アド街に港北ニュータウン登場(2)

2006-09-15 00:00:13 | マーケティング
de03f361.jpg今回は、15位から1位までだが、総じて商業施設がほとんどである。文化施設が少ないのが弱点であるが、テレビ東京の選に漏れただけである。いくつかの有名校がある。

まず、ドイツ学園がある。人口芝ながらサッカー場が完備しているのが、さすがドイツである。毎年ドイツ祭りを開いている。ドイツ菓子が並ぶ。その隣には洗足学園の器楽科がある。完全防音の建物の中で、有名教授たちと女子学生が何をしているのか?それは秘密だ。武蔵工業大学の環境情報学部もある。このムサコウだが川崎の王禅寺(新百合)というところの研究所で原子炉を稼動させていた。平成元年に炉心から漏水し、長く停止したあと、いずれ廃炉になるそうだが、ニュータウン内に原子炉が移転されるのは嫌だなあ、と思っていたのだが、今のところ敷地内に大きな施設はない。が、油断はできない。

高校女子駅伝で有名な県立荏田高校もある。偏差値も高い。Puffyの亜美ちゃんの母校。一方、県立新栄高校は対称的だ。サレジオ学園は鷺沼から港北ニュータウンに引っ越してからは、ちょっと停滞気味。宿題が多そうで、朝の電車では寝過ごす生徒が多数いる。寝過ごすとスクールバスに乗り遅れて、30分歩かなければならないし、たぶん、それ以上に困ったことになると思う。


15位 埋蔵文化財センター 都筑(つづき)区が歴史上登場するのは、まず、縄文時代。というか、横浜市街地なんか何もない海で、ここ(海抜20メートル)が海岸だった。当時、日本のあちこちには縄文人の集落があった。前面が海岸で後背地が森林という場所がベスト。そこに弥生人が大陸(あるいは半島)からやってきて、階級闘争がはじまったわけだ。そして次のハイライトが鎌倉時代の終わりから室町始めまで。豪族の荏田氏とか中原氏とかが居城を張り、中原街道や大山街道から得る利益を懐に入れていた。つまり、普通の日本史では花形時代にあたる奈良・平安・戦国時代・江戸時代というところがダメなのである。今後、地球温暖化で海面が20メートル上昇し、横浜市内が水没するといいことがあるかもしれない。

14位 フットサルクラブ横浜 横浜はフットサルが盛んであるが、その前に「こどもサッカークラブの過熱」がランク外になったのが意外。どこも、優秀な子を確保するために、ブラジル人やドイツ人コーチを招聘している。それと、フットサルというのも、コートの広さによってまったく違うスポーツになるから注意が必要だ。

13位 アン・ジャンヴィエ 本格フレンチレストラン。オーナーシェフの野口好夫氏は、「TVチャンピオン」の「フランス料理シェフ選手権」で優勝した腕前。「リーズナブル価格の本格フレンチ」というのが売りだが、自由競争化では常に価格は「リーズナブル」になるものだ。実際は、区内にはフランス料理店は数少なく、イタリア料理店が多い。さらに無国籍料理店はもっと多い。焼肉店も多い。「大将軍」とか「平城苑」というのもある。

12位 ファイティング原田ボクシングジム 以前、紹介した。民主党藤末参議院議員も会員。「廣田新聞店」という巨大新聞販売店の配達少年がここでプロを目指すというのが最近の流行。

ここは女性は少ないようだが、女性専用のボクシングジムもある。ストレス発散のため、サンドバッグを殴ったり蹴ったりするらしいが、その行為によってさらに、凶暴な性格になることも稀にあるだろう。

11位 KEY SOUTH センター南は東急ショッピングモールの街だが、そのモールの隣に付帯的に「KEY SOUTH」というショッピングモールがある。大店舗はトイザらスとスポーツオーソリティで、小店舗がサーティワンアイスクリームとスターバックス。特に、サーティワンはあまり広くないが、売上は全国ナンバーワンだそうだ。よく、路上にアイスクリームが落ちている。ダブルを頼むと危ない。そして太る。

10位 ショッピングタウンあいたい センター北の阪急系ショッピングモール(モザイクモール)の隣にあるモール。テレビでは「肉のあまいけ」と「共和水産」という、妙な安売り店が紹介されていたが、大きなボウリング場がある。さらにその横にビリヤード場があり、そこはすいている。ボウリング待ちの間に玉を撞くのだが、ビリヤードは上手でも尊敬されないゲームだ。島村楽器には、楽譜が充実している。シニア・スタート・ピアニストご愛用の店だ。

9位 緑道 意外な天然物がランクイン。要するに自然との共存ということで、自然林が残っている。さらに人工のせせらぎと遊歩道が張り巡らされている。しかし、昨年、大雨の遊歩道で殺人事件が発生してから(未解決)、一気に散策者は激減。一方、大規模なスポーツジムが流行っている。

8位 くじら軒 なぜか全国的に有名になったラーメン店。有名になると、なぜかダシがあっさりしてくるという法則通りになっている。鰹系のあっさり味のラーメンが好きな人が全国から集まり、店の前には長蛇の違法駐車の車列ができる。もっとも横浜は家系(いえけい)ラーメンが主流で、こってりスープの「横濱家」は区内に多くの出店を持つ。アメリカから豚の背骨を輸入して煮込んでいるそうだ。近隣の新横浜ラーメン博物館に対抗して、10位あいたいの中に「ラーメン甲子園」がある。トーナメント方式を採用していて、売り上げの悪い店は追い出される。

7位 サカタのタネ 横浜反町に古い建物があったのだが、港北ニュータウン内に大規模本社建設。実は、種苗産業というのは重要な先進産業で、たとえばハイブリッド穀物はそれ自体が種子をもたないので、全てメーカーが作った種を買わなければならない。サカタのタネは世界10指に入る会社だが、残り9指はほとんど米系だったと思う。

実は、この会社の創設者の汗と涙の奮闘人生については、現在調査中なのだが、どうも七転八倒型のようだ。いずれ・・

それとランク外になったが、「ヨネヤマプランテーション」という成長中の園芸店がある。高級ペットフードも売っている。実は、この港北ニュータウンは北地区と南地区と二分割されていて、中間に農地がある。どうも開発当初、建設省と農林省の利権争いの結果、開発計画からもれてしまったそうだ。実際は農地といっても、農業ではなく大規模造園業者が利用している。外から見えないようになっていて、何をしているのかはよくわからない。

6位 AOKI 紳士服のアオキ・インターナショナルがアオキ・ホールディングスに組織変更。本店は広すぎて店長が5人いるとのことだが、そんなに広いとは思えない。一階には自動演奏ピアノが置いてあるが、演奏はされない。多角化に走り、このニュータウン内には、ベビー服の店舗を出店し、失敗。紳士服店出店し失敗(現在カラオケ店に模様替え)。結婚式場出店。低価格店舗オリヒカ出店。なかなか結果が出ない。表参道の系列結婚式場アニヴェルセル内に展示していたシャガールの名画、「アニヴェルセル」はこの本店の社長室に飾られている可能性もあるとは思うが、たぶん違うだろう。

5位 ハウスクエア 住宅展示場と住宅関連企業のショールームの入ったビル。家を建てる前に、ここに行けば、ほとんどの大手・中堅のハウスメーカーのモデルハウスがあり、週末はあちこちでフェアが行われている。注目は、入口に近いところにある某社の地下室のある住宅。大音響可能なAVルームがある。ただし、どこのモデルルームでも分厚いカタログと丁寧な説明が受けられるが、必ず自宅建設用地についての詳細と資金繰りについてのアンケート用紙が待っている。

そして週末を楽しくモデルハウスで過ごすと、翌週末はノルマに追われたセールスマンの猛攻撃を自宅で受けることになる。

4位 ドライブショップ ちょっと漠然としている。電器店が多い。ジョーシン、コジマ、ヤマダ。セキド。そして横浜が本社のPCdepotがある。どこも駐車場は満車だ。そして、本当は優勝劣敗がついているのだが内緒。ホームセンターではコーナンがあって、コーナンオリジナル商品の「カニトリーナ」を売っている。わかりやすくいうと「蟹取りハサミ」。早く買いに行かないと地球上から姿を消すだろう。

3位 IKEA 9月15日開業。つまり、きょう。小物に期待。洗濯用品に期待しているのだが、そんなものはないのだろうか。ニュータウン内の何軒かのお宅を伺ったことはあるが、どこも家も高級輸入家具が多い。IKEAのイメージと大きくズレているのだが、どういうことになるのだろうか。店の前の港北インターから第三京浜に乗ると、出口は世田谷区、大田区、目黒区方面につながるが、そこも雰囲気が違うような・・・

若い奥様方がIKEAのパートで働く、というのが、とりあえず一つのライフスタイルだそうだが・・

2位 横浜国際プール これが2位とは意外。国際大会は多数開催されている。スポーツセンターになっていて、こちらもフットサルコートは満員状態。最近、引退後の団塊世代が公営のスポーツセンターで汗を流す姿が増えてきたそうだ。汗の中の脂肪酸は空気に触れて酸化すると加齢臭を発散するそうだ。ジムも公営と民間と二分化されそうな気配である。

