安易過ぎる用語は「国民レベル?」

2008-06-27 06:42:56 | 市民A
ジャーナリズムと言っても、「部数が売れてなんぼ」であるのは自明なのだから、幼稚かつ無神経な表現が増えたのは、購読者のレベルに合わせているのだろうかと思えば、あまり怒る気もしないが、レベルが低いだけならともかく、妙な世論を形成するとなると問題が大きい。

まず、「居酒屋タクシー」。

まったく、問題の本質がズレてしまった。新聞・テレビ業界こそ毎夜タクシーで帰るのだから、事件の構造には詳しいはずなのに、自分たちに累が及ばないようにと、「ぐるみで」問題の矮小化を図っているのだろうか。

最近の都心では、「居酒屋」というのは大衆店じゃない。「居酒屋チェーン」は大衆店。個人営業で、夕方訪れる団塊世代を相手に、焼き魚とか刺身とか魚介類や手料理を提供するのだから、安いはずない。そういった「現在、変化しつつあるコトバ」を使うことからしてイメージが分散して危険だ。さらに、問題の本質は、缶ビールではなく、商品券や現金といった金品にあるはず。

さらに、職員に配られているチケットが、特定の会社のタクシーでなく「個人タクシー」というのは、いかにも必然ではあるが、その中の特定のドライバーグループを「指名して」利用していること。ことは数万円としても、要するに収賄行為ではないだろうか。キックバックを受けながら、入札業務を行うようなものだ。報道は、官庁の前に並ぶ個人タクシーを映していることが多いが、別の場所で乗っていたのだろう。それに、個人タクシーは自営業者なのだから、それらの金品は、税務署に申告するときには、「交際費」になっているはずだ。財務省が目をつぶっていただけだろう。

さらに、掘り下げれば、霞ヶ関の国家公務員の住居は主に3種類。一般的な官舎は山手線の内側またはちょっと外側で、タクシーで3000円~5000円の場所。どうしても必要なら、後で精算すればいいはずだ。しかし、公務員でも自宅を購入すれば、一般企業の社員と同様に、だいたい遠くに住むことになる。実際、タクシーチケットがなくなって、困っているのはこういう人達だろう。残念ながら、ありがちな話だ。そして、各省の中には「エリート課長」とか、それ以上の人が少しいて、彼らは、霞ヶ関から徒歩圏内の超高級マンションなどに入っている。表向きは、「災害時とか考え、霞ヶ関の近くに」と言っているが、結局、持家を郊外に買って、引っ越していったりする。災害時には2日がかりで、歩いて出庁してもらいたいものだ。もちろんタクシーでも構わないが。


次に「死に神」

「死に神」というコトバは、普通は口にしない。口にしないものを新聞に書くのだから、相当ひどい無神経ということ。文責が無神論者であることは間違いないだろうが、日本はどちらかというと緩やかな土着的な多神教の国。神は多種多様であるが、その中でも「極め付けのネガティブ」だ。同様のダークなイメージの神様には「疫病神」や「貧乏神」がある。「貧乏神」が似合う総理大臣もいるが、風刺もそのあたりまでだろう。小中学校のイジメの現場で、「死に神」が常用後にならないことを祈るだけだ。

ところで、この「死に神」は、法務大臣のことを「永世死刑執行人」と書いたことをフォローしたコトバなのだが、その前段に、将棋の永世名人になった羽生名人を引き出している。人生長い努力の末、たどり着いた称号なのに、こんな話のマクラにされ、「その無神経さ」に対し、不愉快の極みだろう。また、昨年、何年にもわたる長い権謀術策の末、やっとの思いで、朝日新聞が権利の半分を取得した「名人戦タイトル」なのに、社内には反対派が多かったのだろうか(まさか、記事を外部に下請けに出しているわけじゃないだろう)。


天声人語でも素粒子でも、何も大慌てで掲載するような性格ではなく、一方、準社説のような性格もあるのだから、社内で熟慮推敲の後、人前に出してほしいものである。


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