女流プロ棋士誕生 など

2006-09-09 00:00:17 | しょうぎ
3dff8123.jpg男性でプロの将棋棋士になるには「奨励会」という予備門に入り、青春の大半を費やし、鬼の三段リーグを勝ち抜かなければならないのだが、女流プロになるのも難関がある。「女流育成会」というリーグ戦があり、年2回リーグ戦が行われ、その1番になると昇級ポイント1が与えられる。そして昇級ポイントが2になると女流2級としてプロのライセンスが発行され、各種棋戦に出場しておカネを儲けることができる。簡単に言うと、1位に2回ならなければならない。結構厳しい。

その育成会リーグ2006年前期最終戦が9月3日行われ、伊奈川愛菓さんが二度目の昇級ポイントを獲得してプロ棋士になることになった。実に、15歳である。1991年3月生まれである。既に将棋連盟のHPには顔写真とか掲載されている。対局料はともあれ、各種大会などにゲストとして引っ張りだこになり、税務署に内緒のお金がどんどん貯まってしまいそうな気がする。

3dff8123.jpgそして、15歳で驚いてはいけないのは、14歳の女流棋士もいる。里見香奈さん。1992年3月生。既に2年前、12歳でプロになっている。さらにその下もいる。加藤桃子さん11歳。現在「U-20白滝あゆみ杯争奪戦」という呉服屋さん主催のプロアマオープントーナメントで女流プロを破り準決勝出身。男性プロをめざす「奨励会」の方に合格してしばらく実力を養成するそうだ。そして12歳の伊藤沙恵さんは既に2年前から「奨励会」に入っている。

実は、男性棋士も羽生世代がそうなのだが、女性棋士の世界でも、ある同年代が数人固まって強いという現象がある。女流プロの中で二強とされる、中井さん、清水さんは1968年生(林葉さんも1年上だったか?)。新三人娘である矢内さん、千葉さん、石橋さんは1980年生。

ところが、2006年に女流育成会に新加入した中に変り種がいる。渡辺弥生(26)さん。実は、学歴が・・・。東大将棋部ということらしい。将棋会で東大出身は数年前一人いただけだが、だいたい大学に行っている率がきわめて低い。大学に入ろうという頃にはプロまたは、その寸前になっていることが多かったからだ。この世界、学歴はまったく役に立たないのだが、卒業してからプロを目指すというのは新しいパターンである。彼女が、今後、どうなるのか小さな興味の一つである。


3dff8123.jpgところで、前回出題の簡単な詰将棋だが、正解は▲3四角 △1三玉 ▲2三飛 △1四玉 ▲2五飛成 △1三玉 ▲2三竜(角成)まで7手詰。一応、▲3四角が限定打。「飛角図式」という範疇でかろうじて詰将棋と言えるかと思うが、簡単すぎて自分的には作品性を感じない。さらに1一の飛車は、歩でも香でもいい。

それなので、この簡易図式「元図」から、作品性を追加して新たな詰将棋をいくつか創ってみよう。というトライである。

3dff8123.jpgまず、正解順を分析すると、初手▲3四角に対して、後手が2三の地点に合駒を打てないようになっている。合駒を打つと直ちに▲2二飛と打って合駒を取られてしまう。

その合駒を可能にしてみようということで、「案1」として、攻め方の王を1五に置いてみる(双玉問題)。つまり▲3四角に△2三桂と打つと逆王手になる。そうすると、▲2三同角成として詰めるか、あるいは初手を変えるかである。一応、持駒に小駒を加えてみた。1五に王を配置すると、受け方の1一飛の潜在的危険度が増大して、ある程度、締りのある図式が完成した。初級強レベル。

3dff8123.jpg次に、攻め方の玉を2筋においてみる。2三に後手が香合すると王手になる。仮に1一の飛車を香か歩に置き換えると、飛車合の選択肢が生じる。この場合、▲3四飛 △2三香に▲同角成とするか、▲2四桂と返し技で行くか、あるいは▲3四角以外の手で攻めるかということになる。さらに、詰ませるには小駒を追加しなければならないが、攻め方の王をあまり上段に配置すると、「どうやっても簡単に詰んでしまい」、余詰が多発してしまう。とりあえず、王を2九に配置し、持駒を調整すると、完成するが、非限定が二ヶ所にあらわれる。一つ目は途中、△2七玉に桂打で王手をするのだが、1九桂でも3九桂でもいい。とりあえず美的基準で攻方に3九歩を追加する。これでほとんどいいのだが、途中、3二に打った飛車を王手で3五に成りかえる手が入るのだが、3四に成っても詰む。これを消すのにあまり名案がなくとりあえず受け方に4二桂を追加する。「案2」。ただし、最初の意図である「初手3四角打の罠」が崩れてしまうのが難点。では3五に成れないようにすればいいのだが、3五の地点は重要ポイントなので、なんともならない。

3dff8123.jpg次に元図に戻り、受け方の1一飛を消してみる。それで、適当に持駒を追加して詰めばいいのだが、歩1枚でも詰んでしまう。その結果、あれこれやった結果、またも双玉問題になってしまった。攻め方に4二玉を追加。それだけの修正である「案3」。この図式の問題は、玉を下辺に追っていくのだが、飛角図式の弱点である「余詰多数の疑惑」を克服しているかどうかである。

3dff8123.jpgさらに、元の図を一段下にずらして見る(一間左に動かすのは、とても詰みそうではないので考えない)。下が広くなり、下で詰めるのか上で詰めるのかというのが問題となる。とりあえず、単に歩を二枚持駒に追加すると、とりあえず完成する。「案4」。▲3四角に下に逃げると歩が一枚余って詰む。△1四玉と上に逃げると、▲2四飛と打ち、初手から8手目に飛車が敵陣に入って空王手をかけ、以下詰むのだが、飛車が敵陣ならどこへ成ってもいいし、成らなくてもいい。これくらいはキズではない、といえばそれまでだが、改良案がなかなか見当たらない。持駒の二枚の歩のうち一枚を玉方2一に配置して、その歩を取って補充するようにすると、その前の段階で詰まない。攻方の歩を2二に配置すると打歩詰に陥る。持歩を一枚にして攻方1九に桂を配置すると味が簡単になるし、美しい余詰が発生して、それを本筋にしたくなる。さらに、いっそ、上に逃げるのを変化コースとして、下に逃げるほうを本筋にしてしまおうかとも思うのだが、まだ名案には至らない。

ということで、最終的には案1、2、3、4と4作品を作ったことになる。この他、色々とやっているうちに、いくつかのまったく原型とは違う図式などもできてしまうのだが、本当の名作というのはなかなか創作困難で、こういった、ややB級感のある作品が結構たまっていくのである。そのうち、「おおたB作 詰将棋迷局・不完全作集」でもできそうである。

一応、解けた方はコメント欄に最終手と手数を書いていただけると嬉しい。そのうち解答(あるいは余詰多数のおわび)も登場する(はず)。

 

追記1:案1に見つけにくい余詰発見。大修正したら見る影もなくなりました。