ガス代が爆騰している国

2022-02-10 00:00:53 | 市民A
最近、フィンランド在住の知人とリモートで話をした(日本語で)。その中で、ガス代が暴騰しているという話を聞いた。原油・天然ガスの価格が上がっていることが原因なのは明らかで、その一部の理由がウクライナ危機だろうとのこと。

フィンランドは歴史的にロシア(ソ連)とは何度も戦争を行っていて酷い目にあっている。第二次大戦ではドイツがソ連を攻め立てていた段階で、境界争いをしていた地域に兵を進めたが、ドイツ敗走に伴い領土を返したり、捕虜をシベリアに送られたりされた。

しかし、現在ではロシアが大きな輸出先になっていて、パイプラインで天然ガスを輸入している。隣のスウェーデンとともにNATOには加盟していない(スウェーデンは間のフィンランドが危険になれば躊躇なくNATOに加入すると思われている)。

ということで、欧州全体でロシアを危険国家視している状況になっている。

その中で、態度あいまいなのがドイツ。そもそも何を考えていたのかロシアからバルト海の海底に敷かれたパイプラインで天然ガスを輸入していた上、同規模のパイプラインを敷こうとしている、というかほとんど完成している。

ドイツは国内の原発を廃止し、フランスの原発で発電された電気とロシアからの海底パイプラインの天然ガスにエネルギーを頼っている。福島第一の事故がドイツの原発廃止に影響している。

それならドイツ=ロシア間のパイプラインが閉鎖されるとどうなるかというと、どちらも困るわけだ。

その前に、天然ガスの輸送方法といえば、大別すれば、パイプラインとLNGタンカーとなるが、コスト構造が違う。パイプラインはパイプの中の気体を圧力で押してゆく方法だが、輸送コストはパイプラインの距離に比例する。遠くまで送ると、その距離に比例して高くなる。一方LNGは輸出港と輸入港に天然ガスの液化設備やと需要地には巨大な保冷タンクが必要ということで、輸送距離が長くなると割安になる。一概にはいえないが5000km程度が両方法の損益が均衡する点で、それより遠くはLNGの方が有利だ。

一方、ロシアは外貨の多くを天然ガスの輸出で稼いでいるが、危機的な状態ともいえる。アメリカでシェールガスが出現したこと、ロシアのおひざ元のトルクメニスタンやタジキスタンはロシアが嫌いなので中国と組んでガス田開発をして、中国向けにパイプラインで送っている。さらにロシアは中国に売り込みたいようで東シベリアやサハリンの天然ガスを中国にパイプラインで送ろうとしているが、うまくいくかどうかは不明。

ドイツ向けの輸出がとだえたからといって、中国向けに振り替えることはできない。シベリアの東と西との間に輸送方法がないからだ。中国だって対米同志というだけで、相手を信用するわけはない。負け馬には乗れない。

つまりロシアとしてもドイツがガスの輸入を減らせば大変に困るはず。中国に買ってもらいたくても、ロシアはLNG船での輸出はできない(そもそも海がほとんどない)し、中国に輸出しようとしているのは東シベリアのガス田産であり西シベリア以西のガス田は中国とつながっていないはず。もし、つながっていても既存のパイプラインに大量のガスを上乗せすることはできない。大口径のパイプラインを敷かなければならない。

そして、ガスの輸出が減ると、ドルが不足し、食糧の輸入ができなくなり国民が空腹以上になる。

そして・・・