樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

仏教の三聖木・続編

2006年06月27日 | 木と宗教
お釈迦さんがその下で悟りを開いたと言われる菩提樹(ボダイジュ)も、日本のお寺によく植えてあります。

      

しかし、これも本物はインドボダイジュというクワ科の樹で、日本のお寺に植えてあるのはシナノキ科のボダイジュ。全く別の樹です。
サラノキ(昨日の記事)と同様、インドボダイジュも熱帯でしか生育しないため、仏教が中国に伝わった段階でボダイジュ(中国原産)が代役を務めたのでしょう。

インドボダイジュを目にする機会はほとんどないですが、昔、オウム教団が問題になった頃、麻原をはじめ幹部たちが、釈迦が悟りを開いたというインドボダイジュの下で瞑想している映像が流れたことがあります。

         

写真は、叔父の墓地の隅に植えてあるボダイジュ。葉の付け根から靴ベラのような総苞葉が出るのがシナノキ科の特徴です。実は硬いので数珠に使うそうです。

ボダイジュと聞いて、「♪泉に添いて 茂る菩提樹~」というシューベルトの歌曲を思い出す人もあるでしょう。こちらもシナノキ科で、和名はナツボダイジュ。ドイツ語の「リンデンバウム」を、日本の音楽家が「菩提樹」と訳したようです。

仏教の三聖木のうち、釈迦がその下で生れたという無憂樹(ムユウジュ)だけは、なぜか代役もなく、お寺にも植えられていません。ただ、釈迦の生誕祭ではアマチャ(アジサイの仲間)が使われます。何か由来があるのかも知れません。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする