた。
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加藤典洋『敗者の想像力』

2017年05月26日 00時36分06秒 | 文学
加藤典洋『敗者の想像力』(集英社新書)を読んだ。
前半とてもおもしろく、「敗者の想像力」という思いつきを手にしてわくわくしている感じが僕にも伝わってくる。確かに「敗者の想像力」が必要、と思う。占領期のころに、「自分の経験しない過去に遡ること」をすべきだと感じる。
『シン・ゴジラ』論もとてもおもしろい。

しかしここまで。
後半は、すこしだれる。いつもの話でなんとか話を繋ぐがあまり力がない感じ。
吉本隆明や鶴見俊輔などの御馴染みのメンバー。でもここには村上春樹がいない。
最後の大江健三郎の『水死』論は、ここまであの小説を読み込んでくれたひとはいるだろうか、というくらいの力の入れよう。裁判記録を読んで小説を読み解くなどということが果たしてあるのだろうか。普通そこまでできない。しかしそこまで読み込まなければ『水死』は読めないのだろう。僕には全くおもしろくなかった。
加藤典洋の論に従えば、このころ大江健三郎がどれほど孤独だったのかがわかる。その”同情”の気持ちをもとに少し読んでみようかという思いになりはしたのだが、過去の感想(ここここ)を読んでみて、やはり僕には退屈だろうなと思い諦める。

前半だけ、いつかあらためて読みたい。
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成瀬巳喜男監督『山の音』

2017年05月22日 23時45分45秒 | 映画
録画していた成瀬巳喜男監督『山の音』を見た。
成瀬巳喜男の映画を見るのは初めてのように思う。
もっと退屈なのかと思ったが、ふつうに見られた。もう何でもふつうに見られるのかもしれない。年齢的なものかな。
原節子がうじうじしているのでいらいらしてしまう。
上原謙がひどい夫だった。
舅の山村聰はもっと嫁の原節子をいやらしい目で見るのかと思ったが、そんなことはなく、常識的な舅に見えた。
嫁が頭が痛いと言っているのに、お茶を出させて長々新聞を読むのを聞かせたり、ミシンをやらせたり、とてもよく肥えた赤ん坊の世話をさせたり、扱いがひどい。昔の日本は嫁に対する扱いがひどい。原節子が出て行く気持ちがわかる。夫の浮気と堕胎のせいだけではない。
最後は、ここでこんな感じで終わるのか? 終わっていいのか? と思うなんともしっくりしない感じで終わった。
川端康成の原作はこんな話だったかどうか確認の必要があろう。
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千葉伸夫『原節子 伝説の女優』

2017年05月22日 20時43分41秒 | 文学
千葉伸夫『原節子 伝説の女優』(平凡社ライブラリー)を読んだ。
この前女優の岡田茉莉子のインタビューを読んで、こういうものもおもしろいのだなと思い、女優の側から映画を考える本を読んでみることにした。
原節子は戦前から女優をしていて、戦前・戦中・戦後を振り返る本にもなっていておもしろかった。
原節子の義兄が国粋主義者で、戦争中は原節子もその影響を受けていたというような話は聞いたことがない話で興味深かった。ちょっとイメージが違う。高村光太郎が戦争中に戦意高揚の詩を書いたとか、そもそもきちんと抵抗できた文学者はほとんどいないというような話は聞くが、映画関係者の戦争責任というのはあまり聞いたことはないので新鮮だった。
『女因と共に』というのが変な映画っぽくて興味を惹かれた。刑務所員の原節子というのがまったくイメージできない。
その他にも天照大神の原節子もイメージしにくい。
原節子は小津安二郎の映画にだけ出演し、美しいままできっぱりと引退したような印象だったがそんなことはなかった。
読んでいて、見ておきたいと思った映画は『めし』(成瀬巳喜男監督)と『小早川家の秋』(小津安二郎監督)だった。黒澤明の『白痴』は長いということでちょっと見る気にならない。