1位 モザイクモール港北&港北東急百貨店S.C. 1位は無難にセンター北駅にある「モザイクモール港北」(阪急系)とセンター南駅にある「港北東急百貨店S.C.」と二つ並べて、どちらが上か下かはっきりわからないようにしている。どっちもどっちかと思うが、東急モールの方は最初あった百貨店領域がほとんど消滅。専門店ばかりである。阪急の方も同じ。どちらも百貨店部分にはまったく客がいない。都心はデパート回帰の動きがあるが、港北ニュータウン内は日本有数の専門店同士が、激しく過剰サービスと低価格路線と高級化というありえないトリレンマの戦いを続けている。


結局、住みやすい街、ママに優しい街、子育てに最適な街、というキャッチコピーがまかり通っているが、ランクを眺めればわかるようにすべて、激しいサバイバル商業主義の上に成り立った街、ということ。多くの出店者が大損害を出して撤退していくのも事実。

ランクインしなかったもののニュータウン内の人気スポットの一つであるラーメン店モール「ラーメン甲子園」では、売上不良店は自動的に追い出されることになっているそうだ。そして、来年には新たな地下鉄新線が開通し、いくつかの新駅が誕生し、また大小さまざまな商業施設が誕生し、そして廃業していく。ローンが払えなくなったサラリーマンもまた、石もてこの町から追い出だされるのである。

もう、***マンとは呼ばせない

2006-09-14 12:55:30 | 市民A
「酒を飲んでいて、覚えていない」とは、まったく知的レベルを感じない言い訳であるが、どうも品川あたりは植草一秀先生のシマなのだろうか。女子高生のお尻を触れば、それは捕まるのが普通だ。乗客二人に取り押さえられた画像が出回るのではないかと思っているのだが、まだ現れない。

また、港区白金台に自宅のある教授は、なぜ、酒に酔った上、夜10時に京浜急行で品川から蒲田方面に向かったのか?まったく逆方向だし、京浜急行で寝過ごすと横浜や横須賀まで行ってしまう。そのあたりも是非、解明してもらいたいものだ。

そして、教授は過去に民間会社を退社するときにセクハラ疑惑があったとの噂もあるようだ。もちろん証拠がないので、あくまでも「噂」である。

 セクハラの噂 → 手鏡 → 痴漢行為 → 

要するに、日本経済と同様に「緩やかな」経済成長を続けている。ロストウという経済学者は、発展途上国の経済成長について、「緩やかな経済成長が続くと、一気にグィッとテイクオフする。その離陸点で失敗すると飛び立てない。」というテイクオフ理論を提唱したのだが、この先生の犯罪傾向を見ると、次回あたりは凶悪犯罪にテイクオフするのではないかと心配してしまう。

ただし、教授にとっての朗報もある。

もう、「ミラーマン」の称号とは、サヨウナラだ。→タッチマン?

アド街に港北ニュータウン登場(1)

2006-09-14 00:00:42 | マーケティング
76a04134.jpg9月2日 テレビ東京の数少ない人気番組「出没!アド街ック天国」で、弊宅のある横浜都筑(つづき)区港北ニュータウンが登場。

その日以来、さらに週末はクルマの混雑が続く。地元ではないドライバーが道に迷ってヨロヨロ走ったり、右折禁止交差点でUターンしたり、近道と勘違いし袋小路に迷い込んだりとキケン!キケン!キケン!といった状態だ。ペットフードが少し安いなどという理由で、高いガソリンを浪費しないほうがいいのではないかな。

それはそうとして、当日発表された、港北ニュータウンベスト30を検証してみる。いくつかは過去の弊ブログにも登場している。そして
、ベスト30に漏れているものもあると思う。テレビと同じように30位から・・

30位 観覧車  地上75メートル 一周12分。阪急デパート(モザイクモール)屋上に設置。乗車率はゼロに近い。むしろ風力発電に改造したほうがいいと思える。モーターのプラスとマイナスを取り替えると発電できるはず(観覧車を風車に交換する必要がある)。

29位 OKストア 毎日が特売日。ここではデフレ健在。OKストアは全国では他の業態のスーパーも展開しているが、おそらく過剰に仕入れたものとか売れ残ったものをここに持ってきて叩き売りしているのではないだろうか。レジ袋の有料化は開業時から。特に「本物のビール」が安い(こんなこと書くと、また道路が混んでしまう)。

28位 FUN*COME 1996年のアトランタ五輪陸上5000メートルで4位に入賞した志水見千子さんがオーナーのカフェ。ランニングの途中に立ち寄るジョギング中毒者がご愛用。行ったことがない。いつもランニングマシーンを使っているので、いくら走ってもどこにもいけない。

27位 アカチャンホンポ ベビー商戦一人勝ち。アオキのベビー服進出を撃沈した張本人。アカチャンホンポ港北店は全国トップクラスの売り上げで、店員一人あたりの売り上げではナンバーワンということは、単に店員が少ないということか・・

26位 街を守るゴリラ 都筑まもる君(2006年5月26日登場)実は悲しいたらい回し。まあ、えさ代はかからない。初めて見ると、びっくりして事故を起こしそうでもあるのだが・・

25位 ママに優しい街 どの店にもあるキッズルーム。平均年齢急降下、人口急増中と日本の全体像とは逆行中。原因は、マンション価格の下落とローン金利の低下につきる。ところが、昨年から地価は2%上昇している。今から子作りしてここに住もうと思うと、後手に回るような気がする。「直ちに買うべし!」かもしれない。ところで、キッズルームがあるということはママに優しいのではなく、パパが慣れぬ留守番をしなくていいということではないだろうか?

24位 ドレーパリー 生地屋さん。特にカーテンなどの製作を頼むと、一部屋25万円程度で請け負ってもらえるらしい。店の存在を知るのが遅くなって、買いそびれてしまった。残念だ・・

23位 カーナバル・バルーン バルーン(風船)アート専門店。バルーンアート世界チャンピオンが経営。さすが子供の町だ。こどもの誕生日に出前を頼むと、出張バルーンサービスとして、部屋を色とりどりのバルーンで飾ってもらえる。5万円。

22位 エクリュ 区役所通りのスイーツの店。と書くと住宅街の中のお店を連想するが、区役所通りというのはロードサイド型店舗ばかりで、小さな店はほんの少ししかない。

21位 パイロテック 爆破のプロ。これはニュータウンのかなり外側。撮影用の小型爆弾専門のプロ。銃で撃たれて血が噴出すところなどは、少量のダイナマイトを服に仕込むらしい。今まで何回事故があったか不明。「スペシャリスト」という映画でアメリカの筋肉マンと筋肉ウーマンが演じている。

20位 スーパーファクトリーアウトレット ポスターやリトグラフなどのアートのアウトレット店舗。10万円以下のダリやシャガールもあるようだが、本物かどうかは保証できない。とりあえず、本物を壁に掛けるまでのつなぎに買うといい。

19位 ペット大好き 「ペットエコ」だけが紹介されていたが、区内にペットショップ多数あり。獣医さんも多数あり。美容院も多数あり愛犬用のバースデーケーキ3000円というのもある(甘くないので、人間が食べるときには生クリームが必要)。知人の女性が、ペット墓地をビジネス化しようと画策していて、一枚出資に加わるか考慮中。体力出資で焼いたり掘ったり埋めたりする手伝いは考慮外。

18位 デッドシー・スパ・ビューティー 女性専用の死海ビューティーサロン。愛・地球博のヨルダン館で紹介されていたと思ったら、早くも本物が登場。要するに塩水に浮かんでみようということなのだろう。施術中にうっかり眠ると「沢庵」になる。

17位 工場見学 港北ニュータウンの少し外側にはいくつかの工場がある。おすすめは、「カメマン」こと亀屋万年堂と「崎陽軒」。崎陽軒の方は、ちょっと匂いがきついかもしれない。それに、結構、先端技術をもったハイテク会社もあるらしいが、国家機密だ。

16位 横浜サエド園 妙なものがランクに入っている。「浜なし」というブランドの梨を作っているが、予約で完売。

農園に行っても食べさせてもらえない。そのかわり、区内に残る農地には宅地課税を免れるための目的で、やたらに果樹や野菜が植えられている。もちろん、大部分の果樹は収穫されず、最終的には地面に落下し、来年の肥料になる。だからといって、うっかり道端のキャベツを散歩中の犬がかじったりすると、重罪となる可能性がある。れっきとした嬬恋キャベツの段ボール(箱代100円)に詰められて地元の朝市に並べられたりするからだ。

15位以上は、翌日に続く。  

「マジック革命」とは言い過ぎか

2006-09-13 00:00:31 | 美術館・博物館・工芸品
42fc85a1.jpg先週、東京国際フォーラムで開催していた「マジック革命セロ・The X-perience」に行く。大ホールでのステージは、何か「イリュージョン系」を予感させる。開始時刻が近づくと、ホール内に、白い煙が漂ってくる。ドライアイスの煙なのかあるいは、別のガスなのか・・「催眠ガスで眼を眩ませようというのだろう」と、女性連れで猜疑心の強そうな中年親父の声が遠くから聞こえてくる。

