新潮社PR誌「波」500号

2011-09-02 00:00:43 | 書評
新潮社のPR誌である「月刊・波」が創刊500号となった。

nami500


私は1冊100円(送料込)で定期購読しているので、いくつかの連載を読むと、結局単行本を買うより大変お得ということになる。当初は季刊で始まったこともあり、1967年から45年目で500号となる。これは、雑誌としては大変な大記録ということになる。

もちろん100円で元を取れるわけはないのだから、新潮社の中でも「広告費」になっているのかもしれないが、さらに取次や書店でも新潮社への義理立てで有料で購入して、販促費か交際費で処理しているのかもしれない。

500号特集というにしては、あまり「記念」に力を入れているとは思えないのだが、坪内祐三氏と重松清氏の特集エッセイとたまたま文士が新潮社の倉庫に残したであろう色紙に書かれた自筆の名言が掲載されている。

坪内氏の自宅に残る1980年6月号に寄稿している作家は、次の通り。

松本清張、石川淳、中村真一郎、塩野七生、瀬戸内晴美、秋山駿、開高健、野口冨士男、常盤新平、山口瞳。(当時は1冊50円)

対して、現在は?というと、あえて書くのを止めた方がいいかもしれない。

そして、過去の文士の名言だが、さすがに文士はコトバ数が多い。「志」とか一文字で書く相撲取りとか将棋指しとかとは大違いだ。

短い派



「風雪」川端康成
「百異千変」星新一
「すててこそ」瀬戸内寂聴
「菊有精神」池波正太郎
「坦々」隆慶一郎
「美しい老人」宮脇俊三
「悠遠」吉村昭
「剣を今日も書く」柴田練三郎


長い派



「わたしは世界の果てからネクタイを取り換えにやってきた」稲垣足穂
「歴史はすべて後悔の記録である」石川達三
「そんな事ないと おなかの底で言い」田辺聖子
「食べてください。この料理には毒を入れました。」筒井康隆
「ももくりさんねんかきはちねん 人は百でも成りかねる」深沢七郎
「人生の親戚としての悲しみ プルタルコスより」大江健三郎
「役者さんに儲けてもらう」井上ひさし
「血の騒ぎを静かに聴け」宮本輝
「気候異変 暖冬や気の迷いたる猫の恋」新田次郎