樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

奈良と柿

2007年02月26日 | 木と飲食
関西以外の方はあまりご存知ないかも知れませんが、奈良の名物に柿の葉寿司があります。ひと口サイズの鯖寿司が、1枚の柿の葉で四角く包んであります。
熊野灘で獲れた鯖を紀ノ川を遡って内陸部に運び、奈良に多い柿の葉で包んだのがその始まりだとか。若狭で捕れた鯖を京都に運んで鯖寿司にしたのと同じ経緯ですね。
柿の葉寿司に使う葉は5月頃から採り入れ、11月の紅葉も使うそうです。冬は、夏の間に確保して塩漬けで保存しておいた葉を使うらしいです。柿の葉には殺菌作用があるのでしょう。

      

柿は、実(み)は生のままや干し柿にして食べますし、木材は茶道具などの高級家具やゴルフクラブのヘッドに使います。葉はお寿司を包むだけではなく、柿の葉茶にもします。
さらに、柿の渋は和紙の防水や魚網の防腐に使いますし、実についたヘタさえシャックリを止める妙薬になるそうです。捨てる所がないほど、人間の暮らしに役立っています。
その柿と奈良はなぜか昔から因縁が深いようです。万葉の歌人・柿本人麻呂の姓は家の前に柿の木があったからだと言いますし、「柿くえば鐘が鳴るなり法隆寺」という正岡子規の有名な俳句もあります。また、現在の奈良県知事の姓は「柿本」です。
奈良は鹿だけじゃないんですよ。
コメント (4)
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