そして、まったくイリュージョン系ではなかった。「小さく産んで大きく育てる」というのは、ボーナス運用の秘訣だったかな・・ 大きなホールを小さく使う。要するに、古典的なマジッシャンだった。そして、テーブルマジックは大ホールでは仔細を見ることができないため、ハンディカメラを持ったカメラマンに替わって撮影してもらい、ステージ上部にある大型ディスプレーを見ることになる。「これじゃ、テレビで観るのと同じだ」という声が聞こえてくるが、少し違う。テレビにはスイッチがついているが、ステージには付いていない。

ところで、マジックを演じるのは、セロさん。スペルは「CYRIL」だが、何語読みなのだろう。日仏ハイブリッドでカリフォルニア在住だそうだ。日本語は堪能だが、時々わざと間違える。体は大柄ではない。170センチ強で体重は65キロくらいだろうか。ことさら細身に見えるのは、暑いのにもかかわらず、なぜか袖口に余裕のある大き目の長袖シャツを着ているせいかもしれない。マスクは写真ほど精悍でなく清水国明と草刈政雄のハイブリッドかな。もしかすると、純粋日本人ではないか、と疑われてしまうのは、マジシャンの宿命か・・

彼の一つのウリは、トークなのだが、実際に聞いているとまどろっこしい。ちょっと感覚がクサイ。林家三平みたいな笑いの強要感がある。そして、英語を会話に混ぜ、そのあと自分で同時通訳するから必然的に長くなる。(というかマジックの時間が短くなる)こんな感じだ。

「Listen!皆さん聞いてください。・・・」

5才くらいの子供にも、「How old are you?ぼうや何歳ですか」

多くの観客は、「うーん、何語でもいいから、さっさと前に進むべし!」と思ったのではないだろうか。

席は、1階の真ん中に横方向の通路があり、その少し後ろだったのだが、例の箱に閉じ込められて、外から竹光で突きまくられる手品の途中で、黒服のアシスタント二人が棺桶状の黒い箱を大急ぎで運んできた。ホール内は真っ暗で、ショーの効果を高めるために非常灯も消されているのだが、真っ暗なのは、このためだった。ステージ上の箱がパッと開かれ、中に誰も入っていないのが明らかになった1秒後に、観客席中央の箱の横からそっと這い出して、パッと箱の上に立ち上がった。箱に跳び乗るときにちょっと転びかけた。

要するに、セロは引田某とかフーディーニのような荒業師ではなく、あくまでも「てじにゃ~な」の世界なのだろう。

42fc85a1.jpgそれと、少しはまともなことを書けば、東京のステージというのは、かなりショーに眼が肥えた人が多く、そして観客のタイプは多様で、年齢も、職業も支持政党も違えば、もちろん住んでいる場所もバラバラだ。案外、GoodとBadがきちんと評価されるような気がする。それの反対がラスベガスのホテルのショーではないだろうか。

そして、きっちり2時間とアンコールでショーは終わり。手元には、おみやげのトランプが残ったのだが、9枚しかないので、遊べない。何か手品でもできないかと、しばらく弄んではみたが、万札を勘定する練習くらいしかやれることはなかったのだ。 

板東ドイツ兵俘虜収容所のこと

2006-09-12 00:00:00 | 書評
先日、弊ブログ2006年7月17日「バルトの楽園は骨太だった」で、第一次大戦で日本軍がドイツ領青島を攻略し、約5000人の戦争捕虜を日本で収容していた映画の話を書いた。日本には主に5ヶ所の大収容所があり、徳島県板東はその一つ。所長松江大佐は会津藩士を祖父に持ち、長州派閥の陸軍の中で、少し変った進歩派で、捕虜の絶大な信頼を得、大戦終了後、捕虜の本国帰還前に、日本最初の第九コンサートが行われたことになっていた。主演は松平健で、映画自体は、前半が暴れん坊将軍風に展開してしまうのだが、二人の子役の熱演でなんとか最後は感動の涙を得ることができる。

ところが、実は「原作の盗作疑惑」が浮上していた。

作家中村彰彦さんが94年に書いた直木賞受賞作「二つの山河」を無断引用しているとの問題だ。

そして、結果は和解したのだが、今後、DVDなどになる場合、この小説を参考にしたことを明記することになった。まあ、当事者間が和解したのなら、第三者が言う筋合いではないが、ややあいまい感がある。つまりフィクションなのかノンフィクションなのか、というところの微妙な問題があるわけだ。歴史的事実を映画にするのだったら、別に誰の作品から筋書きをとっても構わないはずだ。そして、この映画の大部分は事実に基づいているように思える。が、・・

1d6d4dff.jpg実は、私はバウムクーヘン王「カール・ユーハイム氏」の生涯の追跡など行っているので、このドイツ人捕虜のことは、かなり詳しい。そして、いかにも実録風なこの映画を観て、いくつかの違和感を感じることがあった。別に、映画がフィクションだろうがノンフィクだろうが構わないのだが、自分自身がフィクションをノンフィクと間違えて覚えたくはない。そして、最近、ある本に出会った。「第九」の里 ドイツ村(林啓介著)。

この本は、完全にノンフィクション版である。徳島(地元)で大調査している。かなり完璧な内容になったのは、「なにしろ、ドイツ人はすべて紙に記録を書くのが好き」という事情による。板東には約1000人の捕虜がいたのだが、その中でドイツ村ができていて、新聞も発行されていたり、バーもあったり、商店も多数できていた。日本の産業レベルとははるかに高度な産業社会が発生していたわけだ。

さらに、当時の日本は、なんとか一等国のフリをするため、日露戦争のロシア兵捕虜の時もそうだし、かなりの好条件を認めていたらしい(第二次大戦の時の米兵捕虜に対する仕打ちとは大違いだ)。松江大佐の反長州的雰囲気も実話の通りである。また、彼らが有給のアルバイトで請け負って作った石橋も二つ残っているそうだ。彼らの技術指導で、その時開業したパン屋や楽器店はまだ存続しているらしい(こういうことを書いていると、なんだか現地に見に行きたくなる。悪い病気だ。)。

それでは、事実と映画と何が違うのか。

決定的に違うことがあるのだ。それは肝心の「第九」の演奏日のこと。映画では、大戦が終わり(1918年11月)講和条約が締結され、翌年暮れ(1919年10月)にお別れパーティとして日本人の前で歓喜の歌が演奏され、日独両国が固い友情を結ぶことになっているのだが、それは違う。

1d6d4dff.jpg実際には、本国ドイツの敗色が濃厚になっていた1918年6月1日にエンゲル水兵の指揮により演奏されている。要するに、「がんばれドイツ!」ということなのだ。そして、ドイツは翌7月に最後の大反攻を行い、自壊に向かう。そしてドイツ敗戦の報は、収容所の捕虜の全員を暗澹の渦巻に落とし込んだのである。さらに本国に課せられた超巨額の戦争賠償金は、ドイツ社会を完全に再起不能に打ちのめすことになる。もともと青島居留区に流れ着いていたものたちは、何らかの事情でドイツにいられなくなっているものも多く、一部は日本に残った。決して歓喜を謳いあげるような状態ではなかったのだ。

余談だが、東京音楽大学(現芸大)では、昭和18年から、学徒出陣のつど第九が演奏されることになっていたそうである。案外、全体主義的な交響曲なのかもしれない。  

A380の事情

2006-09-11 00:00:57 | マーケティング
c53fcbd4.jpgロシアを除けば、世界の旅客機産業は、ボーイングとエアバスだけになっている。主力機で言えば、B-747→エアバスA300シリーズ→B-777→エアバスA380→?ということだろう。そして、B-747(ジャンボ)が空の歴史を切り開いたのと同様にA380は新たな歴史をつくるはずだったのだが・・・

電気系統の原因で納期が半年遅れた。エアバス社株価下落。そしてCOOシャルル・シャンピオン氏が解任される。

そして、半年遅れで474人の乗客を乗せたテスト飛行が始まったそうだ。というニュースを聞き、テストに474人も乗せて大丈夫なのだろうか、と思って調べると・・

欧州エアバスは9月4日から総2階建ての超大型旅客機「A380」で初めて乗客を乗せた飛行試験を始める。ファースト、ビジネス、エコノミークラスで計474座席がある機体にエアバスの社員らが乗り込む。満席で飛び、本番さながらに食事や飲み物サービス、映画の上映などもして機内の使い勝手や乗り心地を確かめる。

 飛行試験は8日までで計4回。本社がある南仏トゥールーズの空港を離陸、欧州上空を飛んで戻ってくる。1回当たりの飛行時間は7―15時間とし、うち1回は夜間に飛ぶ。 (07:00) nikkei net

要するに、社員を実験に使うわけだ。愛社精神がなければやっていけない。たぶん、飲み物や映画はただで見られると思うが実験手当てでもでるのだろうか?たぶん出ないだろう。


