樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

厚化粧の静かな女?

2006年06月22日 | 木と香り
昨日、仕事の打ち合わせのために久しぶりに京都の街を歩いたら、クチナシの花がたくさん咲いていました。今まで気づきませんでしたが、御池通り(烏丸あたり)にはケヤキの下にクチナシが植栽されているのです。
こんなこともあろうかと、(仕事なのに)デジカメを携帯していたので撮ってきました。

      

花を嗅ぐまでもなく、あたりにはいい香りが漂っています。中国では、このクチナシと梅、蘭、百合、水仙、茉莉(ジャスミン)、桂(キンモクセイ)を合わせて「七香」と呼ぶそうです。

私はこの花の強い匂いを嗅いだとき、何となく中国原産の植物だろうと思っていましたが、日本にも自生しているんですね。
天照大神が天香山(あまのかぐやま)の産物としてこのクチナシを取り用いた、という話も残っています。

      
      (別の通りにはヤエクチナシが咲いていました。)

クチナシの語源については、「果実が裂開しないので口無し」というのが一般的です。
碁盤や将棋盤の脚がこのクチナシの実をかたどっているのは、傍観者の口出しを戒めるためだそうです。

渡哲也の『くちなしの花』では、不幸な女性を描いて「お前のような花だった」と歌っています。でも、匂いが濃厚なためか、薄幸の女性というよりも、私は化粧の濃い派手な女性をイメージします。作詞家は、この花の名前で「静かな女性」という意味を表現したかったのでしょうか。
コメント (2)
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