薄墨のハガキ

2016-12-22 00:00:24 | 市民A
そろそろ年賀状の準備でもしようかと思い始めるころに不意打ち的に届くのが、「薄墨のハガキ」である。いつも50枚くらいしか書かないのだが、今年は8枚も届いた。

usuzumi


原因の内訳は、父2、義理父1、母2、義理母1、夫1、兄1。年下が年上を超えて・・というのはなさそうなので、まあしかたないといったところだ。長寿社会とはいえ、自分の親戚にも90前後が5人ほどいるので、何か月も先の旅行の予定とか組みにくいのだが、どこの家にも同じような悩みがあるのだろう。

ところで知人の中に、『薄墨はがきが届いたら、その家には年賀状を送らない』という暗黙知を知らない方がいて、その方の身内に不幸があったときに、葬儀会社から渡された案内キットを年末に送ったあと、「なぜか正月に年賀状がほとんど来ない」と驚いていらして、それ自体が大きな驚きだったのだが、その事件を解明するために8通の薄墨はがきの文面を調べると、やはり想像通りの内容だった。

こまかな文面は異なるのだが、大きく二つに分かれる。

1. 喪中につき年末年始のご挨拶をご遠慮申し上げます
このタイプが8通のうち3通である。
意味は、〇が亡くなったので、年賀状を送らないでほしい、という内容だ。

2. 喪中のため新年のご挨拶は失礼させていただきます
このタイプが8通のうち5通である。
意味は、〇が亡くなったので、年賀状は送らないのでよろしく、という内容だ。

考えてみれば、1のパターンでは、年賀状は要らないが、自分が出すか出さないかは明示されていない。逆に2のパターンでは文法的には年賀状は出さないが、送ってほしいのかどうか不明だ。北方領土は返さないが経済協力したいのかどうかは不明みたいなあいまいな書き方だ。

まあ、郵便局からいえば、相互2通の売り上げが薄墨はがき1通となり売上げ半減になって残念だろうがアルバイトの配達員にとっては、半減はうれしい話となる。


ところで、手刷りの版画でも作ろうかと思うだけで数十年間(というか幼年時の芋版以来)着手すらしたことはない。これこそ締切厳守の作業だしね。