先日、空港関係のある施設に行ったのだが、A-380の模型が展示されていた。翼が三角形に近く、大きい。何しろ総二階だ。エコノミーシートにすると800席。燃費が大幅に改善されたと言っているのだが、そのカラクリはシート数なのだ。つまり乗客一人当たりの燃料消費量が少ないということ。飛行機自体はエンジンも4発とジャンボと同じだ。総二階造りで重い。一機あたりの燃費が悪くても、シート数で稼ぐということだ。

となれば、ファーストクラスやビジネスクラスばかりでは元がとれないので、やはりシート数を増やしたA380-800とかA380-900といったタイプが増えそうである。

c53fcbd4.jpgところで、成田空港は世界の空港の中でも一機あたりの燃料充填量は格段に多いそうだ。まず国内線がない。極東のはずれなので、飛行機の航続距離が長いということだそうだ。しかし、最近はB747からB777へのシフトが加速しているそうだ。つまり、世界の航空会社が各社毎にサプライチェーンマネジメント(SCM)を考えた結果、足の長い成田には燃費のいい777を回し、ヒースローのように足の短い空港には747を回すといったことが行われているそうだ。日系二社の場合はANAは777への移行が着実に進んでいるのに対して、JALは747からの脱却ができていないそうだ。要するにカネがもうからないと飛行機を入れ替える資金も出てこないわけだ。(ただし、747はエンジンが4つなのに対し、777のエンジンは2つなので、空中でエンジンが全部止まるリスクは777の方が高い。)

そして、調べていると、日本のように国内線に747を投入して、一度に500人ずつ運ぶ国は他には例が少ないらしいのだ。国内線は100人乗り位で、国際線が大型機というのが一般的。ではなぜ、日本国では、こんなに空中大量輸送方式になっているかは、いくつかの理由がありそうだが、ここでは触れない。今のところ、日系航空二社ともA380の購入は計画していないそうだが、日本国内こそ最適ではないだろうかと思ってしまう。

が、2007年には世界配置が始まるA380は、空港施設にも影響を与えるそうだ。期待の高さが異なり、さらに乗降口が1、2階別になっているそうだ。747の場合は一部の二階スペースへは、一階から機内の階段で上ることになっているが、A380では、乗降時間短縮のため、出入り口も上下二ヶ所になるのだが、それに対応できていない。燃料は機体の下からホースで注入するのだが、高さが高くなるとホースの長さが足りなくなる。一方、来年のはじめにはシンガポール航空が飛んでくるのにだ。


ところで、A380の翼の形は三角翼に近いのだが、この三角(△)というのは経営の世界では忌み嫌われる記号である。要するにマイナスということだ。(-)では数字を見間違える心配があるため、三角形が使われる。そして、かつて、三角形のビルを本社としたカネボウが瀕死状態に陥ったことを思い起こしてしまうのだが、エアバス社の三角翼が巨大な赤字の原因になるということはないだろうか、と少しは心配してしまうのだ。

マツケンたたり

2006-09-10 00:00:36 | The room of Sora
7397759e.jpg街中に半袖シャツが減り、ネクタイ比率が高くなると秋の雰囲気が漂い始める。人間よりも犬の方が敏感で、だんだん食欲が増してくる。そのままだと肥満になるので、散歩の距離が長くなる。夏の盛りではアスファルトは足の肉球をいためるので、公園コースが中心となるが、秋になると路上ロングウォークとなる。

思えば、犬の発明(改良)というのは、古代文明の3大発明の一つにあげられるほど素晴らしいものかもしれない。お台場の日本科学未来館でも、犬の大脳の襞の深さについて解説されているコーナーがあった。動物の中でも、かなり知能が高い。意外なのは、最近の遺伝子研究の結果、灰色狼から犬に分化した原産地は、北朝鮮ということだそうだ。あの半島では犬食は日常的だが、はじめから食用というわけではなかったのだろう。改良に失敗した個体について、食用にしていたのかもしれない。また、現代では、灰色狼ではなく国民(人民)を犬のように調教しようとしているらしいが、長期的には難しいかもしれない。

7397759e.jpgそれで、何が言いたいかというと、春の頃、使っていた散歩コースに戻ると、犬(ソラ)の方も風景を忘れずに、覚えていたようなのだ。特に、外飼の犬のいるお宅には、生垣や塀の隙間に鼻を突っ込み、「ヮンヮン」と小さな声で挨拶していく。外飼犬は普通は大型犬なので、こちらが心配してしまうが、飼い犬の場合、それほど悪意に満ちた犬もいない。

そういうお宅の中に、ある有名人の家がある。土地面積が70坪か80坪くらいの普通の家。実は、飼い主(というか家主)の顔をそこで見たことはないのだが、大型犬を2頭飼っている。犬の方も怖そうなので、目を合わせたことはない。その方は、ある国会議員である。

元レスラーで、元新進党で元自由党で元保守党で元保守新党で現在は自民党である松浪健四郎氏。もうすぐ60歳の団塊世代である。選挙区は大阪の方なのだが、横浜在住。

7397759e.jpg彼を最も有名にしたのは、国会水掛け事件。保守党所属当時、代表質問中に、民主党の議員から、女性党首との関係を野次られ、怒りを炸裂させ、手元のコップの水をまきちらし、25日間の登院禁止処分を受けた。先日のWカップ決勝では、頭突きをしたジダンだけでなく性的暴言で挑発したマテラッチの方も軽い処分を受けたが、水掛け事件では、水をまいた松浪だけが処分を受け、挑発した民主党の永田寿康元議員はお咎めなしだった。

しかし、因果応報というか、その後、暴言・方言を繰り返した永田元議員は、とうとう2006年4月、辞職に追い込まれることになる。「マツケンの祟り」なのである。

女流プロ棋士誕生 など

2006-09-09 00:00:17 | しょうぎ
3dff8123.jpg男性でプロの将棋棋士になるには「奨励会」という予備門に入り、青春の大半を費やし、鬼の三段リーグを勝ち抜かなければならないのだが、女流プロになるのも難関がある。「女流育成会」というリーグ戦があり、年2回リーグ戦が行われ、その1番になると昇級ポイント1が与えられる。そして昇級ポイントが2になると女流2級としてプロのライセンスが発行され、各種棋戦に出場しておカネを儲けることができる。簡単に言うと、1位に2回ならなければならない。結構厳しい。

その育成会リーグ2006年前期最終戦が9月3日行われ、伊奈川愛菓さんが二度目の昇級ポイントを獲得してプロ棋士になることになった。実に、15歳である。1991年3月生まれである。既に将棋連盟のHPには顔写真とか掲載されている。対局料はともあれ、各種大会などにゲストとして引っ張りだこになり、税務署に内緒のお金がどんどん貯まってしまいそうな気がする。

3dff8123.jpgそして、15歳で驚いてはいけないのは、14歳の女流棋士もいる。里見香奈さん。1992年3月生。既に2年前、12歳でプロになっている。さらにその下もいる。加藤桃子さん11歳。現在「U-20白滝あゆみ杯争奪戦」という呉服屋さん主催のプロアマオープントーナメントで女流プロを破り準決勝出身。男性プロをめざす「奨励会」の方に合格してしばらく実力を養成するそうだ。そして12歳の伊藤沙恵さんは既に2年前から「奨励会」に入っている。

実は、男性棋士も羽生世代がそうなのだが、女性棋士の世界でも、ある同年代が数人固まって強いという現象がある。女流プロの中で二強とされる、中井さん、清水さんは1968年生(林葉さんも1年上だったか?)。新三人娘である矢内さん、千葉さん、石橋さんは1980年生。

ところが、2006年に女流育成会に新加入した中に変り種がいる。渡辺弥生(26)さん。実は、学歴が・・・。東大将棋部ということらしい。将棋会で東大出身は数年前一人いただけだが、だいたい大学に行っている率がきわめて低い。大学に入ろうという頃にはプロまたは、その寸前になっていることが多かったからだ。この世界、学歴はまったく役に立たないのだが、卒業してからプロを目指すというのは新しいパターンである。彼女が、今後、どうなるのか小さな興味の一つである。


3dff8123.jpgところで、前回出題の簡単な詰将棋だが、正解は▲3四角 △1三玉 ▲2三飛 △1四玉 ▲2五飛成 △1三玉 ▲2三竜(角成)まで7手詰。一応、▲3四角が限定打。「飛角図式」という範疇でかろうじて詰将棋と言えるかと思うが、簡単すぎて自分的には作品性を感じない。さらに1一の飛車は、歩でも香でもいい。

それなので、この簡易図式「元図」から、作品性を追加して新たな詰将棋をいくつか創ってみよう。というトライである。

3dff8123.jpgまず、正解順を分析すると、初手▲3四角に対して、後手が2三の地点に合駒を打てないようになっている。合駒を打つと直ちに▲2二飛と打って合駒を取られてしまう。

その合駒を可能にしてみようということで、「案1」として、攻め方の王を1五に置いてみる(双玉問題)。つまり▲3四角に△2三桂と打つと逆王手になる。そうすると、▲2三同角成として詰めるか、あるいは初手を変えるかである。一応、持駒に小駒を加えてみた。1五に王を配置すると、受け方の1一飛の潜在的危険度が増大して、ある程度、締りのある図式が完成した。初級強レベル。

