逆フェイルセーフのシュレッダー

2006-09-02 00:00:31 | 市民A
c951fb3e.jpgアイリスオーヤマ社製のシュレッダーで幼児の指切り事件が多数発生している。業務用の小型シュレッダーで10枚まとめて裁断できるように紙の挿入口が9ミリも開いているタイプの機種で、電源が入ったままのシュレッダーに幼児が指を入れたため切断されてしまったわけだ。

メーカー側は、「幼児を想定していなかった」と言っている。さらに5機種を公開して、口の幅の狭い(3ミリ)タイプと交換していると言っているが、どこの誰が買ったのか見当がつかないだろうと思う。新たな事故がなければと祈るだけだ。

ところで、自宅で使っているシュレッダーは、まさにアイリスオーヤマ製。確か4000円くらいで買ったものだが、中国製で、いわゆるクロス型でタテヨコに裁断する。A4サイズだが、大きな紙は畳んで入れればいい。あらためて、このシュレッダーを研究してみる。

まず、型式(機種)が書かれていない。製造番号は本体をゴミ箱から持ち上げた裏側に書かれているが、外からは見分けがつかない。そして上面にはビジュアル化された禁止事項が並んでいる。最初が指。次に髪。ネクタイ、ネックレス。そして、乳幼児が近づかないように、ということ。ただし、もちろん、それは当たり前で、事故は、何か非常時の時に発生する。そういう時に安全方向にシステムが向かうように設計するのが「フェイルセーフ」という概念。電車が故障するのは防げなくても、その後、電車が爆走せず停止するようでなければならない。

ところが、このシュレッダーには、紙の挿入に伴い機械が作動するというセンサーがついている。紙が切断されなくなると、機械が止まるわけだ。つまり、メインスイッチは常にオンにしておいて、紙を挿入すると自動的にモーターが作動するようになっている。どうして、メインスイッチではなくセンサーなのかというと、裁断する紙の束を片手に持っていると、スイッチを片手で操作しなければならないのだが、結構難しいのである。なにしろ、重心が上にあり、下部はただの紙屑入れなので、要するに倒れやすいのだ。したがって、スイッチ動作をしないでいきなり紙を放り込めばセンサーが作動するというのが、一見、合理的である。

c951fb3e.jpg次に、紙の挿入口の幅を測ると、ちょうど5ミリである。9ミリのタイプを回収して3ミリに交換しているのだが、もともと5ミリのタイプの場合は何もないのだろうか。そして、この問題を検証してみると、さらに問題があることがわかった。大人の指でも9ミリ幅なら中に引き込まれる可能性があるということ。私は、相当指が太いのだが、それでも小指は9ミリ以下である。「幼児を想定してなかった」のではなく「何も考えていなかった」というのではないだろうか。

そして、この5ミリ幅で何枚入るかということを実験してみると、24枚も入れることができる。ただし、実際には5枚程度が裁断機の能力いっぱいである。結局、多くの紙を処分するには、挿入口の幅の問題ではなく、裁断機の能力であるということがわかる。9ミリも隙間をあけたのは、設計ミスということだ。

さらに、指切りの話だけでなく、ゴミを掃除するとき、機械部分に持ち上げるとってがないため、ゴミ箱部分との間に指を挟まれ、痛い思いをしたことがも何度もある。それくらいでは、誰もクレームにしないのだろう。


ところで、家庭用のシュレッダーなど要らないではないか、という説もあるのだが、何しろDMなどが多いわけだ。そして、要するにただの紙ごみを棄てるだけなのだが、その資源ごみの一部は、輸出されているのだ。その輸出先の国では紙が足りない。そして、個人情報があれば、偽造クレジットカードなど簡単に作っている国なのである。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