樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

手紙とトイレットペーパー

2007年12月12日 | 木と文化
前回、ロシアの白樺の手紙をご紹介しましたが、日本にも木に文字を書いた木簡があります。
先月訪れた奈良文化財研究所にはさまざまな木簡が展示してあり、その中に興味深い文書を発見しました。一つは「鶴2羽のえさ 米2.4kgを支給」、もう一つは「鶴の世話係の少年3人にごはん3.6kg 受取人は得麻呂」と書かれた木簡。
話は木から鳥にそれますが、1300年も前にすでに鶴の保護活動をしていたんですね。現在タンチョウは北海道にしか生息しませんが、昔は日本全国にいたと言われていますから、奈良にタンチョウがいても不思議でありません。あるいはタンチョウ以外のツルかも知れませんし、「鶴はコウノトリを意味する」という説もあるので特定はできませんが、いずれにしても当時すでに日本野鳥の会みたいな組織があったということです。

       
       (鶴の世話を記録した木簡のレプリカ。白いのは説明ボード)

話を木に戻しますと、木簡の材料はヒノキが7~8割、スギが1~2割だそうです。木簡用に材木をあつらえたわけではなく、建築材の残りを利用したのでしょう。お隣の韓国では建築や棺などにマツを多用するので、木簡もマツ材が多いそうです。
紙がない時代ですから、書類だけでなくトイレットペーパーも「捨て木」と呼ばれる木でした。奈良文化財研究所もさすがに実物の展示ははばかったようで、現在のトイレットペーパーと「捨て木」を並べた写真パネルを展示していました。タイトルは「8世紀のトイレットペーパー」。

             

説明パネルによると、当時は道路の側溝から宅地の片隅に細い溝を引き込み、そこに跨って用を足したとのこと。1300年前すでに水洗トイレがあったのです。その近辺から「捨て木」が多数発掘されたそうです。

       

前回のラブレターから急にトイレットペーパーというビロウな話になって恐縮ですが、生活と木の関わりに関心がある私にはとても興味深い展示でした。
コメント (4)
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