3dff8123.jpg次に、攻め方の玉を2筋においてみる。2三に後手が香合すると王手になる。仮に1一の飛車を香か歩に置き換えると、飛車合の選択肢が生じる。この場合、▲3四飛 △2三香に▲同角成とするか、▲2四桂と返し技で行くか、あるいは▲3四角以外の手で攻めるかということになる。さらに、詰ませるには小駒を追加しなければならないが、攻め方の王をあまり上段に配置すると、「どうやっても簡単に詰んでしまい」、余詰が多発してしまう。とりあえず、王を2九に配置し、持駒を調整すると、完成するが、非限定が二ヶ所にあらわれる。一つ目は途中、△2七玉に桂打で王手をするのだが、1九桂でも3九桂でもいい。とりあえず美的基準で攻方に3九歩を追加する。これでほとんどいいのだが、途中、3二に打った飛車を王手で3五に成りかえる手が入るのだが、3四に成っても詰む。これを消すのにあまり名案がなくとりあえず受け方に4二桂を追加する。「案2」。ただし、最初の意図である「初手3四角打の罠」が崩れてしまうのが難点。では3五に成れないようにすればいいのだが、3五の地点は重要ポイントなので、なんともならない。

3dff8123.jpg次に元図に戻り、受け方の1一飛を消してみる。それで、適当に持駒を追加して詰めばいいのだが、歩1枚でも詰んでしまう。その結果、あれこれやった結果、またも双玉問題になってしまった。攻め方に4二玉を追加。それだけの修正である「案3」。この図式の問題は、玉を下辺に追っていくのだが、飛角図式の弱点である「余詰多数の疑惑」を克服しているかどうかである。

3dff8123.jpgさらに、元の図を一段下にずらして見る(一間左に動かすのは、とても詰みそうではないので考えない)。下が広くなり、下で詰めるのか上で詰めるのかというのが問題となる。とりあえず、単に歩を二枚持駒に追加すると、とりあえず完成する。「案4」。▲3四角に下に逃げると歩が一枚余って詰む。△1四玉と上に逃げると、▲2四飛と打ち、初手から8手目に飛車が敵陣に入って空王手をかけ、以下詰むのだが、飛車が敵陣ならどこへ成ってもいいし、成らなくてもいい。これくらいはキズではない、といえばそれまでだが、改良案がなかなか見当たらない。持駒の二枚の歩のうち一枚を玉方2一に配置して、その歩を取って補充するようにすると、その前の段階で詰まない。攻方の歩を2二に配置すると打歩詰に陥る。持歩を一枚にして攻方1九に桂を配置すると味が簡単になるし、美しい余詰が発生して、それを本筋にしたくなる。さらに、いっそ、上に逃げるのを変化コースとして、下に逃げるほうを本筋にしてしまおうかとも思うのだが、まだ名案には至らない。

ということで、最終的には案1、2、3、4と4作品を作ったことになる。この他、色々とやっているうちに、いくつかのまったく原型とは違う図式などもできてしまうのだが、本当の名作というのはなかなか創作困難で、こういった、ややB級感のある作品が結構たまっていくのである。そのうち、「おおたB作 詰将棋迷局・不完全作集」でもできそうである。

一応、解けた方はコメント欄に最終手と手数を書いていただけると嬉しい。そのうち解答(あるいは余詰多数のおわび)も登場する(はず)。

 

追記1:案1に見つけにくい余詰発見。大修正したら見る影もなくなりました。

りえ?里絵?理恵?

2006-09-08 00:00:13 | 映画・演劇・Video
数ヶ月前に、日本映画専門チャネルで「宮沢りえ特集」があり、3本まとめて録画しておいたのだが、三日がかりで見終わる。日本、台湾、香港と国際的だ。驚くことに普通に中国語で主演を張っている。彼女のキャリアの中で、外国映画に出演したのは、この2本だけだと思うが、どう考えているのだろうか。

 運転手の恋 (2000年 台湾)

 華の愛-遊園驚夢(2001年 香港) モスクワ映画祭主演女優賞

 トニー滝谷 (2004年 日本) ロカルノ映画祭審査員特別賞

0c722704.jpg「運転手の恋」は、この3本の中では、もっともオーソドックスな作りになっている。80%はコメディ。タクシー会社の跡継ぎ息子が、結婚しないと言い出し、両親が花嫁対策を始める、という筋立てで、たまたま、交通警官をしている宮沢りえを見つけて、その後、話が発展して結婚してこども数人に恵まれる、と書くと、面白くもなんともないのだが、コメディではない残りの20%が台湾社会の暗さの部分で、あとは監督と役者の力によって成り立っている。

まったく映画とは関係ないが、地球温暖化の影響で、日本の気温も徐々に高くなっていき、台湾のロードサイドのような亜熱帯風景になるだろうな、と悲しくなってしまうが、その時、台湾がどうなっているか考えると、もっと悲しくなってしまう。


0c722704.jpg「華の愛-遊園驚夢」は画質自体が夢の中のようにボーっとピンクの霞仕立てである。清朝末期の豪族階級の没落を捉えた社会派映画で、宮沢の役どころは、元高級クラブ歌手である没落豪族の第四夫人。登場人物も私立学校の女性校長(経営者)や没落豪族が手放す美術品のバイヤー。もちろん阿片廃人も多数。そして映画は、清朝大崩壊の直前で終わるのだが、その後の中国のことを考えると気が重い。

山口淑子(李香蘭)もこういう映画に多数出演していたのだろう、とは思うのだが、この二本の中国語映画出演の後は、また日本映画専門に戻っている。中国路線はやめたようだ。

0c722704.jpg「トニー滝谷」。この一風変った映画の原作は村上春樹の短編集「レキシントンの幽霊」の中の5番目の短編小説。たまたま1996年に刊行された初版を開くと、「トニー滝谷」は37ページ分だ。読み直して見ると、映画とほとんど同じ。確かに、一般的には、村上春樹の小説を映画化するのは、かなり難しい。超現実性(猫としゃべる人物とか羊男とか)、また、時に噴き出す俗物性(ノルウェーの森)。そういう意味で、かろうじて現実側の限界で存在できるこの短編が見つけ出されたのだろう。

イッセイ尾形が建築設計士として主演。宮沢は一人二役の助演。ブランドのドレスや靴を買い続ける妻の役と、その妻の交通事故死の心の空間を埋めるために設計士に雇われ、妻のドレスを着るように指示された妻に似た若い女性。原作ではその2番目の女は、やや計算高く打算的にあっさりと描かれているが、そこは映画と違うところ。映画では、二番目の女の方がミステリアスな存在になっている。要するに宮沢りえが登場すると、スクリーンは彼女中心に展開しはじめる。「たそがれ清兵衛」もそうだった。要は、彼女は大物風過ぎて、共演者を目立たなくしてしまうということだろう。

ところで、三作の中で、台湾映画では宮澤理恵と名乗っている。香港映画では宮澤里絵になっていた。まあ、どうでもいいのかな。


さて、この三作で注目すべきは、衣装である。「運転手の恋」では、警察の制服。「華の愛」ではチャイナドレス。トニー滝谷では、数々のブランドであるし、高校生の制服も短いシーンで見せてくれる。もちろん最近は和服の役も多い。

でも、本当は服など着ない宮沢りえの方がいい、という不純な男たちに朗報がある。あの1991年に150万冊も売ってしまった写真集「Santa Fe」が復刻されている。現在の定価は4587円になっている。掛け算すると60億円を超えるが、もっとも儲けたのは篠山紀信なのだろう。

話は、ちょっとだけ横に逸れるが、33歳のりえの妹分的な女優に、2歳年下の葉月里緒奈がいる。なんだか、優等生と奔放女というように対極的に見られていて、あまりいい役にめぐまれているとは言えないが、なんだかんだと妙な役に出ている。今度は「叫」で幽霊女の役らしい。もとはと言えば、「不夜城」に出演中、トイレのドアを開けたまま用を足すシーンを拒否して、山本未來に役を奪われたのがケチの付き始めだったはず。

彼女の方も1998年に篠山紀信の毒牙にかかってしまっている。写真集「RIONA」は、こちらも復刻されていて、定価は「Santa Fe」と同じだ。露出度も同じ位だそうだが、どちらも見てないのではっきりしない。 

新新新天皇誕生日

2006-09-07 00:00:53 | 市民A
帝王切開によって、将来の帝王となる可能性の高い親王がご誕生。皇位継承順位第三位(第128代予定)。他人事ながら、ご苦労なことと思ってしまう。風説では9月6日ご出産と発表した後、隣国に祝砲ミサイルを発射されないように、5日中にご出産日を前倒しにされるのではないかといわれていたが、しょせんは、風説。それに、そこまで弱腰になったら問題だ。お祝いに国産赤ワインを一本あけることになった。

さて、民主主義と君主制の組み合わせが程よく調和しているのが現代日本だが、皇室典範が一法律として憲法下にあるというところからくる安心感なのだろう。歴史を約1500年間鳥瞰すれば、軍国主義あるいは産軍共同体がダイレクトに天皇制と直結した場合、きわめてアンコントロールに陥り無謀な戦争やクーデターに利用されるのは現代人が学ばなければならない知恵だろう。


