樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

2007年12月07日 | 木造建築
2007年も残り1ヶ月、だんだん寒くなってきました。
ちょうど1年前の年末、京都の観光名所・嵐山の渡月橋で、凍結のために車がスリップして木製の欄干を突き破り、川に転落するという事故がありました。幸い、車に乗っていた3人の若者は軽症で済んだそうです。
2ヶ月ほど前、久しぶりに嵐山に行った折、その部分の写真を撮ってきました。手前が事故前の欄干、向こう側の汚れていない部分が事故後に補修された欄干です。

       

橋に使われる木材は、橋脚にケヤキ、欄干や橋板にヒノキが一般的。どちらも強度の高い木です。
渡月橋の欄干もヒノキですが、突然のことで補修用の材料の入手が難しかったそうです。ところが、奈良の料亭が庭園の橋に使う予定で確保していたヒノキを融通してくれたので、何とか早く補修できたらしいです。

       
        (嵐山の観光客で賑わう渡月橋。事故と反対側の欄干)

うちの近くにある宇治橋の欄干もヒノキ。この橋には「三の間」という出っ張りがあります。3つめの橋脚にあるのでこう呼ばれています。秀吉がここから汲んだ水を毎日伏見城に運ばせて、お茶に使ったと言われていて、現在も10月上旬の献茶式の際には三の間から宇治川の水を汲み上げます。

       
                (宇治橋の三の間)

渡月橋や宇治橋のように、橋脚はコンクリート製でも欄干は昔と同じように木製という橋は日本全国にあります。冬は橋の凍結に注意してくださいね。いくらヒノキが強いと言っても、車が衝突したら折れますから。

コメント (6)
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