樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

学校林

2009年02月02日 | 木と子ども
小学校や中学校が森林を保有する「学校林」という制度をご存知ですか? 戦後の国土復興運動の一環として始まったもので、校舎の建て替え用材を確保したり、森林愛護思想を普及することが目的です。
どの学校にもあるわけではなく、山間部に限られていますが、現在でも全国で約3000校が保有し、その総面積は2万ヘクタールにもなるそうです。私も田舎の学校の出身ですが、「学校林」はなかったです。
宇治市の山奥に笠取という集落があり、その小学校には学校林があります。校長が「学校林のある山の小学校にふさわしいシンボルを作りたい」と考えて地域の年配者に相談したところ、学校林にあるスギを使って門柱を立てようということになりました。
「それならスギよりも耐久性に優れたヒノキの方がいい」と、ある山林所有者が太いヒノキを提供。校門に立派なヒノキの門柱が立てられ、先日除幕式が行われました。

       
                  (ヒノキの門柱)

「宇治市立笠取小学校」の文字は近くのお寺の住職が揮毫。その住職も昔はこの小学校の先生だったそうです。住職の話では、物資が不足した戦後しばらくの間、学校林の間伐材で舞台を作って学芸会を催したり、自前でお茶を栽培して生徒に飲ませたりしたそうです。学校が自給自足していたわけですね。
生徒数22人の小さな小学校ですが、豊かな自然と地域社会の愛情に囲まれて、子どもたちはのびのびと育っているようです。
コメント (2)
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