ところで、1年ほど前には、女性天皇や女系天皇とかの議論が沸騰し、<女性天皇容認論>が世論の多数になったところで、ヒゲの殿下による<Y染色体論(仮称)>が登場し、「それもそうかな・・」という風も吹いた頃、<紀子さま御懐妊>ということになり、議論自体が棚上げとなっていた。

今回、親王誕生ということで、とりあえずしばらくは、何も決めなくてもよいのだろうが、かといって今から20年後を予測すれば、皇位継承資格者は、60歳代の天皇の弟、そして20歳の太子の二人だけということになっているのではないだろうか。実は、これを機に「天皇家の家系」が歴史上、どのように研究されていたかということを調べていたのだが、古代より諸説存在していて、なかなかのものである。いずれにしても今後しばらくはロイヤルベビーの誕生はなさそうなので(もちろん、離婚、再婚とかなれば別だが)、一天皇一皇后方式の限りは、10年内には皇位継承問題は再発生する可能性が高い。


まず、個人的結論を先に書くと、「皇位継承問題」を議論する前に、歴史上の天皇位継承問題を自由に議論すべきではないかということである。タブーを抱えたまま議論するのでは、民主主義とはいえない。

一方、皇位継承問題を宗教問題として考え、議論そのものを認めないグループがあるのも事実。だが、それは学問とは別レベルの話であって、会話や議論が成り立たない部分と割り切るべきなのだろう。


さて、天皇史の研究について調べてみると、江戸時代に多くの研究がなされていた。「古事記伝」を書いた本居宣長もその一人。特に、古代については、古事記と日本書紀の研究が進んでいた。もちろん、当時は文献中心の研究であり科学的手法はなかったので、決定的な結論が得られていたわけでもない。ただ、現代でも問題となっている多くの謎や事実が提示されている。例えば、「神話か実在かという欠史八代(第2代から第9代)」とか「皇位から5世代も離れていた第26代継体天皇」とか、「蘇我氏、藤原氏の皇族との関係」、「南北朝」である。そして、実際に江戸中期に皇位継承問題が起こっている。御桃園天皇(第118代)の次の皇位問題で、旧北朝系に属する宮家からの養子論などがあったが、この時には4代遡り、光格天皇が選ばれている。現在の天皇家の家系はここからの直系である。

39b7d511.jpgところが、明治になり、いわゆる「皇国史観」が優勢になり、江戸天皇史は封印されてしまうわけだ(ついでに天皇機関説まで)。そして、戦後の天皇による「人間宣言」で、再び封印が解かれたのだが、戦後しばらくは江戸時代の研究を発掘する研究が続けられていた。ルネッサンスのようなものだ。以前、読んだことのある「天皇家の歴史(上)(下)・ねずまさし(三一書房)」の初版は1953年のものだが、読み直してみると、まさに、江戸時代の学説をベースに、大衆向けに記述されている(反皇国史観という意識も若干感じられる)。

その後、あまり表に出てないのだが、戦後生まれの新しい世代によって、天皇家の歴史の研究はかなり進んでいるようである。例えば、家系図を見ていくと、古代では皇后も天皇家の中で皇女という形で同族結婚をしていたのだが、それは天皇が亡くなった場合、皇后が皇位を継承するためだったらしい。ところが、蘇我氏や藤原氏は、外孫を天皇にするために、その制度をないがしろにして、「女性の遺伝子は外から入れてもいい」、というようにしてしまったわけだ。ところが、家系図をじっくり見ると、31代、32代、33代の三代の天皇には蘇我氏の血が入っているが、34代以降は完全に排除されている。同じように、第109代明正天皇は織田信長の妹であるお市の方の曾孫にあたるのだが、織田からの血も一代限りとなっている。余談だが、皇室に旧平民の遺伝子が入ったのは現皇后の美智子妃が最初のようだが、実は、まだ皇太子は天皇になっていない。ヒゲ殿下の主張のように、旧宮家から天皇を選ぶ、というのも天皇家の歴史上は、よくある話である。

ただし、江戸時代の後桃園天皇崩御の折は、家系を4代遡り、継体天皇即位の折は5代遡っていて、その5代というのがMAXという概念も存在しているようである。浩宮様の代から5代遡ると孝明天皇。つまりそのこども(明治天皇の兄弟)の子孫から選ぶ、というのが最大の乖離幅と考えられていた。新親王様から起算すると、大正天皇の兄弟の家系ということになる。ところが、実際には、どちらの代にも該当者は見当たらないということなのである。


数年前、今上天皇が韓国で、「桓武天皇の母親は百済王朝の出身」と発言して驚かされたのだが、それは新しい話ではなく続日本書紀に書かれている内容である。さらに、日本民族そのものが、土着的な縄文時代人と渡来系の弥生時代人の抗争と和解が起源であることがあきらかになった現代では、もっとオープンに天皇家の歴史研究を論争すべきなのではないだろうか。どこから始まったかはともかく、最も長い家系図だろうとは考えられるからである。

一方で、「天皇=神の末裔」という宗教的崇拝者からみれば、属人的な天皇研究は「日本国の終わりのはじまり」という強い危機感を感じてしまうのではあるのだろう。  

世田谷城が象徴するのは平和?あるいは軟弱?

2006-09-06 00:00:24 | The 城
a46e3f43.jpg「世田谷」と言えば高級住宅街。しかし、それは最近の話で、昭和の初めまでは田園地帯だったはず。その後のドサクサで運のいいタイミングで土地を所有していた人だけが、土地成金になったのだろうが、今回は、そのあたりは、漠然と考えておく。

その高級住宅街の中にかなり小さな丘があって、そこが世田谷城址公園になっている。結構狭い。そして、夏なので薮蚊がブンブンしている。一部の堀や石垣が発掘、整備されている。天守閣は歴史上存在しない。砦のような館があっただけだ。そして、ステンレスの看板に能書きが書かれているが、書かれていないことも合わせて調べてみると、吉良家というのが城主で、南北朝時代の終わりに足利氏の流れとして、この地に住みつき、築城していた。この吉良氏は忠臣蔵の被害者である吉良上野介とは遥かな遠縁で、両家とも鎌倉時代の初めに足利から分かれたそうだ。

a46e3f43.jpgそして、大変に感動的なのは、この世田谷城と吉良家なのだが、一度も戦争をしていない。小田原北条氏の勢力が強くなると、北条氏と婚姻関係を結び、臣下に収まる。さらに、北条氏が豊臣秀吉に滅ぼされる直前には、さっさと北条を見捨てて秀吉の軍門に下る。その前にこの世田谷なんて、まったく魅力のない多摩川の河原の延長みたいなものだったから攻略の対象外だったのだろう。そして、秀吉は謹慎して世田谷に篭った吉良氏朝を現横浜市南区の蒔田(まいた)に移住させ、蒔田氏と改姓させてしまう。お家断絶だが、他家として再生を認めるという粋な配慮だ。

そして、世田谷城とは無関係だが、時代は江戸。吉良上野が討ち取られた後、天下騒擾の責任をとらされ吉良家は断絶。それでは、と幕府は蒔田氏に対して、吉良家再興を命じるわけだ。


世田谷城自体は、一応、整備はされたものの、こんな高級地には、もう中途半端の薮蚊発生地などなくなってもいいじゃないか、と思えてしまうのだが、区民ではないので思考を停止する。

場所は東急世田谷線の「上町駅」より徒歩数分。しかし、世田谷は、大震災の時も大空襲の時も焼け残った町。焼け残ったから逆に今が危険、という声もあるが、道が細くて曲がりくねっている。うかうかしていると住宅地の迷路の中で道を失う。しかし、周囲は豪邸が8割(貧邸が2割)。うっかり道を聞こうと思うと、余所者であることがばれてしまうので、恥かしい。どうすればいいか。実は、世田谷にも弱点がある。世田谷線だ。バスみたいなもの。踏切だらけだ。耳を澄ますと、踏切のチンチンチンチンという音が聞こえてくる。駅間距離は異常に近いから、踏切が見つかれば、また偽世田谷人に戻れる。


ところで、世田谷区と杉並区は高級住宅街で有名なのだが、どちらかというと世田谷の方は、すばらしい高級住宅がある反面、若干のアパートなどが混じっている。理由は相続税だ。土地の相続税評価額が高く、相続税が払えなくなり、所有地を部分的に切り売りしたり、アパート経営でもしなければならなくなる。それにしても、世田谷が小区画のスラム街に落ち着くまでには、まだ3世代くらいの猶予があるのだろう。そして、世田谷には、超豪華な世田谷美術館だけでなく、超豪華な世田谷文学館まである。両者とも企画展は強力だ。

ある世田谷人に、「そういった豪華な設備は不要ではないか」と聞いたところ、「とんでもない、富裕層は高い税金を払っているのだから、過剰ともいえる住民サービスは当然の対価である」というようなことを言われてヒックリガエッテしまった。

ところが、最近入手した情報では、弊住所である横浜が世田谷に打ち勝った住民サービスがあった。生ゴミの回収である。世田谷は週2回。横浜は週3回だ。(だが、これにも手厳しい返し技で反撃されそうな気もするのだが、・・)

中田宏市長が横浜サミットに拘る「訳の訳」

2006-09-05 06:31:57 | 市民A
2016年オリンピックの国内候補地は東京に一本化された。が、実際に東京で行われるかどうかは、まったくメドが立たない。単に国内統一候補というだけの話だ。ところが、国内統一候補になれば、かならず当選するというものがある。サミットG8開催地である。2008年は日本開催が決まっている。決定するのは2007年春である。

ところで、最近のサミット開催地はと言えば、

 2000 沖縄
 2001 ジェノバ(イタリア)
 2002 カナナスキス(カナダ)
 2003 エビアン(フランス)
 2004 シーアイランド(米国)
 2005 グレン・イーグルズ(英国)
 2006 サンクトペテルブルグ(ロシア)
 2007 ハイリゲンダム 予定(ドイツ)
 2008 ? (日本)

ということだ。2007年のドイツ・ハイリゲンダムのことに触れると、この町はバルト海に面していて、ドイツで最初に海水浴場が開かれた場所ということらしい。しかし、前の大戦後、東ドイツに所属。もちろん共産党支配下でリゾート都市が成功するはずもなく荒廃。ドイツ統合後、再度リゾート開発が進んでいて、国際的知名度を上げることによる観光収入が期待できるらしい。しかし、統合後15年も過ぎて、今更感もあり、日本だったら2、3年でホテル乱立ということになるだろうから、そういう無気力経済がドイツの低迷と同根のようにも思えるが、これ以上触れない。


さて、2008年の日本会場については、今のところ3、4箇所が誘致の声を上げているらしい。順不同で言えば、「関西連合」・「瀬戸内」・「横浜・(新潟)」・「札幌」。このうち先行しているのが、「横浜」と「関西連合」である。横浜に新潟が共闘を申し込んだのは新潟サイドからは聞こえているが、横浜サイドからは聞こえない。ペアなのか片思いなのか不明である。そして「関西連合」だが、いわゆる京阪神連合体である。目下、最大の問題は、首脳会議を行う場所が、大阪なのか京都なのか、決まっていない。要するに参加メンバーが疑心暗鬼なのである。そして、同様の首脳会談の場所が不明なのが「瀬戸内連合」。そして札幌はそれよりも盛り上がっていない。

なにしろ、首脳会談をしたって経済効果はごく限られている。知名度アップ、というのが主たる目的のような話になる。

と、考えれば、わざわざ招致にこだわらなくてもいいではないかと、言いたくなるが、それでも横浜市長である中田宏氏は誘致に拘るわけだ。そこに何があるのか裏読みしてみた。別の角度である。


「京都議定書(Kyoto Protokol)の次」。

言うまでもなく、京都議定書は1997年に京都で、地球温暖化防止のための枠組みとして1990年に対する各国のCO2排出量の削減目標値を決めた協定書である。最大のCO2排出国である米国や、今後、壊滅的に巨大な排出が予測される中国が加盟していないが、ロシアが国内で批准したため、効力が発生した。主な内容は2008年から2012年の間に、各国別にCO2の排出総量を1990年対比で圧縮しようというものだ。日本は6%削減、米国は7%、EUは8%削減である。

そして、米国も中国もとても参加しそうにないのにかかわらず、「では2013年度以降は、どのように規制するのか」ということが議論されている。要するに米国と中国が参加できるような仕組みでなければならないという、逆説的思考方法の結果、現在考えられているのは、「総量規制から原単位規制への変更」という案である。つまり、製鉄分野なら、鉄1トンの製鉄に対して、CO2の量はどのくらいか、自動車の燃費改善目標は何%か、というような数値を産業ごとに決めようということだ。

私見なのだが、そんな考え方ではとてもCO2の総量が抑えられるとは思えないし、その方法が成功したとしても、東京の気温は今より2度高くなり宮崎並みになる、といわれると、ちょっとぐったりしてしまうのではある。

そして、その新枠組みについての合意をいつ行うべきかということについては、「2008年の日本サミットで大筋の合意を行おう」という暗黙の了解になっているらしいのである。

だからこそ、京都サミットという可能性があるわけだ。環境=京都というような連想から「第二次京都議定書」とかいうのだろう。そして、その合意書の頭に冠せられる地名こそ、その後10年間、世界各国で呼び続けられることになり、知名度は抜群に高くなるはずだ。だからこそ、横浜市長中田宏は強く売名行為としての誘致を狙っているのだろうと思うわけだ。

そしてさらに、売名行為には別の理由があるのだろうと思う。中田氏の中央政界復帰である。今年春の市長選挙で圧勝した市長の二期目の任期は2010年4月までである。一方、国会議員選挙は2007年の参議院選の次は2009年夏の衆議院選(解散がなければであるが)。となれば、2009年夏には、市長辞任の上、衆議院に復活しようというのではないだろうか。現在、41歳(1964年生)の彼はその時、45歳。さらに5年後あたりに総理大臣の椅子でも計算していてもおかしくない。ちょうど「横浜議定書のホスト市長」としての顔を利用しようと考えているのではないだろうか。

ただし、実は松下政経塾第10期生の彼にとって、思わぬライバルがいるはずだ。6歳上ながら政経塾では7期上にあたる3期卒業生の中には「松沢成文氏」がいる。1958年生。現在は、神奈川県知事である。こちらも中央政界から疎開中である。

仮に、せっかく中田市長が誘致したとしても「横浜議定書のホスト県知事」として、なんらかの大きな椅子を横取りしてしまうことだって、十分に考えられなくもないのである。たぶん、以前は中田氏・・自民、松沢氏・・民主だったのだが、組み合わせが変わっていても驚くこともないだろう。
c951fb3e.jpg
  

将棋職団戦&詰将棋

2006-09-04 00:00:51 | しょうぎ
アマチュア将棋界の団体戦で、最も権威ある(はずの)職団戦に出場。東京体育館というバレーボールの聖地を汚す。正式には職域団体対抗将棋大会。後援は朝日新聞。職域団体と称するため、フリーターは参加できない。もちろん個人事業者もダメ。1チーム5名必要。参加費は1チーム28,600円(一人当たり5,720円)と高い。昼食弁当納入とか参加賞納品とか指導将棋という別名で登場する退役棋士への扶持など、利害関係者がくっついているので単価ダウンが困難になっている。企業丸抱えチームでないと、個人負担額が大きく、参加チームが徐々に減っていくという悪循環が続いている。まあ、よくある話だ。

参加チーム数確保のため、OB社員でも参加OKということになったのだが、OB社員の定義があいまいなので、最近、参加資格問題でもめたというような話を聞く。何年以上とか何日以上務めると、OBということができるのか、とか曖昧模糊。

と、いうことで、某企業のOB社員ということで出場。要するにスーパーサブになっていて、出たり出なかったりだ。クラスは強いほうから、S、A、B、C、D、E、Fの7クラスで、今回は「Cクラス」。このチームのAクラスで指していたのだが、私が会社を辞めた後、チームは「C」まで落ちてしまい、ちょっと微妙な空気だ。

そして、早朝、指定の時間に会場に行くと、幹事さんから、「おおたさん、おはようごさいます。きょうは4人です」。

いきなり味方からパンチを食らう。要するに、1チーム5人ずつ対戦して、3勝した方がトーナメントで勝ち抜き、6か7つか連勝すると優勝する。反対に2連敗した上、チームの勝数が少ないと、Dクラスに陥落する。一人休むということは、指す前に1敗している、ということ。4人で3勝1敗が必要になる。まあ、個人的には、勝つために指すというしかないので気にしない。ついでに、会費が一人分足りなくなるのは、どうするのだろうかと頭の中に戦闘機がかすめて行くが1秒後には忘れてしまう。すべて、余計なことを忘れることにする。何しろ、いつも早朝は調子がでないで、うっかり負けそうになる。さらに、きのうは150キロほど遠い場所でゴルフ。まだホールインワンの興奮が残っている(と、いうのは部分的にウソがある)。

7c55cb6e.jpgそして、第1戦の相手は、五輪候補地の職員の方のチーム。民間会社のチームが減っていくのでマル公チームの比率は増加している。五輪候補地では職員の互助会が3分裂しているのだが、そのうち一つ。

「オリンピックで残業続きになって、将棋どころではなくなりますねえ。」と盤外のジャブを出してみる。相手の性格を判断するのは重要な作戦の一つだ。もちろん逆上され、無敵の力を引き出してしまったこともあるからリスキーな作戦だ。

「おたくの株価も、最近沈滞気味ですね。」反撃が始まった。まあイライラさせた程度でやめておく。株価については同感だ。損益に関係ないが。

7c55cb6e.jpg実は、第一戦は楽勝ムードだったが、途中で失敗。銀は取ったが、桂と香の二枚を取られ、馬を引き付けられ、このまま行くと飛車も突入される。唯一の楽しみは5三金と4四馬の関係を突くことだが、とりあえず▲3三歩と揺さぶりをかけてみる。かまわず△2六歩、▲3二歩成、△2五飛。後手は慎重に指しているが、乱暴狼藉の一手が出る。▲3四飛!。以下、必死に守る相手に連続パンチを食らわせて戦意を奪ってしまう。以下16手で1勝。

