在日(姜尚中著)

2016-12-27 00:00:14 | 書評
姜氏は、いわゆる在日韓国人である。1950年に熊本に生まれ、その後、日本国内で生活し、色々な運命の結果、大学教授になるのだから、どちらかというと成功者と言っていいだろう。もちろん、こどもの時代にはまだ強い差別を受けたのかもしれないが、成人したあとは、時代の推移からして、徐々に差別は減っていただろうから、日本的感覚でいえば、まあ、やや親日的な人なのかな、と思っていたら、どうも彼の内心はそうではなかったようだ。

zainichi


そもそも、日本人には、在日の人たちがどうして集団化することを好み、どうして半島の人と同じようにすぐ怒るのか、ということが理解できないことが多いのではないだろうか。

本書を読むまでは、そもそも総連というのは北朝鮮の代弁者ということになっているが、親戚が北朝鮮で人質になっている以上、総連寄りの態度を示し、なんとか日本国内での稼ぎを送金しなければならない被害者であり、総連という組織がある以上、民団という対抗組織が必要というように解していた。どうも違うようだ。

姜さんの論理では、姜さんの両親が半島でも日本でも差別を受けたのは、すべて日本国の責任であり、恨みが積もっているということらしい。

ところが、現代の日本で、親が虐められたから親を虐めた日本国は糾弾されるべきである、というようなことを言う人は見たことはない。親の敵討みたいな話だ。

また、姜さんの著述を読むと、日本への強い抵抗心があるようだが、ちょっとそのエネルギーがどこから出てくるのか知りたいところだ。