銀座で聞いた納豆の話

2008-12-08 00:00:10 | 市民A
麻生内閣の行方がよくわからないことになってきた。思い返せば、安部、福田、麻生とシケた線香を無理やり燃やしているようなものだったのかもしれない。不人気の理由の一つが、放言癖なのだが、その中には、「まったく的外れとは言えない」ものもあるなあ、と感じていたものもある。(ただし、本人がどう思って発言したのかは知る由もないので、単なる放言に過ぎないのかもしれない。)

まず、放言1はこれ。

「医者は社会的常識が欠落」

確かに、医者という集団がすべて反社会的グループみたいに聞こえるが、「医者のほんの一部には社会的常識が欠けている人がいる」と言えば、そんなに違ってはいないだろう。

実際、労働経済学的に言えば、労働力の需要と供給のバランスの崩れが数%あっただけで、マーケットの需給調整機能が崩れるような例もある。普通の労働市場では、5%前後の失業者というのがグラフの外に存在するため、需給均衡点が自動調節される。

医師の場合、あまり「失業医師」というのが多くないのだろうから、ほんの数%の「社会的常識の欠如した医師」が、夜間診療を拒んだり、田舎から都会に出て行ったり、産科や小児科といったハイリスクな専門から企業医に鞍替えしたりすることで全国医療ネットワークに穴があく。そして、それを埋めるべき「失業中の医者」が足りないわけだ。


放言2は、「たらたら飲んで食べて何もしない人の分の金(医療費)を何で私が払うんだ」

きょうのメーンテーマはこれ。

毎晩、はしご酒をしても、翌朝、散歩をすれば健康でいられるかどうかは、麻生氏が自分の寿命で証明しなければいけないことで、こんな強気発言をして、後で倒れて入院でもしたら、何を言われるかわからないとは思わなかったのだろうか、という余計な心配はおいておくとして、病気にならないように、日頃、気をつけている人もいれば、全然無頓着で、あちこち切ったり縫ったり放射線を当てたり、高い薬を投薬している人もいる。さらに今後、臓器移植の時代になれば、手術は大掛かりになり、入院期間も長期になる。

誰も言わないが、一人一人の個別論ではなく、確率の話とすれば、健康に留意していて健康診断を欠かさない人の方が、そうでない人よりも医療費がかからないのではないだろうか。もちろん、病気になっても医者に行かずにそのまま路上で倒れて土と化してしまえば、健保も年金も介護保険も払っただけのお客様になるのだが、当然ながら、そういう人が病気になると、「制度がどうだこうだ」と大騒ぎする。


で、ここからは私事なのだが、最近、脳梗塞から復帰した知人と話す機会があった。駅のホームで倒れてから半年ほど入院、自宅治療を続けたあと社会復帰。当初は、倒れる前と比べると、若干人格が変わっていて、以前とは別人のような感じがあったのだが、さらに半年ほどで、違和感がなくなってきた。脳の働きはまったく不思議だ。

そして、こちらは、あまり気が乗らなかったのだが、夕食を食べて、ではさようなら、という頃合なのに、「もう一軒行きましょう」とか言うわけである。早い話が、また倒れられて最も困るのは私なのだ。復帰後、仕事より先に銀座のあいさつ回りということ。

そして、その時に聞いた話だが、ある薬を飲んでいるから大丈夫というわけだ。薬の名前は聞かなかったが、ドロドロ血液をサラサラにする薬らしい。たぶん「ワーファリン」だろう。血栓ができないようにということ。

そして、そのクスリの話になるのだが、食べ(飲み)合わせてはいけないものがあると言われたそうだ。

一つが、グレープフルーツ。もう一つが納豆ということ。

グレープフルーツの方は、かなり有名で、クスリによって薬効が下がったり上がったりする成分「フラノクマリン」が含まれている。色々なクスリの飲み合わせで登場するので、病気になると食べられなくなる。これが好きでしょうがない人は健康なうちに(あるいは入院する前に)たくさん食べておくことだ。また焼酎やウォッカをグレープジュースで割ると、酔いにくいと体験的には思っているが、たぶん関係あるのだろう。

そして、もう一つの納豆の方の問題。納豆には「ナットウキナーゼ」という酵素が含まれている。この酵素は血液サラサラ効果があるとされるのは知っているので、サラサラが二倍になるのでいけないのかと思ったのだが、後で調べたら、そういうものでもなかった。このサラサラを抑制する成分ビタミンKが含まれているからということらしい。ナットウキナーゼとビタミンKのどちらが勝つかわからないが、当初の薬効の計算値通りにならないから禁止なのだろう。納豆は、まったく微妙な食べ物だ。


では、納豆を食べていると、血液サラサラになって循環器系の病気になりにくいのかどうか。シロウトが入手できる統計では、そういう地域的な発症格差がわからないように、隠蔽されているわけだ。県別ではなく地域別A地区とかなってしまう。そして、糸口を見つけたのが、平成17年に茨城県で「循環器疾患の予防に関する検討会」というのが開かれ、そこへ報告書が出ていた。

茨城県における循環器疾患に関する予防対策について 「循環器疾患の予防に関する検討会」報告書

納豆と言えば水戸である。水戸は茨城県の県庁所在地で、幕末には大活躍した徳川御三家である。知っている限り、水戸出身者(みとっぽ)は男も女も納豆好きである。茨城県の循環器疾患の現状を知れば、納豆の血液サラサラ効果の一端ぐらいはわかるのではないだろうかと考えてみたわけだ。

しかし、レポートには意外なフレーズが並んでいた。


本県の心疾患死亡率の状況を平成15年人口動態統計の心疾患標準化死亡比で見ると,男性が108.8で全国6位,女性が113.2で全国1位と,男女とも全国と比較して高い。

平成8~12年人口動態統計の糖尿病標準化死亡比をみると,男性が126で全国3位,女性が117で全国4位と,男女とも高い。

食塩の摂取量は、男性12.8g,女性11.5gと,男女ともに全国より多く摂取している。

1回の飲酒量が3合以上の人の割合が,男女ともに高い。

喫煙習慣のある人の割合は,男性が53.8%と全国より高くなっている。(そういえば、たばこの産地だ)

県民健康実態調査による年1回は健康診断を受けている方の割合は64.8%であるが,基本健康診査でみた受診率は全国平均より低く,全国順位は36位である。

つまり、勝手にこれらのデータを机上で組み立てると、

 納豆に醤油をたっぷりかけて、白米にのせ、たいしておかずを食べずに食事を済ませてしまう。このため、塩分、糖分取りすぎになる。

 また、酒やタバコを好む県民性である。

 しかも、健康診断には行かない。

ということになるわけだ。ナットウキナーゼだけに頼るようじゃ「病院丸もうけの地獄図」になるわけだ。

余計な話だが、酒やタバコの害は、未成年のうちに嗜み始めることが大きな敗因とされているわけだが、あの県は、いたって寛容な気がする。酔っ払い運転とか・・


まあ、納豆を醤油ではなく、牛乳でこねてから、ライ麦パンでサンドイッチにして食べれば健康的なのだろう。


ところで、数年に一度ずつMRIによる脳ドックを受けているのだが、脳梗塞から復帰した銀座の帝王氏が酔っ払った頃合を見計らい、「おおたは脳ドックを受けているのですが、貴殿はドックとかしていたのですか?」とかなり聞きにくい質問をしたのだが、・・

「ドックなんか行っても、わかるものか!!」と、いきなり凶暴化してしまい、もう、タクシーに押し込むほかなかったわけである。