樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

お茶目な牧野富太郎

2009年02月11日 | 木と作家
樹木や草花に興味を持つ方なら、図鑑や本を通じて必ず出会う牧野富太郎。「植物学の父」と呼ばれ、50万点もの標本を作り、数々の新種も発見しています。植物の権威なので、厳格で堅苦しい人物だろうと思っていましたが、その随筆を読むと意外にお茶目です。
「ナンジャモンジャの真物と偽物」という一文では、次のように書いています。「第一の贋のナンジャモンジャは、かの東京の青山の原にあったもんじゃ。本名はヒトツバタゴ、科名はヒイラギ科だ。過ぐる頃天然記念物の一つとして内務省の御世話になったもんじゃ」。このほかにもあちこちで「…もんじゃ」を連発しています。

       
       (富太郎が偽物のナンジャモンジャと指摘するヒトツバタゴ)

私もこういう言葉遊びが大好きですが、まさか「植物学の父」がこんなくだけた文章を書くとは思ってもいませんでした。急に親近感が湧いてきましたね~。
引用したように「ナンジャモンジャはヒトツバタゴではない」と書き、続けてヤブニッケイ説、カツラ説、イヌザクラ説を否定し、本当のナンジャモンジャはクスノキであると断定しています。

       
        (富太郎が本物のナンジャモンジャと主張するクスノキ)

しかし、現在はナンジャモンジャ=ヒトツバタゴが通説になりつつあり、私もそう理解しています。牧野先生は草葉の陰で「困ったもんじゃ」とつぶやいているかも。
コメント (4)
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