久しぶりに白石の小説を読んだ。
中年男性の家族の心理風景、会社内の人間関係、いつもながらの展開ながら、その渦中にある主人公の思考の道筋はいつも異なる。哲学的、宗教的と言つてもよい。そのことば、言葉、コトバが私には得難い時間の訪れのやうに感じられる。
そこに予想外の分析があるから、知的な刺戟を受けるのだ。
「人というのは集団となって、その集団にために働き貢献するような理屈を構築しながら、集団の中にあってこそ限りなく利己的に振る舞えるのだ。」
なるほどと思ふ。
不自由な心 (角川文庫) 白石 一文 KADOKAWA |
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