樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

仲の悪い3兄弟

2007年01月25日 | 樹木
私のメインフィールド「栃の森」には、サワグルミやオニグルミがたくさん生えています。サワグルミは幹がまっすぐに伸びる「素直な良い子」、オニグルミは枝がニョキニョキと曲がって、樹形も乱れる「暴れん坊」です。

      
      (名前のように暴れた樹形のオニグルミ)

でも、役にたつのはオニグルミ。まず、実が食べられます。市販されているのはテウチグルミという西アジア原産の栽培種ですが、オニグルミの実も食べられます。
材木としても優秀で、狂いがなく、油分があって磨くほどに艶が出るので、特に銃床(鉄砲の取っ手部分)に重用されました。そのため、戦争中はかなりの量が伐採されたようです。

      
     (オニグルミの実。私たちが食べるのはこの中にある種子の核)

woodyowakuさんのブログで知ったことですが、油が少しずつ出て滑りがいいので東北地方では敷居に使うらしいです。海外の小説を読むと、上等な部屋の描写に「キャビネットはウォールナットだった」というような表現が出てきますが、オニグルミの英名はJapanese Walnat。クルミは家具や建材としても優良材なのです。
最近は硬い殻も車のタイヤに混ぜて使われています。

          
           (まっすぐに伸びるサワグルミ)

一方、サワグルミの用途はあまりパッとしません。まず、実は小さくて食べられません。材も割れやすいので、キリの代用品として下駄に使われるくらい。でも、この伸び伸びとした樹形はいつ見ても気持ち良くて、私は大好きです。

      
        (クルミとは思えないノグルミの実)

日本にはもう一つ、ノグルミというクルミがあります。こちらは、花のつき方も実の形も他の2種と全然違います。私も京都府立植物園で初めて見たときはクルミとは思えませんでした。
同じクルミ科ですが、クルミ属(オニグルミ)、サワグルミ属、ノグルミ属に分かれています。共通点は大きな羽状複葉とコルク質が発達した樹皮くらいでしょうか。あまり仲の良くない3兄弟みたいです。
コメント (12)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする