昨日3月13日、日本万国博覧会の開催40周年を記念したイベントが行はれ、当時のパビリオンで展示の説明や案内をするコンパニオン(「ガールズ」と言つてゐたやうな)のユニフォームのファッションショーが行はれた。また、合はせて旧鉄鋼館を改装して「EXPO’70パビリオン」もオープンし、式典のあと見ることができた。
私は、当時6歳。静岡に住んでゐたから、万博と言つてもテレビの映像や父が買つてきてくれた絵葉書でしか知ることはできなかつた。懐かしいといふのとは違つて、何もかもが新鮮なのである。記念式典に参加してゐた人々の半数近くは、私よりも年齢が上のやうに見えたので、「懐かし組」なのだらうか。
ユニフォームの色使ひが何とも時代を感じた。色調がはつきりとしてゐて、清潔感がある。今ならかういふものにはならないだらうといふのが印象的であつた。新聞によれば、デザイナーのコシノジュンコさんのコメントに「現在のモデルのサイズに変更して仕立てた」とあつたが、当時の写真で見た雰囲気とはまつたく違つてゐた。私はこの方面はまつたく疎いので、きれいだなといふのが印象のすべてである。
式典やファッションショーは、鉄鋼館のホワイエで行はれたが、ガラス越しに太陽の塔が見える。この鉄鋼管と太陽の塔だけが当時の建物である。40年の月日のなかで、周囲の環境の変化や訪れる人の姿も興味や関心も、当時とはまつたく変はつてゐるだらう。当たり前のことである。しかし、その変化を感じさせてくれるのが、変はらずにそこに建つてゐる存在であることを思ふと、今さらながら変はらないもの、変はつてはならないものの大切さを感じた。あの頃の夢は現在の私達に共有されるものはないだらう。しかし、夢を素直に抱けたあの頃があつて今の時代があるのは紛れもない真実である。
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太陽の塔の姿は飛び立つ鳥のやうな姿であり、まさに飛翔しようとしてゐた日本の象徴であるとすれば、現在もまだそこにあるといふことは、重力はずゐぶん強くなつたといふことの象徴にもなるのであらうか。
大阪に来られた際には、ぜひ万博公園に足を伸ばしてください。懐かしい人もさうでない人も。昭和45(1970)年の空気はまだ残つてゐるかもしれません。