樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

55年ぶりの中村錦之助

2007年12月21日 | 木と文化
京都では南座の「まねき」が師走の風物詩になっています。「まねき」とは、毎年11月末から12月末までの「顔見世興行」で掲げられる出演者の看板。
その昔、劇場と役者が1年契約だった頃、「今年はこれらの役者で興行します」というお披露目の意味で掲げたのが始まりだそうで、独特の勘亭流の文字で書かれています。
「まねき」の材はヒノキ。長さ180m、幅32cmの板に、艶出しのために日本酒を混ぜた墨で書くそうです。板は1回で捨てるのではなく、削り直して5回くらい使うとか。
「まねき」の1枚目が座主、2枚目が主役、3枚目が準主役というところから、「二枚目」「三枚目」という言葉が生まれたといいます。現在は昔とは並び方が違うようです。

       
        (南座の前にはオバサマたちがいっぱい並んでいました)

南座で使われているヒノキは「まねき」だけではありません。昔から「檜舞台」と言うように、実際の舞台もヒノキで造られています。しかも、木曽ヒノキの立派な材で、舞台に立つといい香りがするらしいです。
また、舞台や花道に置く所作台という道具もヒノキ製。3尺×12尺もの大きなこの台を置くと、役者の足の滑りがよくなって、足拍子がよく響くそうです。
芝居が始まる前には、「柝(き)」と呼ばれる拍子木が打たれますが、これはシラカシ製。材木の芯を中心にして、左右対称に木取りしたものがいい響きを出すとか。また、表面がザラついたら割ったガラスで削って丁寧に手入れするそうです。

       
           (左が信二郎改め二代目中村錦之助のまねき)

今年の顔見世興行では、二代目中村錦之助の襲名披露が行われています。映画俳優の初代中村錦之助(後の萬屋錦之助、中村獅童の叔父)がまだ歌舞伎役者だった頃、顔見世興行に出演したことがあるらしく、この名前が「まねき」として上がるのは55年ぶりだそうです。
コメント (6)
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