樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

中国の鳥見で出会う木

2006年06月10日 | 樹木
鳥見ツアーで訪れた広島県の比婆山で、イチイの古木に出会いました。イザナミノミコトの御陵と言われる聖域を、一対のイチイが守っているのです。

         

以前の1万円札に描かれていた聖徳太子は、手に笏(しゃく)を持っていました。現在でも、神主さんは神事で笏を持ちます。この笏に使われるのがイチイ。
その昔、仁徳天皇がこの木で笏を作らせ、正一位(最高の階級)とともに授けたのでイチイと呼ばれるようになったと言われます。飛騨高山にはイチイがたくさん茂る山があり、その名も位山。お土産の一位一刀彫もこの位山のイチイで作るそうです。

朝鮮でも、昔は官吏が王に謁見する際、イチイで作った笏(ホル)を手に持ったそうです。また、韓国で最も古い木はイチイで、樹齢は1,400年と推定されています。

針葉樹の見分け方の一つに、葉を握ると痛いか痛くないか、というのがあります。イチイは痛くないです。

      

イチイの別名はいろいろあって、アララギもその一つ。この名前は、正岡子規などの歌人グループ「アララギ派」で覚えている人も多いでしょう。
また、キャラボクとも呼ばれ、鳥取県の大山にあるダイセンキャラボクはイチイの変種。15年ほど前、鳥を見に大山に登ったことがありますが、兄弟の木とは思えないほど背の低い木でした。
私は鳥見で中国地方を訪れるたびにこの木に出会っている訳です。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする