珍獣来襲

2006-09-19 00:00:25 | 市民A
6df1bb90.jpg雨が続いているからかも知れないが、夜の窓に、ある生物が張り付いていた。発見者は室内犬S。ガラスのこちら側から「ウーーウーーウーー」と威嚇するが、効果なし。当面、室内に侵入されそうな気配もないので、「そこに、珍獣は存在しない」ことにし、カーテンを閉めてから、携帯の画像データを持って、別室で百科事典で調べることにする。といっても闇雲に調べるわけにもいかないが、可能性は絞られている。

イモリかヤモリか、だろう。

そして、調べてみると、イモリもヤモリもそれなりのものだった。

まず、イモリだが、腹が赤い。アカハライモリというのが日本の一般的なイモリ。両生類(これは知っていた)。両生類というだけで珍獣だ。カエル、イモリ、サンショウウオ、ウーパールーパー。この両生類というのは、結構、まとめて滅亡の危機に瀕している。ところが、日本はまさに両生類に最適な気候で、多くのカエルがいる。といっても、あまり見ることも声を聞くことも少なくなった。

イモリは、体の再生力が強く、肩から先とか眼とか切断されても、元通り再生してしまう。トカゲで再生するのはシッポだけだし、人間では再生する部分は、ほとんどない。生命の秘密解明にかなり役に立つ実験動物として認識されていて、スペースシャトルに乗せられて、宇宙空間で受精、誕生の実験までやらされている(人間でこっそり受精実験した飛行士カップルがいたかどうかは不明。シャワーが使えないので後で困るかもしれない)。

両生類なので、池や小川に住んでいて、水生生物や昆虫を常食とするそうだ。書いてないが、水生動物の餌になってしまうこともあるだろう。水中もジャングルだ。

そして、赤い腹には訳があるらしい。つまり、イモリには猛毒がある。テトロドトキシン。そう、フグ毒である。フグと同様に、他の生物から食われないようにという対抗策である。マムシのように、噛み付いて毒を撒き散らすわけではない。だが、毒を持っているだけでは、食われてしまう。「毒入りキケン!食ったら死ぬデ!」というサインが必要なわけで、それが赤い腹ということらしい。ただ、ペットとして飼ったり、人家に近い場所のイモリには毒が少ないらしい。ただしその場合でも腹は赤い。

見ただけでは、強いのか弱いのかよくわからないという例が、他にもあったような・・と頭の中を整理して見ると、思い出した。「自衛隊」だ。

ところで、フグには、フグ調理師免許が必要なのだが、イモリ調理師免許とか必要なのではないだろうか、「イモリの黒焼き」と言う漢方薬があったようななかったような。とりあえず、犬の散歩の時には、食わないように注意が必要だ。


そして、ヤモリ。こちらは爬虫類。指が5本あるかどうかがイモリとヤモリの区別法ということ。画像を確認すると、指がたくさんある。ヤモリだった。

ヤモリは森林や人家を好む、と書いてあった。が、森林と人家ではずいぶん違う。木材が好きなのかな。トカゲの仲間なので、こちらにはおまり面白い話はない。

垂直の壁やガラスにくっ付くのが得意なので、足に吸盤がついているのだろうと、あっさり考えられていたらしいが、実は違っていたことがわかったそうだ(本気で調べればすぐにわかるようなことも、誰も調べなければいつまでもわからない、ということ)。足の皮膚に小さなかぎ状の突起がたくさんついていて、わずかな分泌物を出しているそうだ。それを、ある接着剤メーカーが研究しているそうだ。夜間のビルやマンションに忍び込もうという人たちに愛用されそうだ。そしてスパイダーマンにも・・


また、ヤモリは一度に卵を二つだけ産むそうだ。結構、少産だ。理論的には、たぶん、長生きなのだろう。つまり、きょう現れたヤモリは、どこかに長く住み着こうというのだろうか。あるいは、どこの家に住もうかと現地調査したのだろうか。犬のいる家は危ないな!とか・・

ところで、イモリは井守と書き、ヤモリは守宮と書くのが漢字表記だそうだが、これは井戸を守る神様や家を守る神様ということを意味していたそうだ。


そして再び元の部屋に戻り、カーテンを開くと、・・・

神は立ち去っていたのだ。