樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

宇治人形

2007年12月24日 | 木と文化
京都にはお寺と大学が多いですが、仏教系の大学もたくさんあって、思いつくまま数えても五指に余ります。その一つ、妙心寺系の花園大学で「宇治人形展」をやっていたので見てきました。
宇治人形というのは、茶葉の栽培ができなくなった古い茶の木を使って、茶摘み姿の女性などを彫刻した人形。宇治に通算20年住んでいる私も全く知らなかったのですが、昔はお茶と並んで宇治の名物だったそうです。

       
(宇治では今、あちこちでお茶の白い花が咲いています。ツバキ科なので開花は冬)

江戸初期、金森宗和という茶人が宇治に隠棲していた頃、茶の木で千利休の像を彫ったのが始まりで、写真のような茶摘み姿の女性を彫り始めたのは上林清泉という茶師だそうです。
その息子の楽之軒が2代目を名乗る頃には、広く「宇治人形」として知られ、宇治の名物になったとか。往時は皇室や大名、茶人などに縁起物として愛玩されたそうです。その後、何度か途絶えるのですが、現在も細々ながら宇治人形を作り続けている作家がいます。

       
        (赤い前垂れに姉さんかぶりの茶摘み姿の宇治人形)

茶の木は大きく成長しないので、直径は5cmからせいぜい10cm。人形もほとんどが小さい作品ですが、一部にツバキや土で作った大型の人形もありますし、茶摘み姿以外に宇治川の鵜匠の人形も展示してありました。

       
              (左が材料の茶の木。直径5cmくらい)

京都では御所人形や伏見人形が有名ですが、宇治にもこんな伝統工芸があったとは…。わが町が少し誇らしくなりました。
コメント (4)
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