椎名誠が書き始めたものは

2011-09-19 00:00:39 | 書評
siina新潮社の月刊PR誌『波』には、いくつもの連載があり、いくつかは読み続け、いくつかは読まない。そして、2011年9月号から新連載が始まったのが、椎名誠の『ぼくがいま、死について思うこと』という重いテーマの作品。

「作品」という妙な単語を使ったのは、連載第一回を読む限り、この作品が、エッセイになるのか、私小説になるのか、自伝的小説となるのか、あるいはまったく異なる方向、例えば医学書とか・・先が読めないからだ。

自伝的小説と本人が言ったのが、大著である『銀座のカラス』。確かに力の入った彼の代表作だったが、案外評判は低かった。それ以降、小説らしいものは書いていなかったような気がするが、今回の連載は、もっと彼の根源的な家族、祖先について書かれることになりそうだ。

亡くなった父、そして籍に入っていなかった母。その後、徐々にわかってきた自分の知らなかった兄弟姉妹たち。さらに、父の元の姓が「宮崎」であり、自身が明らかにしているのだが20代の頃に椎名という家から別の戸籍に移動したことなど。

67歳の彼が、兄たちが一人ずつ亡くなっていくなかで、この重い問題をどこに引きずっていくのだろうか。

たぶん、この雑誌の連載は、10~20回程度続くのが多いので、連載が終わって単行本に仕立て直されるのは2年ほど先になるのかもしれない。

案外、連載第一回目に書かれていることは、まったくのフィクションで、次回には、スタンガンを持った「私立探偵」が登場して、死体がゴロゴロ、プカプカという展開になるのかもしれない。