古事記1300年

2012-09-18 00:00:26 | 書評
高野山ではまもなく空海の開山から1200年ということだが、古事記も編さんから1300年が経つそうだ。

で、原書を読めればいいのだが、読める訳でもなく現代語の解説書を購入してみたが、簡単に書かれているのだろうが、かなり難しい。

kojiki


元々、編さんの目的の一が、日本の神話の体系化である。その二は国家統一を達成した大和朝廷の正当性を記載するためである。なんとなく、証拠集めと調書偽造という感じを受けてしまう。

そういう観点で読んでみると、大きな疑問が「大国主(おおくにぬし)の大冒険」。

出雲の王様である大国主が、周辺地域を領土拡張しているのだが、大部分の成功例を書くも一部、失敗例も書かれている。

そして、出雲とは関係ない大和朝廷が統一化を決めたわけなので、そこで大規模な戦闘があったはずなのだが、何も記載はない。邪馬台国との関係も不明である。

そして、神話の世界から何気なく大和朝廷の世界になだれこみ、例の雄略天皇が登場する。

なんとなく、リアルで残虐な日本の過去の歴史を、マイルドにまとめあげ、先人を美化して、後世に新しい日本史を伝えたということなのだろうか。その後1300年。古事記以前に起きた歴史とその後の歴史は、本当は、ほぼ同じほど醜いものなのかもしれないと、うすうす感じるのである。