言葉の救はれ・時代と文學

言葉は道具であるなら、もつとそれを使ひこなせるやうに、こちらを磨く必要がある。日常生活の言葉遣ひを吟味し、言葉に学ばう。

白石一文『不自由な心』を読む。

2023年08月05日 08時33分30秒 | 評論・評伝
 
 
 久しぶりに白石の小説を読んだ。
 中年男性の家族の心理風景、会社内の人間関係、いつもながらの展開ながら、その渦中にある主人公の思考の道筋はいつも異なる。哲学的、宗教的と言つてもよい。そのことば、言葉、コトバが私には得難い時間の訪れのやうに感じられる。
 そこに予想外の分析があるから、知的な刺戟を受けるのだ。

「人というのは集団となって、その集団にために働き貢献するような理屈を構築しながら、集団の中にあってこそ限りなく利己的に振る舞えるのだ。」

 なるほどと思ふ。
コメント
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