樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

難転屋敷

2007年02月07日 | 木と医薬
近所にナンテンを生垣にしている家があって、私は勝手に「南天屋敷」と呼んでいます。今頃はご覧のように赤い実をいっぱいつけて、道行く人もつい目を引かれているようです。
ナンテンは昔から「難を転ずる」という語呂合わせから家の鬼門によく植えられています。前にも書きましたが、こうした言葉の音(おん)によって別の意味を連想する文化は日本独特です。わが家も1本植えていますが、鬼門かどうかは知りません。

      

南天と言えば、のど飴。テレビでCMを流している常盤薬品のホームページによると、ナンテンの実に含まれる成分が気管を広げたり中枢神経に作用して咳を鎮めるうえ、殺菌作用で炎症を抑えるそうです。
そう言えば、赤飯の上にナンテンの葉を置きますが、あれもこの成分の殺菌作用を利用しているとか。ちなみに、ある本に「祝い事の赤飯は葉を表向き、仏事は葉を裏向きにする」と書いてありましたが、私は知りませんでした。

      

ナンテンはまたお箸にして、無病息災とか長寿の意味を込めます。これも殺菌作用によって食あたりを防ぐという由来があるのでしょうか。あるいは、単に「難転」という語呂合わせかも知れません。
ナンテンは住まいだけでなく、食生活でも人間のいろんな難を転じてくれているわけです。そんな樹がたくさん植えてあるあの南天屋敷は、ほとんどの災いが逃げていくんでしょうね。
コメント (2)
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