北のカナリアたち(2012年 映画)

2016-12-07 00:00:00 | 映画・演劇・Video
2012年に公開されると全国330スクリーンで上映されるということになり、またその後、日本アカデミー賞はじめ多くの賞を受賞することになるのだが、主演の吉永小百合の周りに有名女優、有名男優が1ダースぐらい登場する。特に満島ひかりや宮崎あおいが登場すると、自信たっぷりの演技で、誰が主役かわからなくなりそうで、ハラハラしてしまう。

kanaria


並の映画だったら、それぞれ主役級の方々が、六人の児童が成人してからの役になるのだから豪華だ。

吉永小百合が北海道の離島の小学校の教員だった時の生徒六人のうちの一人が殺人事件の容疑者として追われ、彼女は教え子を一人ずつ探し出し、彼のことを探り始めるのだが、一方で20年前に起きた、ある死亡事故のことが、それぞれの心の中に重くのしかかっていることが見えてくる。

本映画は、ほぼ全編が不幸物語の連続なのだが、過去をひも解いていくうちに、たがいに見えない心の内側が見えてくる。といっても、明るい話題は、一かけらもないようにも思えるし、あえて思えば、バラバラになっていた一教師と六人の元児童の気持ちが最後には一つになるということだろうか。

題名の中の「カナリア」は、童謡「歌を忘れたカナリア」に依ることがわかるのだが、それを作詞したのは、詩人西條八十であり、カナリアのモデル西條八十の弟子であり、夭折した女性詩人金子みすゞであろうと私は考えている。