クレパス画名作展を観て思いだしたこと

2016-06-12 00:00:53 | 美術館・博物館・工芸品
姫路市民美術館で開催中の『郷愁と未来の輝き‐クレパス画名作展』では、とてもそういう素材を使って描かれたとは思えないような作品が並ぶが、作品に近づいてみると、クレパスであることが見えてくる。遠くから見る絵と近くで見る絵が異なっているのが特徴ということで、画家はもちろん画用紙に密着して仕事をするわけで、遠くから見た場合の見え方などを考えながら仕上げていくのだろう。

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岡本太郎、熊谷守一といった大御所から現代画家まで、うまいものだ。

そして、今回の作品はすべて、サクラアートミュージアムという大阪の(株)サクラクレパスの本社にある美術館からの出品だそうだ。となると、そのミュージアムに行きたくなる。

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ところで、展覧会の中で、あっさり書かれていたのだが、「クレパス」というのは純日本製の描画材料だそうだ。これは初耳である。たとえば北斎の赤富士と登場する藍色は、オランダ商船が長崎に運んでくる輸入品の「ベルリン・ブルー」。通称「ベロ藍」というように色は輸入と相場が決まっていたし、現在でも油絵の絵具にしても輸入品が優位だ。

このクレパスだが、クレヨンとパステルの中間製品らしい。どうも戦時中の物資欠乏状況の中、中間製品で代用品としたらしい。それに貧乏画家が乗ったところから、戦後も市民権を得たようだ。

そういえば小学生の頃、クレヨンで絵を描いていた時に、別の同級生がクレパスを使うのを見ていて、「自分より高級品を使って・・・」とねたんでいたのだが、今頃になって、そういう考え方がまとを得ていないということに気付いたわけだ。

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そして、元軍事施設だった姫路市立美術館だが、屋外展示品がすばらしい。