樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

樹の墓

2007年02月15日 | 木と作家
『鞍馬天狗』などの歴史小説で知られる大仏(おさらぎ)次郎という作家がいます。この人も樹木が好きで、庭にキンモクセイやフジ、クチナシなどを植えていたそうです。そのエッセイに、とても共感できる記述があったのでご紹介します。
      
      (大仏次郎が好きだったキンモクセイ。撮影は昨年10月)

「(庭の木は少ないが)これだけでも年々の生活の日々がどれだけ豊かになっていることか考える。花の咲くのは、一年の内の僅か数日だけである。しかし、花のない時期でも彼らが私の生活の伴侶であることには変わりない。(略)
もっと人が木を植える習慣が出来たら、この世は更に楽しいものに成るように思う。更に私は、人が死んだら墓碑として好きだった木を植えるようにしたら、とまで考える。石塔ではなく、木は成長するし繁って行く、死んだ人に代わって生きて行くのである」。
この願いが届いたのか、墓石の代わりに樹木を植える樹木葬墓地が実在します。もともと、岩手県一関市の祥雲寺というお寺の住職が長年環境問題に取り組んだ経験から、墓と自然を共生させる葬法として1999年に始めたそうです。そして現在では、ネットで検索しただけでも10ヶ所以上あります。
「石の墓に入りたくない」「自然に帰りたい」といった理由で、けっこう多くの人が樹木葬を希望するようです。私も死んだら樹木葬にしてもらおうかな。
ちなみに、大仏次郎は猫も大好きで、野良猫を500匹も飼っていたそうです。私は木は好きですが、猫はどうも・・・
コメント (8)
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