もしも原節子が引退せずにいたら伊丹十三監督の初期のころの作品の何かに(『タンポポ』あたり)出演していたかもしれないなと思った。そのような出演の話は伊丹十三側からなかったのだろうか。
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宮沢賢治『新編 風の又三郎』

2017年05月21日 01時11分58秒 | 文学
宮沢賢治『新編 風の又三郎』(新潮文庫)読了。

「やまなし」
クラムボンはわらったよ、とか、死んだよ、とか、殺されたよ、とか印象的だが、何かがつかめてひどく心を動かされるというようなものでもない。

「貝の火」
これは初めて読んだけど、すごい。悪いことをしたら貝の火が消えるのかと思って、兎のお父さんもそう断言するが、二度ほどそんなことなく過ぎる。実は、鳥にもらったものだから鳥に対して何か不誠実なことをしない限りは貝の火は消えないということらしい。
狐の、「ホモイ。気をつけろ。その箱に手でもかけて見ろ。食い殺すぞ。泥棒め。」の台詞が怖い。太宰治が書きそうな台詞。
貝の火は割れて、ホモイは失明する。村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』だったと思うけれど、主人公に何かがあって頬に痣かなにかが出来て、物語が終わってもその痣は消えない。そんな感じを思い出す。

「蜘蛛となめくじと狸」
食べられてしまう側の台詞がけっこう怖くておもしろい。なんだかんだ言われながら食べられてしまう。
なめくじに殺されるかたつむりの「もう死にます。さよなら。」が哀しい。
三つの話が、前の話を承けるようにして始まり、タランティーノの映画のような感じ。

「ツェねずみ」
自分の被害を大袈裟に言う人。

「クンねずみ」(ンは小さいン)
人に嫉妬すると咳をする人。

「雁の童子」
これまで読んだものとちょっと毛色が違って新鮮。
人間が語り手というのがまず新鮮。そのひとが旅先で人に出会い、話を聞く。その話もまた、切なくて素晴らしい。

「フランドン農学校の豚」
豚をする前に、豚本人に契約書を書いてもらわなければならないという法律があって、契約するのを豚が怖がって嫌がるというわりと怖い話だった。契約書にサインしてしまったら無理矢理太らされて殺される。
殺される側を描くものが宮沢賢治には多い。

「グスコーブドリの伝記」
最初に、飢饉でお父さんがいなくなり、お母さんもあとを追っかけていなくなり、妹が怪しい男に連れ去られるあたりがとてもおもしろかった。このような話であることを忘れていた。
科学を研究すればすべて上手くいく、というような考えはいまはあまりしなくなったが、僕が子供のころまでは科学信奉のようなものがあったなと思った。そしてやはり鉄腕アトムと同じように、皆の犠牲になってブドリは死ぬ。
妹とは再会できてよかった。

「風の又三郎」
この本に収録されている作品ではもっとも有名で、本全体のタイトルにもなっているが、あまりよくわからなかった。
転校生が来て、また去っていく。
少年時代の川で遊んだり山に登ったりの思い出を描いたものなのだろうか。
方言がよくわからないのもこの作品のよくわからない原因の一つだろう。一つ全く理解できない台詞があった。注もついていなかった。
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村上春樹メッタ斬り!

2017年05月19日 01時06分50秒 | 文学
書店で大森望と豊崎由美の『村上春樹「騎士団長殺し」メッタ斬り!』(河出書房新社)を立ち読みして、この本を読むだけのために村上春樹の『騎士団長殺し』を読みたくなった。
村上春樹は好きな作家なので『騎士団長殺し』もいつか読もうとは思っているが、いまのところものすごく読みたい気分になっていない。ものすごくおもしろいという評判も(なぜか)聞かない。たぶんどこかではおもしろいと言っている人もいるのだろうけれど、僕の耳にはまだ入って来ない。耳をふさいで「聴こえない」と言っているつもりはないが、ほんとうにおもしろければ耳をふさいでいても聴こえてくるだろうと思う。
どこの書店に行っても入り口付近に、売れ残った食パンのように大量に積まれている本というのは買う気にならないということもあるだろう。
何ヶ月も前からメールで「出るよ出るよ」と新潮社から言われるのもちょっと嫌だったかもしれない。
ちょっと潮目が変わったかもしれない。一度『ねじまき鳥クロニクル』の発売の頃にちょっと村上春樹が嫌になった時期があったが、またちょっとそうかもしれない。(もう思春期ではないので極端に嫌いにはならないが、「いまはちょっと」という気分。)
読むのは文庫でいいかなと思っているのだが、文庫になった頃にこの『村上春樹「騎士団長殺し」メッタ斬り!』はまだ手に入るのだろうか。いっしょに文庫化するのだろうか。

