原油が先か穀物が先か

2008-06-25 00:00:50 | MBAの意見
今年5月2日、ブッシュ米国大統領のある発言が、インド国民を怒らせた。


インド人の生活水準が向上しているのが穀物高騰の原因の一つである。あれほどの人口大国で食糧需要が膨らんだから食糧価格が上昇した。インドでは中産階級が3億5千万人に達し。米国全体の人口を凌ぐほどになった。豊かになれば、よち美味しく、より栄養価が高い食品を求めるようになる。彼らこそが、世界の食糧の需要と価格をつりあげている。


インド政府はアントニー国防大臣が、「たちの悪い冗談だ」と反発し、「穀物価格上昇の原因は、米国の政策にある」と反論した。



インド側の反論の主旨は、米国のバイオエタノール政策。これにより、米国のコーン相場が吹き上がる。2017年までに米国のガソリン需要の2割をエタノールに切り替えようというものだが、米国のほとんどのコーンは自動車用になってしまう。

そして、ここまでの話は、よくどこにでも書かれている。

かたや、石油製品需要のアンバランスで原油価格高騰、かたや地球温暖化で異常気象発生し、穀物生産量の減少。人口増と新興国の所得アップで食糧需給逼迫。

エネルギー需要と新興国の食料事情と異常気象の3種が同時に発生している。

一般的には、米国の主張もインドの主張も同時に正しいと思われている。

そして、最近、色々と調べているのだが、事態は次のステージに移っているように思えてきたのである。

つまり、原油価格が上がったら穀物価格が上がるという一方向的な因果関係にあるのではなく、原油とコーンは双方向的な両者相関関係にあるのではないか、ということ。つまりどちらの商品も逼迫状態にあるのだから、今後、異常気象やバイオエタノール政策等でコーン価格が上がれば、それに引きづられ原油価格が上がることも十分に考えられるのではないか、ということだ。

実際には、エネルギー効率からいえば、食糧が生み出す人間の体内のエネルギー効率は、ガソリンエンジンよりすばらしいわけだから、食糧でクルマを動かすなんて、とんでもない非効率政策としか、思えない。さらに米国人の大好きな牛肉などは、コメなどの穀物を食べるよりも7倍も不効率らしいのだが、いずれにしても、大国同士が食い物の話でいがみ合うなんて、とても21世紀とは思えない。そのうち、ペットのことなんかも俎上に乗りそうだ。


実は、以前、第二次大戦で南方の島々に出兵されていた方から聞いた話だが、軍用機用のガソリンが枯渇状態で、アルコール類(主にエタノール)が使われていたそうだ。ある時、それを生半可な知識で知っていた戦友数名が、夜中に酒がわりにこっそり飲んだそうだ。が、残念ながら、飲んだ人たちは、数時間後に急死されたそうだ。知人は、軍事物資に手をつける(いや、口を付けるか?)ことに罪悪感があって、謀議に参加せず、命拾いし、今も八十数歳で活躍している。

こういう戦地の話は、すべて戦病死とくくられて、明るみに出ないのだろうが、エタノールではなくメタノールが混じっていたのか、あるいは本物のガソリンだったのか。

この話を聞いてから数十年経つのだが、いつか調べたいと思いながら、そのままにしている。くれぐれも、飲まないように。