しかし、見回すとチームは2勝しかできず、1回戦敗退。降級チーム決定戦に回る。一人少ないとはこういうことだ。仕事をしない総理大臣のいる国みたいだ。

7c55cb6e.jpg第2戦は民間企業と対戦。リストラ型再生で有名。最近読んだ「真剣士・小池重明」のように、盤の中央に銀や桂を繰り出し、まず圧迫してから、一転、駒得を始める。すると、相手が大反撃をして、こちらの王様を追い詰める。後手が△5九飛成と金を駒台に乗せたところでは、必勝と思っていただろうが、「第一回詰将棋解答選手権13位の実力」を甘く見ていた。秒読みが続いている中で、少し前からこの局面をイメージしていて、ギャラリーがうっすらと取り巻くのを待っていたのだが、・・

7c55cb6e.jpg▲5三角成!、△同金(△同銀は▲3一銀、△同金、▲3三銀)、▲同桂成、△同銀(△同玉は▲6一龍以下)、▲3一銀、△同金、▲3三銀、△5二玉、▲5一金、△6二玉、▲6一龍まで11手詰。一応、焦点への大駒捨・銀捨て・変化手順に新感覚詰(6一龍)・最後は底金送りと多彩な組み合わせである。駒余りと一部に手順前後はあるが実戦ではしかたない。

ところが、周りのギャラリーを見回すと表情が暗い。どうも私以外、全敗したようだ。団体戦とはこういうことだ。まともな首相候補がいない国はこうなる。


まあ、しょうがないし、昼から「ヤケ酒を飲む気にもなれない」し、「将棋道場に行く気にもならない」し、さらに「酒を飲みながら将棋を指す気にもなれない」のでトボトボ帰る。



7c55cb6e.jpgところで、詰将棋パラダイス誌に弊作が掲載されたので、紹介しておく。いつものように変な問題だ。解答はパラ誌解答締切後(約1ヶ月後)。ヒント1は、「一手詰ではない」。ヒント2は、「最後の手にも注意」。いつものように最後の1手と手数をコメントの方に(私からはコメント自粛)。

7c55cb6e.jpgそしてそれだけでは、1ヶ月間、ブログ詰将棋がお休みになってしまうので、簡単な詰将棋を出題。「詰め将棋」ではなく「詰み将棋」風の易しさだが、これを改造していくつかの問題を作ってみようという布石の1問。

IKEAって大丈夫?

2006-09-03 00:00:40 | マーケティング
c4ba3edf.jpg先週、IKEAのカタログがポストに投げ込まれていた。袋にも入ってなくて、ただ厚い1冊のまま。説明もチラシも付いていない。多くの住民は、10キロほど先の第三京浜港北インター近くの旧ヤナセ跡地に巨大店舗が建設されていることを知っているから、その関連だろうとは予想できるのだが、それにしても乱暴だ。スウェーデン式マーケティングなのだろうか。DINOSとかNISSENのカタログと同じ位の厚さなので、電話やネットで注文できるかと思っても、そうはいかない。店頭に出向いて、カートに積み込んで、レジを済ませてから自分の車に積むか、宅配を頼むらしい。それにしては膨大なカタログだが、カタログにないものも売るのだろうか。

c4ba3edf.jpgさて、日本1号店が4月に東船橋にオープンしたのは、既報のとおりだが、横浜港北店は6月下旬オープンの予定のはずが、大幅に遅れた。9月15日金曜日大安開業。今春には、従業員の大募集をかけていたのだが、当時、採用してしまった人たちはどうなったのだろうか。何らかの法令上の問題を感じなくもないが、当事者ではないのでよくわからない。

c4ba3edf.jpgところで、カタログを眺めると、一般に安い。安いことはいいことなのだが、高いものがあまりない。ちょっと高級というものが見当たらない。そういう戦略なのだろう。港北ニュータウン内には家具店は大中小多いが、輸入家具や高級系の家具が多い。というのも、日本の住宅の場合、新居を構えたときや、さまざまな理由で二重生活を強いられた時くらいしか新たな種類の家具を購入することはない。なにしろ家が狭い。ほとんどが買い替え需要だ。そして、一般に、古くなった家具は、それと同等または高級な家具と買い換えられる。クルマの買い換えなどと同じリクツだ。高い家具から安っぽい家具に買い換えることがあるのだろうか。

c4ba3edf.jpg既に、オープンした船橋店がどうなっているのかわからないが、港北店は「IKEA Style」としての雑貨品の店のようになるのではないだろうか。カタログでは100円以下の商品もいくつも掲載されているのだが、「100均ショップ」と競争するつもりなのかもしれない?つもりでなくても、そうなりそうな気がする。

c4ba3edf.jpgともかく、開業したら、100円玉をたくさん握り締めて、視察に行けばいいのだろう。付属のカフェ&レストランではスイーツ1品付きコーヒーが290円。ホットドッグ100円。そしてジャムつきのミートボールという珍品がミートボール10個にポテト付きで650円となっているが、カタログのミートボールを数えると9個しかない(10個目に見えるのはミートボールではなく、付け合せのジャムだ)。なんとなく、組み立て家具の部品の数が足りなかったりするのではないかと、色々と心配になってしまう。

逆フェイルセーフのシュレッダー

2006-09-02 00:00:31 | 市民A
c951fb3e.jpgアイリスオーヤマ社製のシュレッダーで幼児の指切り事件が多数発生している。業務用の小型シュレッダーで10枚まとめて裁断できるように紙の挿入口が9ミリも開いているタイプの機種で、電源が入ったままのシュレッダーに幼児が指を入れたため切断されてしまったわけだ。

メーカー側は、「幼児を想定していなかった」と言っている。さらに5機種を公開して、口の幅の狭い(3ミリ)タイプと交換していると言っているが、どこの誰が買ったのか見当がつかないだろうと思う。新たな事故がなければと祈るだけだ。

ところで、自宅で使っているシュレッダーは、まさにアイリスオーヤマ製。確か4000円くらいで買ったものだが、中国製で、いわゆるクロス型でタテヨコに裁断する。A4サイズだが、大きな紙は畳んで入れればいい。あらためて、このシュレッダーを研究してみる。

まず、型式(機種)が書かれていない。製造番号は本体をゴミ箱から持ち上げた裏側に書かれているが、外からは見分けがつかない。そして上面にはビジュアル化された禁止事項が並んでいる。最初が指。次に髪。ネクタイ、ネックレス。そして、乳幼児が近づかないように、ということ。ただし、もちろん、それは当たり前で、事故は、何か非常時の時に発生する。そういう時に安全方向にシステムが向かうように設計するのが「フェイルセーフ」という概念。電車が故障するのは防げなくても、その後、電車が爆走せず停止するようでなければならない。

ところが、このシュレッダーには、紙の挿入に伴い機械が作動するというセンサーがついている。紙が切断されなくなると、機械が止まるわけだ。つまり、メインスイッチは常にオンにしておいて、紙を挿入すると自動的にモーターが作動するようになっている。どうして、メインスイッチではなくセンサーなのかというと、裁断する紙の束を片手に持っていると、スイッチを片手で操作しなければならないのだが、結構難しいのである。なにしろ、重心が上にあり、下部はただの紙屑入れなので、要するに倒れやすいのだ。したがって、スイッチ動作をしないでいきなり紙を放り込めばセンサーが作動するというのが、一見、合理的である。

c951fb3e.jpg次に、紙の挿入口の幅を測ると、ちょうど5ミリである。9ミリのタイプを回収して3ミリに交換しているのだが、もともと5ミリのタイプの場合は何もないのだろうか。そして、この問題を検証してみると、さらに問題があることがわかった。大人の指でも9ミリ幅なら中に引き込まれる可能性があるということ。私は、相当指が太いのだが、それでも小指は9ミリ以下である。「幼児を想定してなかった」のではなく「何も考えていなかった」というのではないだろうか。

そして、この5ミリ幅で何枚入るかということを実験してみると、24枚も入れることができる。ただし、実際には5枚程度が裁断機の能力いっぱいである。結局、多くの紙を処分するには、挿入口の幅の問題ではなく、裁断機の能力であるということがわかる。9ミリも隙間をあけたのは、設計ミスということだ。

さらに、指切りの話だけでなく、ゴミを掃除するとき、機械部分に持ち上げるとってがないため、ゴミ箱部分との間に指を挟まれ、痛い思いをしたことがも何度もある。それくらいでは、誰もクレームにしないのだろう。


ところで、家庭用のシュレッダーなど要らないではないか、という説もあるのだが、何しろDMなどが多いわけだ。そして、要するにただの紙ごみを棄てるだけなのだが、その資源ごみの一部は、輸出されているのだ。その輸出先の国では紙が足りない。そして、個人情報があれば、偽造クレジットカードなど簡単に作っている国なのである。