『騎士団長殺し』以外に読みたいものがあるのも原因ではある。
まず、しばらく三浦綾子。(『銃口』『氷点』『道ありき』『細川ガラシャ夫人』)
それから沢木耕太郎をもう少し。
宮沢賢治もまだまだ。
あとはこの間本棚の整理をしていて、捨てるに捨てられなかった半藤一利の『昭和史』を再読して歴史を振り返りたい。そのあと加藤陽子の本を読んで、ユン・チアンの『ワイルド・スワン』と『真説 毛沢東』を読みたい。最後は井伏鱒二の『黒い雨』。武田百合子のように毎年夏にこの本を読むことを習慣としたい。
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三浦綾子『母』

2017年05月18日 20時53分18秒 | 文学
母の日だったからというわけでもないのだがたまたま、三浦綾子の『母』(角川文庫)を読んだ。
この間沢木耕太郎の『無名』を読んだときには小林多喜二が死んだときの警察関係者が登場したし、他の本で宮沢賢治の死んだのは小林多喜二と同じ昭和八年であるということが書かれているのを読んだ。なぜか最近小林多喜二の名前をよく目にする。
何年か前に(ひょっとすると十年くらい経つのかも)小林多喜二の『蟹工船』がブームになったときがあったが、そのときも「プロレタリア文学なんぞ」と思って読まなかった。いまでも読む気はしないが、『母』のなかで小林多喜二が日本一の作家だと騒がれたというような話があり、そんなに流行作家だった時代があるのかなと思った。ほんとうだろうか。
また、小林多喜二がものすごくキリストっぽいがこれもほんとうだろうか。こんなに素敵な人だったのかなあ。
この前読んだ『塩狩峠』の主人公永野信夫もキリストっぽかったが、キリスト教徒の人はどうしても「わたしのキリスト」のようなものを描いてしまう。題材もそういうものを選ぶし描き方もそうなるのだろう。

でも最後のあたりを除けば、今回はそんなにキリスト教の話は出て来なかった。
ついでに共産党の話も治安維持法の話も出て来なかった。もっと暗い時代の話を延々聞かされるのかと覚悟と期待をしていたのだが、あっさり小林多喜二は殺されてしまった。

三浦綾子は読みやすく、ちょっとファンになりそうだ。
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佐藤優『僕ならこう読む』

2017年05月16日 22時15分47秒 | 文学
佐藤優『僕ならこう読む』(青春新書インテリジェンス)を図書館で借りて読んだ。
三浦綾子の『塩狩峠』について書かれているので、期待したがあまり本の内容に踏み込んで語ってはいなかった。まあ何か言いたいことがあって、それに都合のいい本を昔読んだ本から引き合いに出して原稿を書いている(ちょっと悪意のある言い方になってしまった)という感じだった。
佐藤優が薦める本で気になったのは、宮下奈都の『羊と鋼の森』だった。確かにこの本は書店でよく見る気がするが一度も手にとったことはない。今度立ち読みしてみよう。まず二段で組まれているかどうかが気になる。二段組だと読む気がしない。
明るい小説のようで興味を惹かれた。調律師というのも、いい。
いつのころからか調律師が、詩的な、文学的な職業に登録された。
同じくピアノ関係の小説である恩田陸の『蜜蜂と遠雷』は書店で手に取ったことはあって、これは二段組でしかも本が重いので文庫になってから読もうと思っている。
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