三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

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海南島近現代史研究会第6回総会・第10回定例学習会報告 2

2012年08月20日 | 海南島近現代史研究会

 休憩をはさんで、それまでの報告をもとに、「日本国家の侵略犯罪の責任者はだれなのか」という共通テーマで討論を行いました。
 討論で出された意見は次のとおりでした。

Aさん 日本の支配者は、大アジア主義を掲げて、ヨーロッパから痛めつけられたアジアを日本
    が解放するといいながら、実際にやったことは植民地にすることだった。植民地主義を推
    し進めながら、アジアを解放するといういつわりに国民のほとんどが同意していた。この
    二重性が大きな問題と思う。
Bさん 「大東亜共栄圏」というスローガンと同時に「八紘一宇」というスローガンが掲げられて
    いた。「八紘一宇」は、日本が世界を支配するという侵略のスローガンだった。
Cさん アジア主義は、脱亜論を前提にしたものであった。植民地主義を抱え込みながらアジア
    を動員して欧米の帝国主義と戦うということが国民的コンセンサスを得てしまっていた。
    そのことを戦後も検証せず、侵略責任が問われないままでいる。 
Dさん なぜ突然日本軍がやって来て、なぜ殺されなければならないのかも分からないうちに殺
    され、自分たちのものが奪われ、自分たちの土地から追い出された海南島の人の気持
    ちが理解できるなら、「責任は、あなたたちにある」といわれて当然と受け止めることは、
    すごく単純なことだと思う。
     自分の家族7人が全部、日本軍に殺されて、生き残った6歳の子どもが、家族の埋葬
    を済ませて、食べるものも他人に乞いながら生き延びてきた、このような事実を伝える機会がないままに今日ま
    できた海南島の人たちが少なくない。この事実を日本社会に伝えていく責任がある。
Eさん ナショナリズムをどう考えるのか。ナショナリズムは、みがってで独善的なものだ。わた
    しは、文化財返還運動に参加しているが、かつて日本の考古学者などがアジアの各地
    で発掘して奪ったものが、いまも日本の大学や博物館などに収蔵されており、個人が
    所蔵しているものも多い。
     日本人は、欲しいものは穴を掘って奪い、毒ガス弾など、つごうの悪いものは穴を掘
    って埋めてきている。虐殺された人たちは、いまも万人坑に埋められている。
     日本人がアジアの各地に埋めてきたものは表面からは見えないが残り続けている。
     これをどれだけ見えるようにしていくことができるか。
Fさん 南京大虐殺も含めて日中戦争において、松井石根が果たした役割は大きいと思って
   いたが、きょうの報告を聞いて、改めて文化面における汎アジア主義の形成に松井石
   根の果たした役割の大きさを知った。
Gさん 1938年、武漢占拠のとき小説家たちがペン部隊を結成し、戦争を煽った。林芙美子
    は武漢に一番のりしたとして、朝日新聞の記者は林芙美子をスターにした。このこと
    によって新聞はよく売れた。今日でも、マスコミは、多民族を排外する記事を書いてい
    るが、マスコミに煽られないように気をつけなくてはいけない。
Hさん 侵略責任の質、重さ軽さの違いがある。特攻兵として死んでいった青年たちに責任がな
    いことはないが、それを命令した者の侵略責任の悪質さ重さは巨大だ。一番の責任は天
    皇ヒロヒトにある。しかし、命令した上官やヒロヒトは生き延びた。天皇の誕生日がいまも
    日本国民の記念日とされている。侵略責任の社会的歴史的実態を明らかにして責任者
    に責任を取らせることができないどころか、日本国家の侵略犯罪の事事実を問うことの           ない日本ナショナリズムが強化されている。このような時代をどう変えていくのか。
Iさん どのような事実があったかを知ることから、行動を起こしていくことが大切だ。
Jさん 自分の責任を果たしながら天皇の責任を問うことができるようにしていきたい。その実現
    の道すじは、加害の具体的な事実を知ることにあると思う。
                                                             斉藤日出治・竹本昇

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