三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

世界近現代史における独島 1

2012年08月29日 | 個人史・地域史・世界史

 20世紀末、1999年8月13日の「国旗国家法」公布(即日施行)ころから、いちだんと日本ナショナリズムが強化されてきた。それ以前から、日本政府は独島再占領を試みていたが、最近、この策動が激化し、おおくのマスメディアも追随し、日本ナショナリズムを煽動している。
 わたしは、1996年10月にソウルで開かれた第7次国際教科書学術会議(『世界化時代와 歴史学과 歴史教科書』で、「国民国家日本의 独島占領」(国民国家日本の独島占領)という題で報告した。江原道に麟蹄にいってはじめて紀州鉱山に強制連行された人たちから話を聞かせてもらったのは、この会議が終わった翌々日だった。
 その1年半後1998年4月に、韓国の独島学会の『独島領有権問題와 海洋主権의 再検討』というシンポジウムで、「世界近代史에 있어서의 独島」(世界近現代史における独島)という題で報告した。
 これらの報告を準備する過程で、当時までに公開・公表されていた独島に関する日本語文献をほとんど検討したが、歴史的に分析するなら、独島が日本の領土ではないことは、明白だった。
 そのとき以来思い続けてきていることは、日本の歴史研究者は、その専門がなんであれ、独島を日本領とする日本政府・政治家・文筆者たちの妄言を、歴史学の基本的方法に基づいて批判すべきだということだった。
 「世界近代史에 있어서의 独島」(世界近現代史における独島)の報告要旨は、つぎのとおりだった。

 1、日本の独島占領は、近現代における帝国主義諸国の他地域・他国侵略の一環である。
   日本の台湾植民地化・独島占領の前後に、ハワイ諸島、プエルトリコ、マダガスカル、サ
  モア、テ・アオ・マオヒ……が、アメリカ合州国、イギリス、ドイツ、フランスなどの植民地とさ
  れた。
 2、国民国家日本は、侵略戦争によって植民地と占領地を広げた。
   日本は、1905年2月、「日露戦争」のさ中に独島を占領した。
   この占領は、1860年代以後の、日本のアイヌモシリ植民地化、琉球国植民地化、小笠
  原諸島領土化、台湾・澎湖諸島植民地化、宮古・八重山地域植民地化、南鳥島日本領化
  につづく日本領土拡大である。独島占領の半年後、日本はカラフト南半部を植民地とし、そ
  の5年後、大韓帝国を「併合」した。
 3、「独島問題」は、国民国家日本の他地域・他国侵略の問題であり、帝国主義諸国が侵略
  によって領土・植民地を拡大してきた世界近現代史上の問題である。
 4、日本は、20世紀にはいってから、独島占領を、①帝国主義諸国の了解・暗黙の同意、
  ②朝鮮植民地化の進行、③「日露戦争」という複合する三つの歴史的条件のもとにおこな
  った。
 5、日本の独島占領は、過去の問題ではない。いまなお、日本は、アイヌモシリの一部(北
  海道)、琉球国、八重山・宮古地域を自国の領土として占領し続けており、さらに独島、ク
  ナシリ・エトロフ・ハボマイ・シコタンの諸島を再占領しようとしている。
 6、それまで朝鮮の領土であると日本政府も認めていた独島を、「日露戦争」のさ中に占領
  したという明白な事実を日本政府が認めるなら、「独島問題」は解決する。
   いま、日本人歴史研究者には、おおくの日本民衆とともに、「独島問題」の解決と、「北方
  四島」のアイヌ民族への返還(アイヌ民族の自治区の形成)がすみやかにおこなわれる社           
  会的・政治的条件を、主体的・積極的につくっていくことが求められている。このことは、現
  在の世界史的課題のひとつである。
                                                   佐藤正人

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする