樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

森林火災

2009年02月16日 | 木と防災
オーストラリアの森林火災では死者180人、負傷者500人以上、避難者5000人以上という大地震並みの被害が出ています。ニュースは燃えている樹のことを伝えませんが、おそらくユーカリです。
コアラの餌として知られており、オーストラリア原産ですが、日本でも時々公園や街路に植えてあります。「ユーカリ」は特定の樹種を指すのではなく、フトモモ科ユーカリ属の総称で、オーストラリアには500種類もあり、全森林面積の75%を占めるそうです。

             
           (近所の植木屋さんの庭にあるユーカリ)

やせた土地や乾燥地でもよく育ち、成長が早く、植えてから3~5年で利用できるため、熱帯や亜熱帯の開発途上国でたくさん植林されています。エチオピアの首都周辺では薪のほぼ100%、建築材の90%がユーカリだそうです。
その反面、葉が分解されにくく、落ち葉のまま堆積するうえに、幹にも油分が多いので、いったん燃えると今回のように被害が大きくなるようです。

       
            (日本に多いのは葉が丸いマルバユーカリ)

森林火災の原因は樹の摩擦や落雷など自然現象だと一般的には思われています。ところが、樹木ファンとして濡れ衣を解きたいわけではないですが、実際には人的な原因が多いらしいです。
中国でも森林火災が多発し、林業局が発表したデータによると、先月の森林火災の発生件数は前年同月比49%増の651件。そのうちの9割が、野焼き、春節期間の観光客による花火や爆竹からの引火など人的な要因です。
オーストラリアの森林火災でも放火の疑いがあり、ビクトリア州警察は同国史上最大規模の放火捜査に着手したそうです。
コメント (4)
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