レンタネコ(2011年 映画)

2019-08-20 00:00:25 | 映画・演劇・Video
基本的に猫好き用の映画である。世間では猫派、犬派とよくわけるが、こどもの頃にどちらかの(あるいは両方の)動物に痛い思いをさせられた経験がある人は、どうしても警戒してしまい、動物にその警戒心を感づかれてしまい、近寄ると、ウ~~~と不機嫌な威嚇を受けるということになるのではないだろうか。

rentaneko


さて、本映画、脚本も荻上直子監督の手になる。『かもめ食堂』ではフィンランドでレストランを経営する日本人のなんとなく気怠い感性を撮ったのだが、『レンタネコ』でもゆるい空気が漂っている。

登場人物は数人いるのだが、基本的には猫のレンタルをしているサヨコ(演:市川実日子)という女性の独り舞台のようなもの。おそらく35歳位ではないだろうか。探している結婚相手はプラスマイナス15歳。2年前に祖母が亡くなってから、旧家に寄ってくる心優しい猫たちをリヤカーに載せて、河原を歩きながら猫を借りてくれる心寂しい人間を探す。いわば、出張猫カフェのようなもの。

映画の中で、猫のレンタルの要望を受けるのが4件。1件目は、おばあちゃま。一人暮らしが寂しいというので、自分が亡くなるまでの期間、猫を貸してほしいということになる。ところが、しばらくして、おばあちゃんの息子から、猫を返したいと言われる。家には息子だけがいる。おばあちゃんが亡くなったという直接的事実は映画に登場しないが、8割方おばあちゃんの他界と同時に期間契約が終了したと想像できるのだが、2割位は息子が親を殺したのではないだろうかと疑うこともできる。

2件目は、単身赴任6年の中年男。やっと元の家族(妻と娘)のもとに帰れるというのに喜んでいない。もはや、実家には彼の居場所がないようだ。寂しいので実家に帰宅するまでの数日間、猫を貸したら、このままずっと飼いたいと言い出した。実家がどこにあるのか明かされないが、そういう人でなしの妻子が多いのは、京都とか名古屋ではないだろうか。

3件目はレンタカー屋の一人店長の女性。毎日、つまらない仕事でうんざりしていた。一緒にドーナツを食べて猫を貸し、車を借りる。数日後、電話があり、ハワイに行くので猫を一端返すと言われる。猫が店長を元気にしたわけだ。

4件目は中学の同級生の男。突如現れ、猫を借りたいと言い出すが、中学時代からの嘘つきには貸さないことになる。そして、彼がいなくなってから警察がきて、彼が追われていることを知る。中学の時の回想の中で、彼女が当時から祖母と暮らしていたことが明らかにされる。映画の本題ではないが、家族が祖母だけだったことの理由は明かされないままとなる。そういえば、旧家の庭には、いくつかの小さな墓標が立っていて、中学同級生の男に、その墓標は死んだ猫のもので〇〇〇、△△△、×××と次々に猫の名前を語っていくのだが、その中に猫というよりも人間用のような名前が含まれていたことに気付いた。父母が生きていることになっていて年金を・・・?

よくある話だが。